読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、備忘録的に感想を綴るブログ。主に小説。映画もたまに。

小説(作家名)

ジェノサイド:高野和明【感想】

読み始めたら止まらないくらい、面白く読み応えがある作品です。 出来の良いハリウッド映画を観ているようです。もっと言えば、それ以上の奥行きがあります。小説なので視覚的な迫力はありません。その代わり、文章を読んで想像する世界は限りなく広がります…

夜行:森見登美彦【感想】

2017年本屋大賞の8位にランキングされてます。 ファンタジーの要素を軸にしていますが、ホラーに近い部分もある。単行本の表紙からは想像出来ない怖さを含んだ小説です。徐々に空気が重くなり、圧迫されていくような息苦しさを感じます。 「第一夜 尾道」か…

ダンス・ダンス・ダンス:村上春樹【感想】

「羊を巡る冒険」から四年後の「僕」の物語。 「風の歌を聴け」から始まり「1973年のピンボール」、「羊を巡る冒険」を三部作と言うなら、「ダンス・ダンス・ダンス」の位置付けは難しい。四部作としてカウントすべきなのでしょうか。ただ、鼠を付けると「鼠…

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。:辻村深月【感想】

主人公は、幼馴染の神宮司みずほと望月チエミ。 この二人を軸に、母娘の関係・女友達の関係を生々しく、重苦しく描いています。 30歳のみずほとチエミが感じる感情に共感できるかどうか。彼女たちが歩んできた今までの人生に共感できるかどうか。また、登場…

たゆたえども沈まず:原田マハ【感想】

画家「フィンセント・ファン・ゴッホ」の物語。 2018年本屋大賞の第4位に輝いています。 フィンセントの物語ですが、彼の視点で彼の人生が描かれている訳ではありません。フィンセントの弟「テオドルス・ファン・ゴッホ」とパリ在住の美術商「加納重吉」の…

仮面病棟:知念実希人【感想】

知念実希人の作品を読むのは初めてです。「崩れる脳を抱きしめて」が、2018年本屋大賞8位になるなど注目の作家です。 仮面病棟は、一気読み必死の本格ミステリー×医療サスペンスという触れ込みです。閉ざされた病院内は、読み手に手に汗を握る緊張感を与え…

クジラの彼:有川 浩【感想】

自衛隊を舞台にしたラブコメ。有川浩の持ち味がたっぷりと楽しめる作品です。 6編の短編から成る短編集です。 登場人物は自衛隊員。自衛隊員という縁遠い世界の人々の恋愛模様を、甘く描いています。まるで、高校生のような初々しさすら感じさせるほどです…

オー!ファーザー:伊坂幸太郎【感想】

ゴールデンスランバー以降、作風が変化している伊坂幸太郎。 しかし、「オー!ファーザー」は、それ以前の伊坂幸太郎らしさが前面に出た作品です。読者をニヤリとさせる会話の応酬。伏線を張り巡らし、怒涛の回収をする結末。 爽快感のあるストーリー展開を…

旅猫リポート:有川 浩【感想】

勘のいい人なら物語のかなり早い段階で、主人公の悟がナナを飼えなくなった理由に気付きます。遅くとも、「Report-03 スギとチカコ」の章でのトラマルの台詞で、確実に気付くでしょう。ナナを飼えなくなった理由が、単なるリストラでないことを。 悟とナナを…

風に舞いあがるビニールシート:森 絵都【感想】

第135回直木賞受賞作。 森 絵都の作品は「カラフル」を読んで以来、2作目です。「カラフル」は中高生向けの印象でした。 本作は、6編から成る短編集です。それぞれが独立した話であり、全く関係性がありません。 しかし、6編には共通するテーマがあると思…

空飛ぶタイヤ:池井戸 潤【感想】

物語の発端となる事故。事件と言ってもいいかもしれません。 走行中のトラックのタイヤが外れ、そのタイヤの直撃を受け母親が死亡し、子供が軽傷を負う。 この事故を聞き、多くの人がある事故を思い浮かべるはずです。 2002年1月10日に横浜で起きた痛ましい…

i:西 加奈子【感想】

読後には、何とも表現し難い感情が心に残りました。 感動と一言で言えるほど、単純な気持ちではない気がします。では、感動でなければ何なのか。 結末に対する喜びでもなく、納得でもなく、考えさせられるということでもない。主人公のアイに対する純粋な共…

夢見る黄金地球儀:海堂 尊【感想】

海堂尊と言えば「医療ミステリー」を思い浮かべます。現役医師である海堂尊だからこそ描ける作品です。 「夢見る黄金地球儀」は、医療から離れ、黄金地球儀を盗むドタバタコメディ劇と言ったところでしょうか。ドタバタ感とコメディ感が、やたらと目立ちます…

ハーモニー:伊藤計劃【感想】

数少ない伊藤計劃の長編のひとつです。 「屍者の帝国」を彼の長編にカウントしなければ、「ハーモニー」が最後の長編作品ということになります。彼独自の世界観により設定された近未来を舞台に、人間が人間として存在する意味や価値にまで踏み込んだ作品です…

SOSの猿:伊坂幸太郎【感想】

「私の話」と「猿の話」のふたつの物語から構成されています。 共通点もなく、交わらないふたつの物語が、最終的にどのように関係していくのか。 伊坂幸太郎ならば、きっと意表を突きながらも、納得出来る結末を用意しているのだろう、と期待してしまいます…

ブラックペアン1988:海堂 尊【感想】

嵐の二宮和也主演でドラマが放映されています。過去に読んだことがあるのですが、ドラマ放映をきっかけに再読しました。 何故なら、残っていた小説の記憶とドラマでは、登場人物たちにかなり違いがあるな、とおぼろげに感じたからです。何となく違和感を感じ…

螺鈿迷宮:海堂 尊【感想】

「螺鈿迷宮」では、終末期医療と死亡時医学検索がテーマです。 死亡時医学検索は、著者にとって重要なテーマです。 現在の日本は、死因不明社会だと断言しているからです。死因究明を果たさせない医療システムに未来はない。著者が抱いている危惧でしょう。 …

深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン:沢木耕太郎【感想】

旅は、イタリアに入ります。 ヨーロッパに入り、いよいよ旅の終わりを実感しつつ先へ進んでいきます。 第5巻でアジアの旅に思いを馳せ、二度同じ旅が出来ない喪失感を感じています。旅の目的地ロンドンが近づくにつれ、達成感からは程遠い感情が襲ってくる…

冷たい校舎の時は止まる:辻村深月【感想】

今、最も注目されている作家の一人である辻村深月のデビュー作。 文庫で上下巻、1,000ページ以上の長編です。デビュー作とは思えないくらいの完成度の高いミステリー小説だと思います。 雪が降りしきる学校の中に閉じ込められた8人の生徒。閉じられた世界の…

桜風堂ものがたり:村山早紀【感想】

読後は、とても優しく満たされた気分になります。 書店と書店員の物語。 しかし、単なる職業小説ではありません。本に向き合う書店員たちの暖かくひたむきな思いと、彼らの心の交流を描いています。 彼らが本を愛する気持ちが、ひしひしと伝わってきます。本…

あるキング:伊坂幸太郎【感想】

伊坂幸太郎は、作品が文庫化する時に加筆・修正することがあります。前回読んだ「モダンタイムス」もそうでした。 「あるキング」も、雑誌連載時・単行本・文庫とそれぞれに加筆修正されてます。 著者は、単行本化の書き直しの時は、本筋は同じだが、違った…

謎解きはディナーのあとで:東川篤哉【感想】

2011年の本屋大賞受賞作。 1話完結の短篇集で、第6話まであります。 殺人事件を捜査するミステリー物ですが、本格的なミステリーを期待して読むと肩透かしを食らいます。 主要登場人物は、「宝生麗子」と上司の「風祭警部」、それと麗子の執事兼運転手「影…

忘れられた巨人:カズオ・イシグロ【感想】

カズオ・イシグロ氏の小説を読むのは、「日の名残り」に続き2作目となります。 舞台は「日の名残り」と同じくイギリスですが、時代も背景も全く違います。この作品は、ファンタジーの要素が強い。 時は6世紀頃。伝説のアーサー王の死後のイギリス。まだ、…

将棋の子:大崎善生【感想】

藤井聡太棋士の影響で注目を集めている将棋界。光の当たる表舞台で活躍する棋士たちの陰には、多くの夢破れた若者たちがいます。 奨励会というプロ棋士になるための競争の中で敗れ去り、消えていった若者たちの闘いとその後の人生を描いたノンフィクション小…

甲賀忍法帖:山田風太郎【感想】

以前から読みたい本の一冊でした。 初出が1958年と言うのが信じられないほど、面白い。60年近く経っていても、色褪せない。 伊賀と甲賀の忍者の戦い。10対10の団体戦。 忍者同士の戦いと言えば、お互い鍛え上げた忍法を駆使し、その技量を持って勝敗を決す。…

深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海:沢木耕太郎【感想】

第4巻「シルクロード」は、とにかく移動に次ぐ移動ばかりでした。その国々の深層にまで踏み込むほどの熱意や興味をあまり感じていないようでした。 著者の比較対象は、今までの旅の中でも、特に香港になってしまっているようです。香港のような興奮を感じさ…

つばさものがたり:雫井脩介【感想】

久しぶりに泣きそうになった一冊でした。 天使と妖精のハーフの「レイ」。レイの姿が見え、会話ができる叶夢。 ファンタジー小説かな、と思わせます。 しかし、主人公の君川小麦に降りかかるのは、乳がんという現実的な苦しみ。夢であったケーキ屋を開店する…

モダンタイムス:伊坂幸太郎【感想】

「魔王」から50年後が舞台です。なので、魔王の続編とも言えますが、物語が続いている訳ではありません。ただ、時間軸として魔王の延長線上にありますし、共通する登場人物として、安藤詩織や潤也なども登場します。 主人公である「渡辺」も、安藤潤也に連な…

ダブル・ジョーカー:柳 広司【感想】

「ジョーカー・ゲーム」の第2作目。6話から成る短編集です。 第二次世界大戦前から開戦に至る混沌とした時代を背景に、「D機関」のスパイが暗躍する。 物語自体はフィクションでありながら、現実の時代背景を舞台に描かれているので、とてもリアリティ溢…

マツリカ・マジョルカ:相沢沙呼【感想】

相沢沙呼のマツリカシリーズ第一弾。短編4編から構成される小説です。 高校生の頃に読んでいれば、違った感想を持っただろう。読後の第一印象です。もっと主人公である「柴山祐希」に共感できたかもしれません。 だからと言って、全く共感出来ない訳でもあ…