読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

小説(作家名)-や行の作家

愚者のエンドロール:米澤穂信【感想】|「古典部」がビデオ映画の謎に迫る

「古典部」シリーズの第二弾。前作「氷菓」は高校1年の入学から夏休みくらい(最終章は夏休み後、文化祭直前になってますが)までです。本作は、夏休みの終盤を舞台に描かれています。「古典部」シリーズは、高校生の学内ミステリー小説です。「愚者のエンド…

氷菓:米澤穂信【感想】|古典部シリーズの原点。登場人物の個性が溢れ出す

「古典部」シリーズの第一作。高校一年の折木奉太郎を主人公にした学園推理小説です。当初、角川スニーカー文庫から刊行されていますので、ライトノベル系のミステリー小説という位置付けなのでしょう。推理小説と言っても、高校が舞台なので人が死ぬことは…

横道世之介:吉田修一【感想】|過ぎ去った大学生活をふと思い出す。そこにあるものは・・・

読みやすい文章に、軽快でテンポの良いストーリー展開。笑えるシーンが多くありながら、最後には心に響くエンディングが用意されています。主人公「世之介」は、取り立てて特徴のない大学生です。周りに流され、自分の意見を押し通すほど強気な部分はありま…

甲賀忍法帖:山田風太郎【感想】

以前から読みたい本の一冊でした。 初出が1958年と言うのが信じられないほど、面白い。60年近く経っていても、色褪せない。 伊賀と甲賀の忍者の戦い。10対10の団体戦。 忍者同士の戦いと言えば、お互い鍛え上げた忍法を駆使し、その技量を持って勝敗を決す。…

ダブル・ジョーカー:柳 広司【感想】

「ジョーカー・ゲーム」の第2作目。6話から成る短編集です。 第二次世界大戦前から開戦に至る混沌とした時代を背景に、「D機関」のスパイが暗躍する。 物語自体はフィクションでありながら、現実の時代背景を舞台に描かれているので、とてもリアリティ溢…

利休にたずねよ:山本兼一【感想】

「利休にたずねよ」の内容 「利休にたずねよ」の感想 利休の生涯 多重な視点による利休像 利休にたずねよ 利休と茶の湯と美 「利休にたずねよ」の内容 女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙…

ジョーカー・ゲーム:柳 広司【感想】|スパイの本質は「死ぬな、殺すな」

スパイといってまず思い浮かぶのが、007の「ジェームズ・ボンド」とミッション・インポッシブルの「イーサン・ハント」です。どちらもフィクションの話ですが、世界で最も有名なスパイの内の二人でしょう。アクション映画なのでエンターテイメント性が高…

しんせかい:山下澄人【感想】|淡々と描かれる日記のような小説。芥川賞の理由はどこに?

第156回芥川賞受賞作。著者である山下澄人氏は、倉本 聰氏主宰の富良野塾の第2期生です。「しんせかい」は、山下澄人氏が富良野塾第2期生として過ごした1年間を記した自伝的小説と位置付けられるでしょう。 「しんせかい」の内容 「しんせかい」の感想 小…

怒り:吉田修一【感想】|最後まで人を信じることの難しさ

あらすじを見る限り、殺人事件の犯人の行方と「怒」という文字の意味を解き明かしていくミステリー小説と思って読み始めました。しかし、小説の導入部分で殺人事件が起こり犯人が「山神一也」と判明した後は、全くの予想外の展開が始まりました。 「怒り」の…

沈まぬ太陽(会長室篇):山崎豊子【感想】|恩地の果てなき闘いが終わる・・・

「沈まぬ太陽(会長室篇)」の内容 「沈まぬ太陽(会長室篇)」の感想 善と悪 単純に区分していいのか 終わりに 「沈まぬ太陽(会長室篇)」の内容 「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だ…

沈まぬ太陽(御巣鷹山篇):山崎豊子【感想】|決して風化させてはいけない

「沈まぬ太陽」は、取材に基づいた事実と創作が入り混じった小説です。「御巣鷹山篇」は、昭和60年に起こった日本航空123便墜落事故であることは明らかです。主人公の恩地のモデルとなった小倉寛太郎は、この墜落事故には関わっていません。彼をモデルにした…

沈まぬ太陽(アフリカ篇):山崎豊子【感想】|果てに流され続けても、屈せず耐え抜く男

「この作品は、多数の関係者を取材したもので、登場人物、 各機関・組織なども事実に基づき、小説的に再構築したものである」 「事実に基づき、小説的に」という言い方が微妙です。事実に基づいているが、創作されている部分もあるということでしょうか。た…

神々の山領:夢枕 獏【感想】|未踏に命を懸ける男

「神々の山領」の内容 カトマンドゥの裏街でカメラマン・深町は古いコダックを手に入れる。そのカメラはジョージ・マロリーがエヴェレスト初登頂に成功したかどうか、という登攀史上最大の謎を解く可能性を秘めていた。カメラの過去を追って、深町はその男と…

64(ロクヨン):横山秀夫【感想】|犯人は、まだ昭和にいる

「64」の内容 元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。記…