読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、備忘録的に感想を綴るブログ。主に小説。映画もたまに。

小説(作家名)

i:西 加奈子【感想】

読後には、何とも表現し難い感情が心に残りました。 感動と一言で言えるほど、単純な気持ちではない気がします。では、感動でなければ何なのか。 結末に対する喜びでもなく、納得でもなく、考えさせられるということでもない。主人公のアイに対する純粋な共…

夢見る黄金地球儀:海堂 尊【感想】

海堂尊と言えば「医療ミステリー」を思い浮かべます。現役医師である海堂尊だからこそ描ける作品です。 「夢見る黄金地球儀」は、医療から離れ、黄金地球儀を盗むドタバタコメディ劇と言ったところでしょうか。ドタバタ感とコメディ感が、やたらと目立ちます…

ハーモニー:伊藤計劃【感想】

数少ない伊藤計劃の長編のひとつです。 「屍者の帝国」を彼の長編にカウントしなければ、「ハーモニー」が最後の長編作品ということになります。彼独自の世界観により設定された近未来を舞台に、人間が人間として存在する意味や価値にまで踏み込んだ作品です…

SOSの猿:伊坂幸太郎【感想】

「私の話」と「猿の話」のふたつの物語から構成されています。 共通点もなく、交わらないふたつの物語が、最終的にどのように関係していくのか。 伊坂幸太郎ならば、きっと意表を突きながらも、納得出来る結末を用意しているのだろう、と期待してしまいます…

ブラックペアン1988:海堂 尊【感想】

嵐の二宮和也主演でドラマが放映されています。過去に読んだことがあるのですが、ドラマ放映をきっかけに再読しました。 何故なら、残っていた小説の記憶とドラマでは、登場人物たちにかなり違いがあるな、とおぼろげに感じたからです。何となく違和感を感じ…

螺鈿迷宮:海堂 尊【感想】

「螺鈿迷宮」では、終末期医療と死亡時医学検索がテーマです。 死亡時医学検索は、著者にとって重要なテーマです。 現在の日本は、死因不明社会だと断言しているからです。死因究明を果たさせない医療システムに未来はない。著者が抱いている危惧でしょう。 …

深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン:沢木耕太郎【感想】

旅は、イタリアに入ります。 ヨーロッパに入り、いよいよ旅の終わりを実感しつつ先へ進んでいきます。 第5巻でアジアの旅に思いを馳せ、二度同じ旅が出来ない喪失感を感じています。旅の目的地ロンドンが近づくにつれ、達成感からは程遠い感情が襲ってくる…

冷たい校舎の時は止まる:辻村深月【感想】

今、最も注目されている作家の一人である辻村深月のデビュー作。 文庫で上下巻、1,000ページ以上の長編です。デビュー作とは思えないくらいの完成度の高いミステリー小説だと思います。 雪が降りしきる学校の中に閉じ込められた8人の生徒。閉じられた世界の…

桜風堂ものがたり:村山早紀【感想】

読後は、とても優しく満たされた気分になります。 書店と書店員の物語。 しかし、単なる職業小説ではありません。本に向き合う書店員たちの暖かくひたむきな思いと、彼らの心の交流を描いています。 彼らが本を愛する気持ちが、ひしひしと伝わってきます。本…

あるキング:伊坂幸太郎【感想】

伊坂幸太郎は、作品が文庫化する時に加筆・修正することがあります。前回読んだ「モダンタイムス」もそうでした。 「あるキング」も、雑誌連載時・単行本・文庫とそれぞれに加筆修正されてます。 著者は、単行本化の書き直しの時は、本筋は同じだが、違った…

謎解きはディナーのあとで:東川篤哉【感想】

2011年の本屋大賞受賞作。 1話完結の短篇集で、第6話まであります。 殺人事件を捜査するミステリー物ですが、本格的なミステリーを期待して読むと肩透かしを食らいます。 主要登場人物は、「宝生麗子」と上司の「風祭警部」、それと麗子の執事兼運転手「影…

忘れられた巨人:カズオ・イシグロ【感想】

カズオ・イシグロ氏の小説を読むのは、「日の名残り」に続き2作目となります。 舞台は「日の名残り」と同じくイギリスですが、時代も背景も全く違います。この作品は、ファンタジーの要素が強い。 時は6世紀頃。伝説のアーサー王の死後のイギリス。まだ、…

将棋の子:大崎善生【感想】

藤井聡太棋士の影響で注目を集めている将棋界。光の当たる表舞台で活躍する棋士たちの陰には、多くの夢破れた若者たちがいます。 奨励会というプロ棋士になるための競争の中で敗れ去り、消えていった若者たちの闘いとその後の人生を描いたノンフィクション小…

甲賀忍法帖:山田風太郎【感想】

以前から読みたい本の一冊でした。 初出が1958年と言うのが信じられないほど、面白い。60年近く経っていても、色褪せない。 伊賀と甲賀の忍者の戦い。10対10の団体戦。 忍者同士の戦いと言えば、お互い鍛え上げた忍法を駆使し、その技量を持って勝敗を決す。…

深夜特急5 トルコ・ギリシャ・地中海:沢木耕太郎【感想】

第4巻「シルクロード」は、とにかく移動に次ぐ移動ばかりでした。その国々の深層にまで踏み込むほどの熱意や興味をあまり感じていないようでした。 著者の比較対象は、今までの旅の中でも、特に香港になってしまっているようです。香港のような興奮を感じさ…

つばさものがたり:雫井脩介【感想】

久しぶりに泣きそうになった一冊でした。 天使と妖精のハーフの「レイ」。レイの姿が見え、会話ができる叶夢。 ファンタジー小説かな、と思わせます。 しかし、主人公の君川小麦に降りかかるのは、乳がんという現実的な苦しみ。夢であったケーキ屋を開店する…

モダンタイムス:伊坂幸太郎【感想】

「魔王」から50年後が舞台です。なので、魔王の続編とも言えますが、物語が続いている訳ではありません。ただ、時間軸として魔王の延長線上にありますし、共通する登場人物として、安藤詩織や潤也なども登場します。 主人公である「渡辺」も、安藤潤也に連な…

ダブル・ジョーカー:柳 広司【感想】

「ジョーカー・ゲーム」の第2作目。6話から成る短編集です。 第二次世界大戦前から開戦に至る混沌とした時代を背景に、「D機関」のスパイが暗躍する。 物語自体はフィクションでありながら、現実の時代背景を舞台に描かれているので、とてもリアリティ溢…

マツリカ・マジョルカ:相沢沙呼【感想】

相沢沙呼のマツリカシリーズ第一弾。短編4編から構成される小説です。 高校生の頃に読んでいれば、違った感想を持っただろう。読後の第一印象です。もっと主人公である「柴山祐希」に共感できたかもしれません。 だからと言って、全く共感出来ない訳でもあ…

民王:池井戸 潤【感想】

ドラマを先に観ていたので、どうしても、小説を読んでいて、登場人物の印象がドラマの印象に引っ張られてしまいます。 ただ、ドラマのキャスティングは、小説のイメージに近いかなと感じたので、違和感はありませんでした。 池井戸潤の小説らしく、爽快感が…

マチネの終わりに:平野啓一郎【感想】

「大人の切なく美しい恋物語」 主人公の「蒔野聡史」は38歳。「小峰洋子」は40歳。 恋愛小説の主人公としては、年齢が高い。恋愛小説の主人公は、10代から20代くらいの若者の物語が多い。30代40代になると、不倫をテーマにした物語が多くなっている気がしま…

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド:村上春樹【感想】

「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」のふたつの世界を舞台にした物語が、交互に語られていきます。小説の構成上、交互に描かれていますので、同時進行的に語られていきます。 しかし、同時に語られているから、同じ時間軸で同時に起こってい…

コーヒーが冷めないうちに:川口俊和【感想】

2017年の本屋大賞ノミネート作品です。 読めば「4回泣けます」という通り、短篇四話から成る短編集です。過去に戻れる喫茶店を舞台に、恋人・夫婦・姉妹・親子の愛を描いた物語。 過去に戻る物語と聞くと、SF的な印象を受けます。過去に戻って、人生をやり…

深夜特急4 シルクロード:沢木耕太郎【感想】

第3巻「インド・ネパール」で、ようやく本来の旅の出発地であるデリーに辿り着きます。 デリーでの出来事は、第1巻「発端」において、既に詳細に描かれています。第4巻は、発端の続きです。デリーを出発するところから始まります。少しだけ、回想としてデ…

火花:又吉直樹【感想】

第153回芥川賞受賞作です。 純文学としての「火花」をどのように読み解いていくのか。芥川賞受賞作を読むたびに、自分自身の純文学の読解力のなさに辟易してしまいます。 「火花」においても、純文学として何が評価されたのか理解できませんでした。人の心象…

虐殺器官:伊藤計劃【感想】

この小説を読んで、ふたつのことを感じました。 まずは、これがデビュー作なのかという驚きです。 設定は、9.11以降。フィクションでありながら、現実感の伴う設定に驚かされます。 テロとの戦いの果てに辿り着いた管理体制 軍隊 先進国と後進国 今、世界は…

舟を編む:三浦しをん【感想】

辞書を作る。 小・中・高校と、国語辞典を使っておきながら、どうやって作られているのかを考えたことなど一度もありません。 辞書は、小説などと違い、その目的がはっきりしています。分からない言葉を調べるということです。同じ書物でありながら、異質の…

ゴールデンスランバー:伊坂幸太郎【感想】

自分の眼で世界を見て判断し、自分の意志で生きていくこと。惰性で流され、何も考えないで生きていることが、どれほど恐ろしいことなのか。伊坂幸太郎が描きます。

クリムゾンの迷宮:貴志祐介【感想】

物語の前半と後半で、これほど様相が変わると思わなかった。 前半はミステリーの要素が多く、後半は完全なホラー小説に変貌しています。 私は、「バトルロワイヤル」を未読なので比べようもないですが、「バトルロワイヤル」も「クリムゾンの迷宮」も、初版…

深夜特急3 インド・ネパール:沢木耕太郎【感想】

シンガポールから、本来の旅の出発地であるインドへと旅立つところから始まります。と言っても、旅の出発地となる「デリー」に向かわず、手前の「カルカッタ」へ降り立つところは、いかにも、放浪に近い「旅」の醍醐味なのであろう。 カルカッタへ行くと決め…