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『メモの魔力』:前田裕二【感想】|メモに対する意識が変わる

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 著者は有名な実業家の一人です。メディアに露出する機会もあるので、知っている人も多いでしょう。私もTVで見たことがあります。その時は、彼のメモについて特集していたように記憶しています。どこでもメモを取るという姿です。その記憶があったので、本書に対しても興味が沸きました。

 「人生の勝算」もかなりの売れ行きでしたが、本来の肩書はSHOWROOM株式会社代表取締役社長です。ただ、彼が運営するストリーミングサービス「SHOWROOM」を利用したことはありません。これを機会に利用してみようかなと思っています。 

「メモの魔力」の内容

僕にとってメモとは、生き方そのものです。メモによって世界を知り、アイデアが生まれる。メモによって自分を知り、人生のコンパスを持つ。メモによって夢を持ち、熱が生まれる。その熱は確実に自らを動かし、人を動かし、そして人生を、世界を大きく動かします。誰にでもできるけど、誰もまだ、その魔力に気付いていない「本当のメモの世界」へ、ようこそ。【引用:「BOOK」データベース】 

「メモの魔力」の感想

モの種類

 メモを取ったことがない人はいないと思います。最初に思い浮かぶのが、備忘録としてのメモです。頻度やどの程度まで書くかは異なりますが、社会人でも学生でも忘れていけないことは手帳などにメモを取ります。一般的に考えられているメモはこちらです。メモを取るように言われる時は、こちらのメモを指すのでしょう。忘れても大丈夫なように。

 思い付いたことを書き残すのもメモのひとつです。アイデアや閃きなど、ふと頭に思い付いたことを書き残す。新しいものを生み出すメモは、この種類のメモです。

 著者のメモはさらに先を行きます。思い付いたことをメモするのではなく、まずはメモを取ります。そのメモから新たな気付きを生み出し、アイデアを生み出します。思い付いたアイデアを書くのではなく、アイデアを作り出すためのメモです。一般的に考えられているメモとは全く違います。そのことは、著者のメモの様式にも現れています。

  • 見開きで使う。
  • 罫線で区切る。

 それぞれのパートの使い方など独特です。本書には著者が実際に書いたメモが掲載されていますが、綺麗に書かれている訳でもなく、いかにもメモといった風情です。だからこそ、今まで抱いていたメモの延長線上に位置すると考えられます。著者のメモは必ずしも著者だけが使える特殊なものではないと言うことです。 

にかく始める

 まずはメモを取らないと始まりません。どんなメモが後々役立つかなどと考えていては、メモを取れません。片っ端からメモを取ると決めてしまいます。メモを取ろうと常に考えていれば、目に入るもの全てがメモの対象になります。結果、自身の周辺に意識がいきます。

 メモを意識しなければ、全ての出来事が流れていくだけで何も残りません。それらを捕まえるための方策がメモということでしょう。流れていく出来事の中には、とんでもない何かが埋もれているかもしれません。それを逃さないためにも、まずはメモを取る。メモを取ることが当たり前になれば、周囲に対する意識も当然に変わります。

 著者はメモの効果を実体験しています。目に見える成功例は、SHOWROOM の成功です。だからこそ説得力があり、やってみようと言う気になります。 

んなメモを取るか

 著者は、メモの効力として以下の5つを挙げています。

  1. 知的生産性の向上
  2. 情報獲得の伝導率向上
  3. 傾聴能力の向上
  4. 構造化能力の向上
  5. 言語化能力の向上

 メモによって、これらの能力が向上すると説いています。どれも納得出来ますし、著者の経験からこれらの能力の向上が事実としてあるのでしょう。問題は方法です。具体的にどのようにしていけばいいのか。とにかくメモを取ることから始め、どのようのしてこれらの能力を向上させるのか。読者が知りたいのは具体的な方法です。

 そこで著者が実践してきた具体例を挙げています。カラーでないのが残念ですが、メモも掲載されています。著者が効果を実感してきたやり方です。方法論ではなく方法です。全ての人にとってベストかどうかは分かりません。ただ、未経験者にとって、やり方を示されるのは助かります。どんなことも模倣から始まります。独自性は、その後の話です。 

モの活用

 著者のメモは、ファクト⇒抽象化⇒転用から成り立っています。これが著者のメモの真髄と言えるのでしょう。特に、抽象化について多くのページを割いています。この流れをマスターするには経験が必要ということです。逆に、経験すれば習得出来るとも言えます。そのためにも基本を押さえておく必要があります。その基本を重点的に教えてくれています。基本を押さえておけば、続けることで習得出来ます。

 とにかく続けることが重要です。抽象化のやり方は具体例も交えて丁寧に説明されていますが訓練が必要です。常に意識しながらメモを取る。ただ、惰性でメモを取っても成長しません。どんなことにも言えることです。 

モで自己分析

 自己分析をする機会はあまりありません。本書では、就職活動の際の自己分析を軸に、自己分析がいかに重要かと言うことを書いています。当然ながら、自身のことを知らなければ向かうべき方向も定まりません。

 自己分析は二面性があります。自身で見る自分と他人が見る自分です。他人が見る自分を分析するのは、それほど難しくありません。聞けばいいし、多くの人の意見を取り入れれば答えを得ることが出来ます。そうして得た答えは間違っていないのでしょう。問題は、自身が見た自分です。聞くことはできないし、意見を集約することも出来ません。相当の労力と真剣さがないと自己分析は出来ないでしょう。では、どうやってすればいいのでしょうか。

 この問いに対しても、具体的な方法を提示してくれています。著者自身が行ったことなので、効果は実証済みです。巻末の自己分析1000問です。自己分析をしながら、メモを取る練習にもなります。とりあえずやってみる価値はあるでしょうし、やってみないと本書を読んだ甲斐もありません。 

終わりに

 年齢を重ねると夢を忘れ現実に妥協します。夢を忘れるのではなく、諦めると言った方がいいかもしれません。現在の状況に満足していなくとも、それほど不満もない。そういう時に妥協が生まれるのでしょう。納得をしているようで、実は納得していない状態だと思います。納得していないことを認めたくないから、現状に満足していると自分自身を説得する。将来、後悔することにならないだろうか。夢を叶えるのに手遅れはないし、メモは夢を叶えるための強力な武器になります。夢が見つからない人には見つけるための武器にもなるのでしょう。

 メモを取ることは難しくありません。難しいのは継続することでしょう。何故なら、すぐに結果を求めてしまうからです。だからと言って結果を求めなければ、無駄な作業になってしまいます。メモに対する意識にもバランスが必要かもしれません。

 とにかく始めてみます。メモとペンをいつでも取り出せるようにして出掛けてみます。jetstreem4+1とlifeのノートで(普段使いのペンとノートです)。