懐かしい遊びが、思わぬ頭脳戦に

ごきげんいかがですか。まんぱです。
タイトルを見たとき、ついグリコ森永事件を題材にした小説かと思ってしまいました。何十年経っても「グリコ」という言葉には、あの事件の印象が強く残っていますから。
でも、読み始めてすぐに「違う」と気づきました。本作は懐かしい遊びやゲームを題材に、頭脳戦や心理戦を楽しめる連作短篇集です。
懐かしい遊びから始まる物語
作中に登場する「グリコ」という遊び、懐かしいです。私も子どものころによく遊びました。ルールは今でも覚えていて、身体に染みついていると言えるくらいです。
「グリコ、チョコレート、パイナップル」という言葉を聞くだけで、遊んだ記憶がよみがえります。今の子どもたちも遊んでいるのかな、と少し気になりました。
ジャンルとしては、ゲーム対戦を軸にしたミステリー小説といったところでしょうか。
ギャンブル漫画『カイジ』を思い出させるところもあります。生々しいお金のやり取りは少ないですが、勝敗をかけた頭脳戦や心理戦のドキドキ感は似ています。
本作は5編の短編で構成され、各短編ごとに結末を迎えます。しかし、全て読み終えて初めてひとつの大きな物語が完成します。なので、順番通りに読むことが大切です。
高校生の非現実的な戦い
順番に読み進めると、回を追うごとに「ちょっと現実感がないな」と感じる場面が増えます。第一編「地雷グリコ」は、まだリアリティがあります。
遊び自体に馴染みがあるのと、ゲームをやらなければならない理由も納得できるからです。高校生が遊ぶ範囲としても自然に思えます。
しかし、星越高校やSコインが登場し、ゲームがどんどん複雑になると少し現実味が薄れてきます。ゲームが複雑になればなるほど対戦者の頭脳や駆け引きも高度になりますが、読者としてはついていくのが大変です。
謎が解ければ納得できる部分もありますが、「高校生がこんなことを?」と思うこともしばしばです。
さらに、高校生が何千万から一億円ものお金を賭けるのも現実離れしています。学内でそんな大金を動かせる学校の存在も想像しにくいです。結局のところ、現実感のなさが物語に入り込めない原因になっています。
最終戦の賭け金やゲーム内容を考えると、『カイジ』の世界なら自然に楽しめるでしょう。でも、現実感を重視すると、やはりちょっと置き去り感があります。
それでもゲームの心理戦や頭脳戦を楽しむ視点で読めば、面白さは十分感じられます。
終わりに
本作は懐かしい遊びを題材にした、頭脳戦や心理戦を楽しめる連作短編集です。後半にかけて非現実的な展開が増えてリアリティには欠けますが、短編ごとに楽しめる要素も多くあります。
ゲームの複雑さや巨額の賭け金を気にせず心理戦や駆け引きの面白さを味わうと、新鮮でスリリングな体験ができる一冊と言えると思います。
読書って本当にいいものですね。