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『チーズはどこへ消えた?』:スペンサー・ジョンソン【感想】|この物語があなたの人生を変える!

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 こんにちは。本日は、スペンサー・ジョンソン氏の「チーズはどこへ消えた?」の感想です。 

 

 二匹のネズミと二人の小人が迷路の中でチーズを探す童話形式の物語です。発見したチーズが突然消えた時、彼らの行動の違いがビジネスやプライベートにおける考え方を象徴しています。

 1998年に発刊されました。日本語訳が2000年なので、すでに20年以上経過しています。全世界で2800万部を超えるベストセラーで、日本でも累計400万部を超えています。トップ企業が続々と社員研修に活用するなど、多くの一流の経営者やビジネスマンに影響を与えています。日本語版のプロデューサー平田静子氏は上場企業100社の社長に献本しており、大手企業の社長のあいさつで紹介されたことで火が付いた。

 本書は90ページほどのボリュームなので、読むのが早い人なら1時間程度で読み終えます。三つのパートで構成されています。

 

  • 第一「ある集まり」は、クラス会での元クラスメートたちの生活について
  • 第二「チーズはどこへ消えた?」は、二匹のネズミと二人の小人の物語
  • 第三「ディスカッション」は、元クラスメートたちがこの物語を読んで、それぞれの受け止め方を話し合う

 

 「チーズはどこへ消えた?」を読んで、どのように受け止め、自身の生活に活かすか。「ディスカッション」に書かれているのもその一部です。

 本書の本質は、第二「チーズはどこへ消えた?」であり、そこから何を得るかは読者次第です。文章のボリュームは少ないが、なかなか面白い。  

「チーズはどこへ消えた?」の内容

迷路のなかに住む、2匹のネズミと2人の小人。

彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見する。チーズは、ただの食べ物ではなく、人生に おいて私たちが追い求めるもののシンボルである。 ところがある日、そのチーズが消えた! ネズミたちは、本能のままにすぐさま新しいチーズを探しに飛び出していく。ところが小人たちは 、チーズが戻って来るかも知れないと無駄な期待をかけ、現状分析にうつつを抜かすばかり。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに 旅立つ決心を…。  

 

「チーズはどこへ消えた?」の感想

化の物語

 急激な変化にどのように対応するのか。一度手に入れたものを失った時、どのように考え、どのように行動するのか。童話に登場するものは何かを象徴しています。

 

  • 「チーズ」は人生で求めるもの・・・仕事・家族・財産ん・健康・精神的な安定などを象徴
  • 「迷路」はチーズを追い求める場所・・・会社・地域社会・家庭などを象徴

 

 実生活に当てはめて考えることで、物語が深い意味を持ちます。

 一度手に入れたチーズ(成果物・目標・目的)が、ある日突然消えます。二匹のネズミと二人の小人が取る態度が、変化に対する考え方の違いを表しています。単なる変化ではなく、一度手に入れたものを失うという変化です。

 チーズを見つけたことも変化です。チーズを得た時の彼らの考えも重要です。一度得た目的物や成果が永続すると考えることは、変化が訪れないと考えることです。望ましい変化はやってきて、望ましくない変化は訪れない。これも変化に対する態度の一つです。変化は望ましいものと望ましくないものがあります。それぞれに対して、どのような態度を取るかでその後が変わってきます。

 チーズを探しているときは変化を求めています。チーズを見つけた後は変化を求めない。「変化して欲しくない」「変化しない」に変わっていきます。

 チーズが無くなるのは単純な変化です。それを受け止められないのは変化を求めていないからです。重要なポイントは、変化に対する態度は生きていく上で重要な要素だということです。

 

化にどのように対応するか

 本書の核心は、望ましくない変化にどのように対応するかです。望ましくない変化はチーズが消えたことです。

 全く違う個性の二匹のネズミと二人の小人が用意されています。個性の違いは大きく二つあります。「ネズミと小人の個性の違い」「二匹のネズミ・二人の小人のそれぞれの個性の違い」です。名前の意味がそれぞれの特徴を象徴します。 

 

  • ネズミのスニッフ・・・においをかぐ、~をかぎつける⇒変化を敏感に察知する
  • ネズミのスカリー・・・急いで行く、素早く動く⇒変化に対して素早く動く
  • 小人のヘム・・・閉じ込める、取り囲む⇒変化を認めず、現状から脱却できない
  • 小人のホー・・・口ごもる、笑う⇒慎重に考え、現実を受け止める。次の一歩を踏み出し、自分を変える行動を起こす

 

 変化に対する対応が分かりやすく表現されています。英語なので、英語力がないとピンときませんが。どの対応が正解なのか。どのように対応すべきなのか。それを問い、読者が自身を分析し、どれに当てはまるかを考える。これからの自分の行動を適切にしていくために。

 ネズミは単純な頭脳を持ち本能で動きます。一方、小人は複雑な頭脳を持ち、思考します。チーズを見つけたことについて、ネズミは行動の結果と考え、小人は自身の能力の結果と考えます。

 ネズミは行動で得たチーズが無くなった時、新たな行動でチーズを探します。行動がもたらした結果ならば、新しい行動で新たに得ることができると考えます。変化に対する単純な発想と行為です。

 二人の小人は、行動するのは重要だが、それでは十分でないと考えます。現状の把握と分析が大事であり、それを解明しない限り行動に意味はないと考えます。確かにやみくもに行動するのは危険であり、現状分析は必要です。ただ、無くなることを全く予測していなかった以上、彼らが現状分析し始めるのはすでに遅い。

 スニッフは、チーズが無くなることを敏感に察知していました。食べて減っていくことと古くなっていくことを予測しています。スカリーは新たな行動をすぐに起こす。二匹のネズミはそれぞれに役割を果たしています。

 二人の小人が取った態度は、消えた理由と責任の所在です。前向きな考えは出ません。今まで得ていたチーズは自分のものであり、当然の権利であり、突然無くなることはあってはならないことだと考えます。自分の責任ではないから、当然現状を回復させる義務は他人にあります。

 彼らはチーズを取り戻すことに頭を使います。高度な頭脳は権利だけを求めます。現状を受け入れられません。理由は、現状を受け入れると以前よりも状況が悪くなるからです。一度得た利益は無くなってはならず、永遠に続くと思い込んでいます。変化しないと思っているから、変化に対応できません。深く考えることができるから、過去にばかり意識が向きます。考える材料が過去にしか存在しないことも理由です。前向きになるには過去として割り切る必要があります。

 ホーは考えていても状況は改善しないと結論します。現状にしがみつくことは危険であり、新しい可能性はないと気付きます。そのことに気付けるかどうかでしょう。変化に対応し、自身も変化しなければ何も得られません。待っているのは破滅だけです。考えを変えることで行動は変わります。変わらなければ行動は起こりません。

 

化は失うことか

 消えた=失うこと

 この考え方に固執していると行動は起きません。元に戻すことばかりを考え、失ったものを取り戻すということばかりに意識が向く。失ったら、新しいチーズを探せばいい。単純なことです。二度とチーズが戻ってこないことを理解するためには、消えた理由を考えることも重要かもしれないが、それにとらわれ過ぎると動けません。

 スニッフとスカリーは、チーズが消えることを理解していました。チーズが無くなった時、もう戻らないことも分かっていました。戻らないチーズを探しても意味がないので新しく行動を起こします。

 ヘムとホーはチーズがいずれ無くなることに気付いていない。一度得た成功は消えないという思い込みです。消えたチーズに固執するのは、消えることを予期していなかったからです。

 失うことを変化として捉えれば必ず訪れます。予期し準備することの重要性を理解しておく必要があります。ヘムとホーはどちらもできていなかったから、冷静でいられない。思考の袋小路に陥り、新しい行動へと繋がりません。

 チーズを得た時も変化だったとすれば、チーズを失ったことも変化に過ぎません。同じ変化なのに同じものと考えられない。もちろん、望ましい変化と望ましくない変化の違いはありますが。変化しないものはないことを理解すれば、失うことは新しく得ることへ繋がります。状況は前向きに変化します。

 見つかるかどうかは分かりませんが、行動しなければ決して見つかりません。失うことを得ることに繋げるためには、未来へ向けた行動を起こさなければなりません。状況に応じて、自身もが変わっていくことの必要性に気付けるかどうかです。 

 

終わりに

 ホーは、チーズが消えたことで学んだことを壁に書き記します。行動することよりも行動に移すことが重要なのだろう。それを維持することも。

 二匹と二人の行動は、変化に対する四つの行動と思考のパターンを表しています。現在社会の変化への対応は四つの行動パターンだけで考えることはできません。それぞれが置かれた環境は全く違います。複合的に複雑に絡み合います。しかし、根本にあるものは「変化を受け入れること」「変化を予測すること」「行動すること」です。

 分かりやすく童話風に描いていますが、変化に対する行動と思考の本質を描いています。読んでみて納得するのは当たり前のことを書いているからかもしれません。誰でもヘムが間違っていて、ホーが正しいことを理解できます。ただ、自身の身に降りかかった時、ホーのように対応できるかどうか。居心地の良かった場所から移動できるかどうか。

 当たり前のことを再認識させられる本です。忘れがちになることだから、ベストセラーになったのでしょう。理解しやすく、共感しやすく、実践できます。実践は意外と難しいと思いますが。