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映画「三度目の殺人」を観た

 福山雅治・役所広司のW主演。監督は「そして父になる」で福山雅治と組んだ是枝裕和監督。日本のみならず世界でも評価されている是枝監督作品ということで、期待して観に行きました。役所広司、福山雅治はもとより、出演者全ての圧倒的な演技力に、久しぶりに重厚な映画を観ました。   

 1分30秒の予告編  

   

「三度目の殺人」のあらすじ 

 それは、ありふれた裁判のはずだった。殺人の前科がある三隅(役所広司)が、解雇された工場の社長を殺し、火をつけた容疑で起訴された。犯行も自供し死刑はほぼ確実。しかし、弁護を担当することになった重盛(福山雅治)は、なんとか無期懲役に持ちこむため調査を始める。
 何かが、おかしい。調査を進めるにつれ、重盛の中で違和感が生まれていく。三隅の供述が、会うたびに変わるのだ。金目当ての私欲な殺人のはずが、週刊誌の取材では被害者の妻・美津江(斉藤由貴)に頼まれたと答え、動機さえも二転三転していく。さらには、被害者の娘・咲江(広瀬すず)と三隅の接点が浮かび上がる。重盛がふたりの関係を探っていくうちに、ある秘密に辿り着く。
 なぜ殺したのか?本当に彼が殺したのか?得体の知れない三隅の闇に呑みこまれていく重盛。弁護に必ずしも真実は必要ない。そう信じていた弁護士が、初めて心の底から知りたいと願う。その先に待ち受ける慟哭の真実とは?【ABOUT THE MOVIE 「三度目の殺人」公式サイトより引用】 

キャスティング 

  • 重盛朋章(福山雅治)・・・真実よりも法廷で勝つことを優先する弁護士。死刑がほぼ確実の殺人犯三隅高司を、無期懲役にしようと調査を始める。しかし、三隅と会うたびに、勝つことよりも真実を求めていく。 
  • 三隅高司(役所広司)・・・解雇された工場の社長を殺害し、遺体に火をつけた容疑で逮捕され、犯行を自供する。会うたびに供述を変え、真意を掴ませない。単なる殺人犯なのか。それとも、何かを隠しているのか。 
  • 山中咲江(広瀬すず)・・・三隅が殺害し遺体を燃やした工場の社長の娘。殺された社長である父親との関係が、三隅を殺人へと決意させたのか。咲江と三隅の関係は。  
  • 摂津大輔(吉田鋼太郎)・・・重盛とともに、三隅の殺人事件の弁護を行う。元検事の弁護士。真実よりも現実的な判断で裁判を進めようとする。 
  • 川島輝(満島真之介)・・・重盛の弁護士事務所の若手弁護士。法廷での駆け引きに疑問を持ち真実を追求しようとする誠実な弁護士。 
  • 山中美津江(斉藤由貴)・・・殺された社長の妻で 咲江の母。  

「三度目の殺人」の感想 

 法廷を舞台にした心理サスペンスですが、その駆け引きを行う相手は検事ではなく弁護するはずの殺人犯。真実を知る殺人犯と、裁判には必ずしも真実は必要ないという弁護士。弁護士が真実を知ろうとした時、真実を語っているのかどうか分からない犯人に強い苛立ちと憤りを感じるようになっていく様子が描かれています。真実を知ろうとする福山雅治演じる重盛が、役所広司演じる三隅に翻弄されていきます。 

 映画は、三隅が工場社長を殴り殺しガソリンで燃やすシーンから始まります。犯人が三隅であることを前提に物語は始まるのです。そして、三隅も自供しています。それでありながら重盛が接見した時の三隅の不穏な雰囲気が、この殺人事件の裏側にある何かを伝えてきます。何かを隠しているが、それが何かを掴ませない言動・表情が気になってきます。映画の見どころは、法廷ではなく接見室にあります。真実を知りたい重盛と、真実からわざと遠ざけようとしているかのような三隅の態度。一体、三隅は何を隠しているのか。何のために証言を何度も変えるのか。接見のたびに謎は深まります。そして、重盛が咲江と三隅の関係を知った時に物語は動きます。咲江が三隅のために起こそうとした行動。それを知った三隅の新たなる証言。その証言は真実なのかどうか。 

 この映画には、いくつかの暗喩が映像的表現で用いられています。 北海道の雪原で、3人で仰向けに倒れ込むシーン。殺害シーンで遺体を燃やす三隅が咲江に取って代わるシーン。逃がしたカナリヤが拘置所の三隅の元に戻ったと思わせるシーン。など。そして、この暗喩にために、観客は三隅の最後の証言に惑わされます。

 裁判が終わった後に、三隅を訪れた重盛が最後の証言の真意を問います。確かに一番納得のできる理由であり、それが真実なのであろうと思わせます。その通りであるのなら全てが解決します。三隅の今までの態度も。しかし、三隅に否定されてしまいます。このことにより、観客である我々もどこかに投げ出されてしまいます。

 「三度目の殺人」の意味は、一体どこにあったのか。三隅は過去に一度の殺人を犯し、今回の殺人で二度目です。では、三度目の殺人は?それが、最後の三隅の否定なのかもしれません。  

ヴェネチア国際映画祭   

 「三度目の殺人」は、第74回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品されました。しかし、残念なことに無冠に終わりましたが、上映後は約6分間のスタンディングオベーションが起こったようです。受賞は逃したものの、世界はこの映画を高く評価したのだと思います。