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『人生の勝算』:前田裕二【感想】|路上ライブで身につけた、人生とビジネスの本質!

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 ビジネス書というよりは、自己啓発と前田裕二の人生のノンフィクションが混ざったような印象です。彼の幼少期から現在までの足取りと、そこで得られた人生の指針について書かれています。彼は苦労したからこそ、物事から何かを得ようとし、活用しようとします。彼の深い考察は現状を変えたいからであり、自分のためであると同時に他人のためでもあります。両方だからパワフルなのかもしれません。

 「メモの魔力」では具体的な方法でメモの効力・効果を説明していました。実践的な内容です。本書は、彼の思考の仕方やどのように生きてきたかを書いていて、精神的な部分も大きい。人によって成功の定義は様々ですが、彼は人生の成功例のひとつです。努力と分析と意欲の結果です。

 本書が売れた理由は、彼が成功したと思うからであり、その理由・原因・方法を知りたいからです。「SHOWROOM」以上に、前田裕二自身の注目度も高いことを感じさせます。  

「人生の勝算」の内容

SNS時代を生き抜く為に必要な“コミュニティ”の本質と、SNSの次の潮流であるライブ配信サービスの最前線がわかる。【引用:「BOOK」データベース】 

「人生の勝算」の感想

田裕二の人生

 彼の人生の壮絶さに驚きます。8歳で両親を失い、精神的にも経済的にも苦しい生活が始まります。精神面では兄の存在が救いですが、両親を失った辛さと先行きの不透明さに苦しみます。お金は人生の全てではないという言葉は、お金に苦労していない人の楽観的な意見なのかもしれません。実際にお金に苦労(生きていくのが厳しいほど)すれば、全く違う意見になるはずです。

 路上ライブでお金を稼ごうとすることは、子供の発想と思えません。稼げないからと止めることもせず、改善方法を探ることにも驚きます。お金を払う人が何を求めているかを細かな事象から考察していきます。

 目的はお金を稼ぐことであり、彼の歌を聴いてもらうことは手段です。路上ライブでも、ミュージシャンで生きていくためでもありません。目的がはっきりしているから、行動も一貫しています。

「就職活動における行動」「投資銀行での働き方」「ニューヨークでの働き方」

 全てにおいて目的と意識をはっきりさせて、現状把握と分析を行っています。そして新たな行動へと移っていきます。特に、彼の分析力に注目します。目的を見据え、分析し、行動し、達成する。人生の目的は常に先にあり、彼は留まりません。それが彼自身の生き方です。だからと言って、自分と違う生き方の他人を否定しません。

 前田裕二の人生が凝縮されています。私自身の人生が薄く感じてしまいます。彼と私の人生は全くの別物ですが。彼の人生を知るだけでも、読む価値があります。 

生の指針

 指針(コンパス)を持つことは重要です。やみくもに進んでも目的地に到達しません。人生も同じことが言えます。自分を知り、目的地を知ってから船出をする必要があります。主体である自分を確立するためにも、自分自身を知ることは重要です。自分を知らなければ正しい判断や分析ができません。そのための自己分析を徹底的に行います。

著者の就職活動時の自己分析の徹底さが思い浮かびます。 

 「メモの魔力」でも自己分析の重要性を書いていて、具体的な方法も説明されていました。自己分析は難しい。自分自身のことだから完全に冷静・客観的になれません。だからこそ徹底的にする必要があります。

 自分の位置を確実にすることは、目的地に向かう指針を持てるということです。目的を明確にして、分析・検討し、正しい方向を知る。後は徹底的に努力します。時には、分析・検討をやり直して補正していきます。

 自分自身の指針を知ることは、人生を知ることであり、生き方が決まることです。そのための努力は惜しまないことが重要です。努力が必ずしも報われると限らないとしても。 

界を超えた世界

 何気なく書いていますが、身体的にも精神的にも気持ち悪くなるほどハードな人生です。相当な覚悟と努力の結果が今の姿でしょう。彼の限界はどこにあるのでしょうか。限界はあるのでしょうか。

 どうしても叶えたい目的を持っていれば、達成するために限界まで努力します。諦めないし、適当なところで止めません。彼の行動の原点は幼少期の経験です。では、彼ほどの過去がないと、ここまでできないのでしょうか。問題は達成したい目標を抱けるかどうかです。何がきっかけや要因になるか分かりません。

 目的地は限界の一歩先にあります。努力し続ければ、少しずつでも目的地に近づきます。新しい目的地を作らない限り、目的地は動きません。当たり前ですが、止めてしまえば永遠に辿り着きません。

 時に、限界を超える必要があるのでしょう。覚悟と実際の行動も必要です。目的を達成するための努力であれば、何かを犠牲にしているとも思わないのかもしれません。 

終わりに

 著者曰く、まだまだ道半ばとのことです。楽しんでいるように見えます。今までの人生は「SHOWROOM」に辿り着くための過程です。「SHOWROOM」は彼の目的地ですが、完全なゴールではありません。

  • どこまで大きくできるか。
  • どこまで世界を変えるか。

 目的地はどんどん変わってます。大きかった目的が現実感を増してきたから、辿り着く道筋も見えてきたのでしょう。困難さも見えていると思いますが、不断の努力で乗り越えていくでしょう。彼は必ず辿り着くと確信しています。

 「SHOWROOM」を見ていれば、彼の足跡は見えます。秋元康は彼を天才と評し、堀江貴文も同じ意味のことを言っています。人生の指針を持つ天才と評価しています。

 人生の指針は人生の勝算と同義なのでしょう。勝利ではなく勝算です。ゴールはまだ先ですが、必ず辿り着く算段ができていることです。天才は99%の努力と1%のひらめきです。まさしく著者のことです。本書は、読者の意識を高めてくれます。彼の人生を真似る必要はありませんが、人生を考えるいい機会になります。