『やばい日本史シリーズ』感想|雲の上の英雄も欠点だらけだった。完璧になれない自分の心がフッと軽くなる:MANPA Blog

やばい日本史

ごきげんいかがですか。まんぱです。

学生時代、年号や人物名をただ暗記するのが苦痛だった経験はありませんか。そんな歴史への苦手意識を覆してくれるのが、『東大教授がおしえる やばい日本史』と『東大教授がおしえる さらに!やばい日本史』の2冊です。

本書は偉人の「すごい」功績と「やばい」素顔を並べて書くことで、歴史を笑って楽しめる最高のエンタメに変えてくれます。今回の記事では、本書のワクワクする魅力と少し物足りない点まで紹介したいと思います。

 

 

 

 

「すごい」と「やばい」のギャップが偉人を一気に身近にしてくれる

この本の一番の魅力は、歴史上の人物を「すごい」と「やばい」の2つの視点から立体的に書いているところです。

教科書だと、偉人は完璧なヒーローとして書かれたり、逆に失敗ばかりが目立ったりしがちです。ですが本書では、天下統一を果たした偉業の裏にある意外な欠点や、誰もが憧れる英雄が抱えていた弱さを同時に見せてくれます。

この工夫のおかげで、雲の上の存在だった偉人たちが、自分たちと同じように悩んで失敗もしていた1人の人間として浮かび上がってきます。完璧だと思っていた人のリアルな失敗を知ると、なんだか笑えて急に親近感が湧いてきます。

教科書の無機質な名前が、一気に血の通った存在へ変わる感覚は、まさに読んだ人だけが味わえる面白さです。

さらに面白いのが、登場する偉人たちの素顔の豊かさです。極度の寂しがり屋だったり、ドケチだったり、突拍子もない行動をとったりと、人間らしいギャップが詰まっています。

どれほど名高い偉業を残した人でも、一歩裏に回れば欠点だらけだったと知ることで、歴史への壁が一気に低くなります。

また、文章が短くてテンポよく読めるのも、飽きさせない工夫です。見開きごとに登場人物が変わるため、途中で本を閉じてもすぐ続きから再開できます。通勤電車や寝る前のスキマ時間に読む本として、ふさわしい一冊です。

短時間でひとつの話を読み切れるので、普段あまり読書をしない人や忙しい毎日を送る人でも、挫折せずにサクサク読み進められます。

全編にイラストや漫画がたっぷり盛り込まれている点も見逃せません。文章だけでは想像しにくい表情や事件のドタバタ感が、目で見てパッと頭に入ってきます。そのため、小中学生でも楽しみながらページをめくれます。

漫画調のコミカルな演出でありながら大人もクスッと笑える絶妙なユーモアがあり、難しくなりがちな歴史書とは一線を画す親しみやすさを生み出しています。

勉強のための歴史書というより、上質な歴史コラムを読んでいる感覚で楽しめます。歴史に苦手意識がある人にこそ、手にとってほしい書籍です。

 

サクサク読める反面、歴史ファンには新鮮味や深みが物足りないかも

一方で、圧倒的な読みやすさは、歴史を深く知りたい読者にとっては少し物足りなく感じられるかもしれません。まず気になったのは、取り上げられているエピソードの多くが、すでに広く知られている有名な説を中心にしている点です。

織田信長や豊臣秀吉、坂本龍馬といった超有名人の定番の話が多いため、歴史が好きで普段から関連本を読んでいる人には「知っている話ばかりだな」と感じられる可能性があります。

歴史の入門書であることを考えれば、有名人や定番のエピソードを中心に置くのは当然の選択です。しかし、「聞いたこともない最新の発見」や「マニアックな史実」を期待してページをめくると、やや肩透かしを食らうかもしれません。

個人的には、あまり知られていない人物の面白い素顔や、近年の研究でわかった最新の説がもっとあれば、歴史好きの大人も唸らせる深みが出たのではないかと感じました。

また、テンポを重視してコンパクトにまとめている分、ひとつひとつの出来事に対する深掘りが不足している印象はぬぐえません。「なぜその事件が起きたのか」という複雑な時代背景や、社会の移り変わりについての解説は控えめです。

個々の人物の面白さはダイレクトに伝わるものの、時代全体の大きな流れや仕組みを深く理解するまでには届かないのです。

ひとつの事件が後の時代にどう影響したかという歴史のつながりや、人物同士の複雑な絡み合いなどは簡潔に触れるにとどまります。「もっと背景を知りたい」と思った瞬間に次の人物へ移ってしまうため、もどかしさを感じる読者もいるはずです。

だからこそ本書は、歴史を極める専門書ではなく、広大な歴史の世界へ踏み出す「きっかけ作り」として読むのが一番しっくりきます。

ここで興味を持った人物や時代を見つけたら、次は詳しい人物伝や歴史小説、専門書へと進んでいく使い方がもっとも効果的です。読者の好奇心の扉を開く役割と割り切って楽しむのが、本書との賢い付き合い方だと思います。

 

楽しさ全開の構成だからこそ、史実としてすべてを鵜呑みにしない姿勢も大切

もうひとつ意識しておきたいのは、紹介されているエピソードの中に、歴史学的にまだ議論が続いていたり異論が存在したりする説が含まれている点です。

もっとも、この点については著者もしっかり注釈を入れています。現在一般的に知られている説や有力な説として紹介していることを説明しており、誠実な姿勢が伝わってくるため、本の信頼性が損なわれるわけではありません。

しかし、その注意書きを読み飛ばして「本に書いてあるから100%事実だ」と思い込んでしまう可能性もあります。書いてあることをそのまま記憶してしまうと、学校の授業や他の本で別の説に触れたときに混乱するかもしれません。

歴史という学問は、新たな文書の発見や科学的な分析技術の進歩によって、これまでの解釈や評価が塗り替えられていく流動的な面を持っています。

かつて教科書で絶対的な事実とされていた説が、最新の研究で否定されることも珍しくありません。このように、過去の出来事に対する見方が時代とともに変わっていくプロセス自体も、歴史が持つ大きな魅力です。

本書を読む際も、書かれていることが唯一の正解ではないという前提を頭の片隅に置いておくことが大切です。ひとつの話を絶対視せず、当時はこんな説もあったんだなと客観的な視点を持つことで、読書体験はより豊かなものになります。

本書の大きな目的は、厳密な学説を議論することではなく、読者に日本史を好きになってもらう点にあります。その目的は見事に達成されており、もっと調べてみたいという知的好奇心に火をつける力は本物です。

暗記の対象だった歴史を人間味あふれるドラマとして塗り替えてくれる点に、本書の価値はあります。この本をゴールにするのではなく、歴史探訪のスタートラインとして活用することこそ、100%楽しむための秘訣です。

 

結論:歴史の入門書としては文句なし!大人の暇つぶしにもぴったりの一冊

日本史への苦手意識をなくしたい人にとっては、ぜひ読むべき本だと思います。コミカルな漫画やイラストを交えながら人物の魅力をサクッと理解できる構成は、本当に見事です。

難しい専門用語も極力使われていないため、小中学生はもちろん、教養として日本史を学び直したいけれどハードルが高いと感じている大人にとっても、最初のハードルを劇的に下げてくれます。

学校の授業で教わる歴史は、年号や事件名を順番に記憶する暗記作業になりがちです。本書なら、偉人たちの感情や失敗談というドラマを通して触れられるため、勉強している感覚なしで自然と頭に入ってきます。

一方で、すでに歴史の知識が豊富な読者にとっては、全体的に内容がシンプルすぎて物足りなく感じられる部分があるのも事実です。

ひとつのテーマをじっくり掘り下げて学びたい人向けというよりは、主要人物の個性を掴みたい人向けと言えます。知識を得るためというより、知っている偉人のやばい素顔を気軽に楽しむエンタメ本と割り切るのがいいでしょう。

専門書のような堅苦しさが一切なく、雑誌をめくる感覚で読める手軽さがあるため、普段あまり本を読まない方でも無理なく読み切れます。気負わずに読み進められる軽快さがありながら、面白い雑学が手に入るのも嬉しいポイントです。

ちなみに、2冊合わせても半日あれば十分に読み切れるボリュームですので、休日のリラックスタイムやちょっとした待ち時間の暇つぶしにも最適です。

サクッと読めて、読み終わったあとには歴史が少し好きになっている、そんな心地よい読書体験をぜひ味わってみてください。まとまった時間が取れない忙しい人にこそ、手軽に達成感と学びを与えてくれる最高のエンタメ本です。

 

おわりに

『東大教授がおしえる やばい日本史』シリーズは、暗記ばかりで退屈だった歴史を最高にワクワクする人間ドラマへと塗り替えてくれる作品です。偉人たちの人間味あふれるドタバタ劇を楽しんでいるうちに、自然と歴史上の人物が身近に思えてきます。

少し内容が軽く感じられたり、説の扱いに注意が必要な面もありますが、それらを差し引いても、歴史が好きになるきっかけとしての魅力は群を抜いています。

歴史に苦手意識がある方はぜひページをめくって、偉人たちの愛すべき「やばさ」に笑ってみてください。

 

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