『TENET テネット』映画レビュー|時間逆行の難解さと圧倒的映像体験:MANPA Blog

映画「TENET テネット」。観た瞬間から「どういうこと?」ってなる、ノーラン監督らしいSFアクションです。

時間を逆行させるっていう発想に加えて、銃弾が戻ったり車が事故前に復活したりする映像は目が離せません。でも正直、一回観ただけじゃ全貌を理解するのは至難の業です。

混乱しつつも何か強烈に記憶に残る、そんな映画です。

 

 

謎だらけの時間逆行ワールド

まず言っておきますが、「TENET」は一度観ただけで「ああ、なるほど」となる映画じゃありません。

予告編からして「これは普通じゃないぞ」って感じでしたけど、実際に観ると、その難解さは想像以上です。一歩間違えると、頭の中が完全にパニック状態です。

何が印象的かというと、時間を逆行させるっていうアイデアを映像で見せてくるところです。銃弾が戻ったり、事故った車が元通りになったり・・・。

見たことのない映像が次々に出てきて、思わず「おおっ!」って声が出ます。ただ、これがストーリーをわかりやすくしてくれるわけではないんです。

「これ、今どっちの時間だっけ?」とか「この人は未来から来たの?それとも過去に戻ったの?」って、ずっと考えながら観ることになります。

物語の中心は、未来から世界を破滅させようとする存在を止めること、だと思います。主人公は「名もなき男」として登場し、ある装置で時間を逆行できるようになります。

でも逆行のルールがややこしすぎて、説明もセリフでポンポン流れるだけ。「今どうなってるの?」って頭の中で整理しながら観ないと置いていかれます。

 

終盤の時間逆行作戦は圧巻

そして迎えるクライマックス。これが、頭がぐちゃぐちゃになるくらい複雑です。赤チームは順行しながら戦い、青チームは逆行して同じ戦場に突入。

建物が爆発しているのに同時に元に戻る。そんな映像の連続で、視覚的には圧倒されます。でも、意味を理解するのはかなり難しい。

「なんであのタイミングで突入したの?」「なんで片方は過去、もう片方は未来?」と、頭の中で整理しながら観ないとついていけません。迫力に圧倒されつつも、理解しようとすると正直疲れます。

さらに、ニール(ロバート・パティンソン)の役割も終盤で明らかになります。しかし、感情の起伏はあまりなく、説明だけで片付けられる印象です。

主人公との深い絆や過去の別れ話は感動的なはずですが、初見ではその重みを感じにくいんです。

 

難解さと映像美のせめぎ合い

「TENET」は、順行と逆行が入り乱れるので、キャラクターの動きや任務の意味を完全に理解するのは正直大変です。

ノーラン監督は「何度も観て理解してほしい」って意図を持っているのかもしれません。でも観客としては、せめて一回である程度理解したい。

時間をテーマにした映画でも、もう少しわかりやすく伝える方法はあったんじゃないかな、と思います。

それでも、映像の迫力や斬新さ、緻密な構成には脱帽です。時間の逆行と音楽のテンポが連動しているかのような場面もあって、まるでパズルをひとつずつはめていく感覚です。ただ、そのパズルがあまりに複雑すぎて、全体像はなかなか見えません。

 

終わりに

まとめると、「TENET テネット」は間違いなく斬新で野心的です。でも、物語の複雑さが理解の妨げになっています。

特に終盤は映像のハイライトでありながら、感動より混乱の印象が強く残ります。「何度も観れば楽しめる」という声は、言い換えれば「一回じゃ理解できない」ということでもあります。

それでも、時間という概念を映像でここまで表現したのは本当にすごいです。ノーラン監督の挑戦的な姿勢には敬意を払いたい。難解だけど記憶に残る、不思議で刺激的な映画体験でした。