2020-01-01から1年間の記事一覧
こんにちは。本日が、東野圭吾氏の「さまよう刃」の感想です。 娘を陵辱され尊厳を奪われ無惨に殺された父親の復讐劇です。犯人を未成年にすることで少年法についての問題提起も含んでいるのだろう。未成年であることが、復讐を決意する大きな要素にもなって…
こんにちは。本日は、ロバート・A・ハインライン氏の「宇宙の孤児」の感想です。 1963年に刊行された作品です。原題は「Orphans of the Sky」。「宇宙の孤児」という和訳は、本作の本質を言い表しています。また、どんな内容だろうと期待させる。第一部の「…
こんにちは。本日は、池井戸 潤氏の「不祥事」の感想です。 爽快感の中に人生の悲哀も描かれます。舞台は東京第一銀行です。言うまでもなく、半沢直樹の舞台になった東京中央銀行の合併前の銀行のひとつです。ちなみに、もうひとつは産業中央銀行です。 八編…
こんにちは。本日は、コナン・ドイルの「緋色の研究」の感想です。 シャーロック・ホームズが初めて登場した小説で、ワトソンとの出会いも描かれています。1886年に執筆され、1887年に発表されています。 シャーロック・ホームズは数々の映画になり、ドラマ…
こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「ホワイトラビット」の感想です。 久しぶりに黒澤が登場します。伊坂作品の中でも特に魅力的な人物です。彼がいるだけで先の展開が読めなくなります。また、物語に期待してしまいます。 誘拐ビジネスから始まります。ミ…
こんにちは。本日は、「話を聞かない男、地図が読めない女」の感想です。 かなり前ですが、話題になった本です。日本で200万部、世界で600万部を発行した超ベストセラーです。タイトルに共感する人も多いと思います。もちろん、当てはまらない人にとっては違…
こんにちは。本日は、小川 糸さんの「ライオンのおやつ」の感想です。 2020年本屋大賞第2位。余命僅かながん患者「海野雫」の人生の終末を描いた物語です。タイトルからは全く想像できなかった内容でした。 舞台はホスピスです。積極的な治療では治らない患…
こんにちは。本日は、知念実希人氏の「レゾンデートル」の感想です。 知念実希人氏のデビュー作で、福山ミステリー文学新人賞受賞作です。「誰がための刃 レゾンデートル」から改題・改稿されています。幻のデビュー作と言われるほど出回っていなかったよう…
こんにちは。本日は、柚月 裕子さんの「慈雨」の感想です。 タイトルから内容が想像できませんが、表紙を見ると重厚な小説をイメージします。 冒頭、主人公「神場智則」の夢のシーンから始まります。悲壮感漂う悪夢は、神場が背負ったものの大きさを感じさせ…
こんにちは。本日は、中村文則氏の「何もかも憂鬱な夜に」の感想です。 タイトルから想像するのは暗く重い小説です。実際、全編を通じて重く苦しい。死をテーマにした小説に明るさを求めるのは難しいのかもしれない。しかし、死だけに焦点を当てている訳では…
こんにちは。本日は、野崎まど氏の「know」の感想です。 脳の補助として電子脳が義務付けられた情報化社会を描いた近未来SFです。ライトノベル的な雰囲気もあり、読みやすい。 脳が直接ネットと繋がる設定は、近未来情報化社会を描く時によく登場します。情…
こんにちは。本日は、道尾秀介氏の「月と蟹」の感想です。 第144回直木賞受賞作です。直木賞は大衆小説のイメージがあるので気軽な気持ちで読み始めたが結構重い内容でした。登場人物の心象に焦点を当てているからだろう。 道尾秀介氏の作品を読むのは初めて…
こんにちは。本日は、雫井 脩介氏の「犯人に告ぐ」の感想です。 雫井氏の小説は「つばさものがたり」「クローズド・ノート」を読んでいます。本作を読んでみると、著者の作品の幅の広さに感心します。 「相模原男児誘拐殺害事件」と「川崎市連続児童殺害事件…
こんにちは。本日は、奥田英朗氏の「罪の轍」の感想です。 600ページ近い長編の警察小説ですが、一気に読み切ってしまうほど引き込まれます。事件を解決するだけのミステリーではありません。登場人物たちの心象や人生の背景が見事に作り上げられています。…
こんにちは。本日は、デイル・ドーテン氏の「仕事は楽しいかね? 2」の感想です。 「仕事は楽しいかね」の続編です。仕事は楽しいこともあれば、辛いこともあります。楽しいかどうかは「やりがいがあるかどうか」と「達成感があるかどうか」だろう。もちろ…
こんにちは。本日は、アルベール・カミュの「ペスト」の感想です。 新型コロナウィルスの世界的流行により、カミュのペストが俄かに注目を浴びています。発行部数は100万部を超えました。新型コロナとペストを繋ぎ合わせてしまうほど、コロナに対する不安は…
こんにちは。本日は、 川越宗一氏の「熱源」の感想です。 第162回直木賞受賞作。2020年本屋大賞第5位。 民族・文明・国家など多くの要素を含んだ重厚な作品です。樺太アイヌという国を持たない民族が、国家や文明に翻弄されていきます。人として、また民族…
こんにちは。本日は、百田尚樹氏の「日本国紀」の感想です。 百田氏は言動が目立つので、批判を集めることも多い。放送作家で「探偵ナイトスクープ」のチーフライターを25年務めていたので、人の関心を集める手法に長けているのだろう。好き嫌いがはっきり分…
こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「どちらかが彼女を殺した」の感想です。 加賀恭一郎シリーズの三作目。本作の視点は加賀恭一郎ではありません。被害者の兄「和泉康正」です。彼は愛知県警豊橋警察署の交通課に勤務しています。殺された和泉園子はたった一…
こんにちは。本日は、ティムール・ヴェルメシュ氏の「帰ってきたヒトラー」の感想です。 ドイツで250万部を売り上げ、映画では240万人を動員しています。好意的な評価ばかりではないにしても、それだけ人々の関心を引いた。 ドイツ人にとってヒトラーとはど…
こんにちは。本日は、メンタリストDaiGo氏の「人を操る禁断の文章術」の感想です。 とても実用的な内容です。文章を作成する時の目的を明確化しています。本書の目的を簡潔に言ってしまえば、 読む⇒言葉に反応する⇒想像する⇒行動を起こす このサイクルを起こ…
こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「AX」の感想です。 「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く、殺し屋シリーズの第三弾。シリーズといっても物語が直接的に繋がっている訳ではありません。前二作の登場人物も物語の中で登場する、緩めのクロスオー…
こんにちは。本日は、有川 浩さんの「レインツリーの国」の感想です。 有川 浩さんの作品を読むのは2年振りくらいでしょうか。自衛隊三部作のような恋愛小説もあれば、旅猫リポートにようなヒューマンドラマ(猫ですが)もあります。電撃小説大賞から作家を…
こんにちは。本日は、松原 隆彦氏の「文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る」の感想です。 著者の経歴を見ると、本書の内容に付いていけるか心配になります。ただ、タイトルどおり「文系でもよくわかる」なら大丈夫だろう。そう思いながら読み始め…
こんにちは。本日は、円城 塔氏の「Self-Reference ENGINE」の感想です。 円城 塔氏の作品は三作目です。既読は、芥川賞受賞作の「道化師の蝶」と伊藤計劃氏との共著「屍者の帝国」です。「屍者の帝国」は共著というより、ほぼ円城 塔氏の作品だと認識してい…
こんにちは。本日は、ローズマリ・サトクリフの「アーサー王と円卓の騎士」の感想です。 アーサー王物語として知られるものは民間伝承や創作によるものがほとんどです。一般的にアーサー王物語として知られているのは、中世後期に完成したトマス・マロリーが…
こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第10位、青柳碧人氏の「むかしむかしあるところに、死体がありました」の感想です。 誰でも知っている昔話をベースにしたミステリー作品です。完全な創作にはなりませんし、誰でも知っているから大幅に改変できません。昔…
こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第4位、横山秀夫氏の「ノースライト」の感想です。 著者は警察小説の第一人者です。警察以外の小説も書いていますが、やはり警察ものの印象が強い。警察小説の圧倒的な完成度の高さがそのように印象付けるのだろう。 特…
こんにちは。前回、「『21Lesson』:ユヴァル・ノア・ハラリ【感想みたいなもの】|Ⅳ 真実」の続きです。 Ⅴ レジリエンス 教育 意味 瞑想 終わりに Ⅴ レジリエンス 古い時代が破綻し、新しい物語が登場していない時代における人生を眺めます。知っていること…
こんにちは。前回、「『21Lesson』:ユヴァル・ノア・ハラリ【感想みたいなもの】|Ⅲ 絶望と希望」の続きです。 Ⅳ 真実 無知 正義 ポスト・トゥールース SF Ⅳ 真実 「ポスト真実」の概念から、現在のグローバルな情勢をどれだけ理解できるか。悪行と正義を…