読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

芥川賞

火花:又吉直樹【感想】

第153回芥川賞受賞作です。 純文学としての「火花」をどのように読み解いていくのか。芥川賞受賞作を読むたびに、自分自身の純文学の読解力のなさに辟易してしまいます。 「火花」においても、純文学として何が評価されたのか理解できませんでした。人の心象…

終の住処:磯﨑憲一郎【感想】

「終の住処」の内容 結婚すれば世の中のすべてが違って見えるかといえば、やはりそんなことはなかったのだ―。互いに二十代の長く続いた恋愛に敗れたあとで付き合いはじめ、三十を過ぎて結婚した男女。不安定で茫漠とした新婚生活を経て、あるときを境に十一…

影裏:沼田真佑【感想】|色彩豊かな自然が現実の切なさを際立たせる

第157回芥川賞受賞作です。主人公である今野の日常を、時間の経過とともに淡々と綴っていく。そんな小説です。淡々と語っているに過ぎないような小説であったとしても、著者には明確な意図があって作られた小説であることには間違いありません。ただ、多くの…

異類婚姻譚:本谷有希子【感想】|オカルトのような結末に、理解が追い付かない

主人公の「サンちゃん(妻)」が、夫とそっくりの顔になっていくところから始まります。夫婦間の関係性を描いた作品なのかな、と思いつつ読み進めていきました。結末に至ると「もしかしてオカルト?」なのかな、と感じます。読後は、ボンヤリとした気持ち悪…

死んでいない者:滝口悠生【感想】|通夜の一晩が永遠のようでありながらも淡々と過ぎ去っていく。

第154回芥川賞受賞作です。「死んでいない 者」は、生きている人のことを言うのだろうか。それなら、この小説の中では通夜に集まった人々のことになります。「死んで いない者」と読むと、85歳で大往生を遂げた故人ということになります。 おそらく両方の意…

スクラップ・アンド・ビルド:羽田圭介【感想】|コミカルに描いているが老人介護を真剣に考えざるを得なくなる

第153回芥川賞受賞作です。又吉直樹氏「火花」と同時受賞により、ちょっと影が薄くなってしまった気がします。 「超高齢化社会」と「老人介護」という現代社会の喫緊の課題を扱った小説でありながら、あまり悲壮感漂う作品ではありません。どちらかと言えば…

共喰い:田中慎弥【感想】|淀んだ川縁で描かれる鬱屈した心象風景

第146回芥川賞受賞作。円城塔氏の「道化師の蝶」との同時受賞です。全体を通して、暗く鬱屈したねっとりと纏わりつくような不快感というか気持ち悪さを感じざるを得ない作品でした。読みたくなくなるというものではなく、人間の負の部分だけを抽出し表現して…

しんせかい:山下澄人【感想】|淡々と描かれる日記のような小説。芥川賞の理由はどこに?

第156回芥川賞受賞作。著者である山下澄人氏は、倉本 聰氏主宰の富良野塾の第2期生です。「しんせかい」は、山下澄人氏が富良野塾第2期生として過ごした1年間を記した自伝的小説と位置付けられるでしょう。 「しんせかい」の内容 「しんせかい」の感想 小…

道化師の蝶:円城 塔【感想】|あまりの難解さに著者の意図が分からない

第146回芥川賞の受賞作。田中慎弥さんの「共喰い」と同時受賞です。円城塔氏の作品は、伊藤計劃氏との共作「屍者の帝国」を以前に読んだことがあるだけでした。その感想はいずれ書こうと思っていますが、文章表現がかなり難解でした。 「道化師の蝶」を読む…