『ザ・コンサルタント2』感想|アクションは最高だけど会計士要素が足りない。静かに数字と向き合うウルフが懐かしい:MANPA Blog

ベン・アフレック主演 『ザ・コンサルタント2』

ザ・コンサルタント2

ごきげんいかがですか。まんぱです。

会計士という知的な顔と、圧倒的な戦闘能力を持つ殺し屋の顔をあわせ持つクリスチャン・ウルフが戻ってきました。

約10年ぶりの続編となる『ザ・コンサルタント2』は、スケールアップしたアクションと深い兄弟ドラマのエンタメ作品として抜群の面白さに仕上がっています。

ただ、前作のあの独特な雰囲気に惚れ込んだ人ほど、何か大切なものが足りないと首をかしげてしまうかもしれません。

エンタメとしてパワーアップしたからこそ見えてくる葛藤。今回は本作の魅力とともに、もっと見たかった要素について書いていきます。

 

ザ・コンサルタント 2

ザ・コンサルタント 2

  • ベン・アフレック
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ウルフの真骨頂は「数字」だった

『ザ・コンサルタント』という作品がこれほどまでに異彩を放っていた最大の理由は、主人公のクリスチャン・ウルフが単なる最強のアクションヒーローではなかったからです。

彼は自閉症という特性を持ち、天才的な集中力と分析力で複雑な企業会計を読み解く優秀な会計士。同時に、裏社会の巨悪を葬り去る凄腕の殺し屋でもありました。

この静と動、知性と暴力という相反するふたつの顔が絶妙なバランスで共存していたからこそ、他のアクション映画とは一線を画していたのです。

前作では、彼は膨大な量の帳簿や財務資料と向き合っていました。静かな部屋で黙々とペンを走らせ、数字のわずかな歪みから巨額の不正を暴き出していきます。

あの知的なアプローチこそが物語の軸であり、その後に訪れる激しいガンアクションとのギャップを生み出していたのです。会計士であることが、彼のキャラクター性であり物語の個性でした。

ですが続編である本作では、その絶妙な魅力のバランスが少し変化しています。もちろん、彼の会計士としての能力が完全に消え去ったわけではありません。

事件の発端や捜査の過程で、持ち前の鋭い分析力を発揮して真相に迫るシーンはしっかり用意されています。

ただ、それらはストーリーを前に進めるための道具にとどまっていて、数字から真実を導き出す気持ちよさそのものが作品の中心に置かれているとは言い難いのです。

物語が進むにつれて、クリスチャンは会計士というよりも、訓練されたプロフェッショナルな戦士として画面を縦横無尽に駆け巡ります。

その展開はアクション映画としての爽快感を高めてくれる一方で、『ザ・コンサルタント』というタイトルが本来意味していた独創性を、少しだけ薄れさせてしまった印象もあります。

タイトルが示しているのは「最強の殺し屋」ではなく、あくまで「コンサルタント(会計士)」だからです。

制作陣がアクションの比重を高めた意図も分かります。前作以上にスピード感と迫力を前面に押し出すことで、より幅広い層の観客を楽しませるエンターテインメントを目指したのでしょう。

知的サスペンスから派手なアクションバディものへと方向転換したと考えれば、この変化は決して失敗ではありません。大きなスクリーンで観る映像体験としては、正解の選択だったと言えます。

それでもなお、静かなオフィスで数字と向き合うウルフを見たくなります。危険な現場で見せる冷徹な戦闘と、数字という嘘をつかない世界でしか心を許せない不器用な生き様。

その両極端な一面が一人の人間の中に同居しているからこそ、ウルフというキャラクターには唯一無二の深みが生まれていたのです。

ウルフが抱える自閉症という特性も、絶対に欠かせない大切な要素です。彼は決して万能なヒーローではなく、人間関係の距離感や感情の表現に日々戸惑いながら生きています。

そんな彼が、誰にも邪魔されない数字の世界で圧倒的な才能を発揮する姿に、観客は強く惹かれ、彼の孤独に深く共感したのです。

だからこそ本作でも、もう少しだけ彼が数字の力で悪を追い詰める場面が見たかったと思ってしまいます。

数字だからこそ暴ける陰謀があり、会計士だからこそ辿り着ける真実がある。その緻密な積み重ねの果てに爆発するアクションこそが、この作品の本質だったはずです。

映画全体の完成度を考えれば満足度は非常に高いです。ですが、知性と暴力を兼ね備えた異色の主人公という唯一無二の個性が後退してしまった点は惜しいと感じてしまいました。

次回作があるなら、再び「会計士」と「殺し屋」のふたつの顔が等しく輝く物語を見せてくれることを期待したいと思います。

 

無双の爽快感と消えた「静かなスリル」

ウルフの強さは、最初から最後まで一切のブレがありません。どんな窮地に陥ろうとも決して取り乱さず、一瞬で周囲の状況を把握し、最も確実かつ効率的な方法で敵を排除していきます。

その立ち振る舞いは最強という言葉がこれ以上なく似合い、主演を務めるベン・アフレックの重厚な存在感も相まって、圧倒的な説得力を放っていました。

ベン・アフレックの演技は、今回も本当に素晴らしいの一言に尽きます。ほんの少しの視線の泳ぎや、言葉を発する前の絶妙な「間」だけで、ウルフの複雑な内面を見事に表現しています。

セリフ数が少ないキャラクターでありながら、彼が画面に映るだけでその場の空気が引き締まり、観客の視線を一瞬で奪ってしまうカリスマ性があります。

また、彼の戦い方にはウルフらしさが緻密に計算されています。無鉄砲に突撃するのではなく、解くべき計算式を片付けていくように、論理的かつ無駄のない動きで相手を無力化していくのです。

この感情を排除したような冷徹な戦術こそが、彼が天才会計士であることの証明であり、他のアクション映画の主人公とは一線を画する魅力になっています。

ただ、その一方で本作では彼の強さが完璧すぎるゆえに、物語の緊張感が少し削がれてしまった側面もあります。

ストーリーが始まった段階でウルフの戦闘能力は完成されており、どれほど凄惨な現場に投げ込まれても、彼なら絶対にどうにかしてしまうという安心感が常に勝ってしまうのです。

主人公が無双する爽快感は間違いなく味わえますが、ハラハラするような危機感や読めない展開という点では、前作ほどのスリルを感じにくかったかもしれません。

前作では、ウルフが複雑に絡み合った不正会計の糸を解きほぐしていく過程に、映画的なサスペンスの面白さが詰まっていました。

観客も彼と一緒に思考し、この数字の裏には何があるのかという謎解きのワクワク感を体験できたのです。

対して本作は、事件の構造よりもアクションの連続性に重きが置かれているため、知的な興奮よりも目まぐるしい映像の迫力が前面に出てきます。

『ジョン・ウィック』に代表されるような、圧倒的な強さを誇る主人公が敵をなぎ倒していくスタイリッシュアクション映画は、現代の映画界に数多く存在します。

どれも素晴らしく面白い作品ばかりですが、その中で『ザ・コンサルタント』が提示した独自性は、やはり数字を武器にする会計士という点にありました。

本作のアクションシーンのクオリティが高ければ高いほど、その唯一無二の個性がアクションの迫力に埋もれてしまったように感じられ、少しだけ勿体なく思えてしまうのです。

それでも、観終わった後に残る感覚は決して失望ではありません。ベン・アフレックが演じるウルフは最高にカッコいいという強い満足感と次回作への大きな期待です。

彼の圧倒的な強さをベースにしながら、次はどのようにしてその知性を爆発させてくれるのか。想像は膨らむばかりです。

 

背中を預ける不器用な兄弟の絆

ザ・コンサルタント2

本作のもう一つの大きな見どころであり、作品に深いエモーショナルな光を当てているのが、ウルフと弟ブラクストンとの関係性です。

前作でも兄弟の過去や絆は物語の重要な鍵を握っていましたが、本作ではそのドラマがさらに前面に押し出され、メインの事件と並ぶもう一つの大きな軸として描かれています。

ウルフとブラクストンは、同じ環境で育ちながらも、全く異なる道を歩んできました。自閉症の特性を持ちながら独自の規律の中で生きてきた兄と、裏社会で生きてきた弟。

長く離れて暮らしていた二人の間には、血のつながりがありながらも、どうしても埋められないぎこちない距離感が存在します。

この不器用な兄弟が、過酷な戦いを通じて少しずつ心を寄せていく過程が実に丁寧に描かれているのです。

特に二人の軽妙な会話劇には、面白みがあります。命がいくつあっても足りないような絶体絶命の状況下で、ブラクストンが皮肉たっぷりの軽口を叩き、ウルフがそれを大真面目に淡々と受け流す。

噛み合っていないようで噛み合っている絶妙なやり取りには、思わず笑ってしまいます。正反対の性格だからこそ生まれる心地よいテンポ感は、バディ映画としても屈指の完成度です。

何より素晴らしいのは、二人の絆を必要以上に湿っぽく描いていない点です。お互いに熱い言葉で感謝を伝え合ったり、過去を振り返って涙を流したりするような大げさな演出はありません。

銃撃戦が始まれば言葉なしでお互いの背中を預け合い、命がけで庇い立てする。その無言の行動こそが、どんなセリフよりも雄弁に二人の強い絆を物語っています。

ストーリー全体に目を向けると、複数の思惑や組織が複雑に絡み合う重厚な構造になっており、脚本のクオリティ自体は非常に高いです。

散りばめられた伏線が終盤に向けて一気に回収されていく展開には思わず膝を打つものがあり、サスペンスとしての組み上げ方は見事というほかありません。

ただし、その反面として物語のスピード感はかなり速いです。次々と新たな情報や人物が登場するため、頭の中で情報を整理する間もなく次の展開へと進んでいきます。

複雑な人間関係や組織の狙いを完璧に把握しながら観るには少し集中力が必要で、人によってはストーリー展開に追いつくのが大変だと感じる瞬間があるかもしれません。

ですが、このノンストップで突き進むテンポの良さこそが、約2時間の上映時間を一瞬に感じさせる最大の要因でもあります。

余計な説明を極限まで省き、スリリングな展開で観客を引っ張っていく構成は、映画への没入感を高めてくれます。

一度の鑑賞で全てを理解しようとするのではなく、一度観た後に、あそこはどういうことだったんだろうと考察したり、二度目の鑑賞で伏線を確認したりする楽しみ方に向いている作品と言えます。

ただの派手なアクション映画で終わらせず、観終えた後にどこか温かい余韻を残してくれるのは、間違いなく兄弟ドラマがしっかりと機能していたからでしょう。

 

重い銃声と実戦感。極上のエンタメ作

前作との比較や物足りなさについて触れてきましたが、作品単体としての出来栄えを評価するなら、観客を飽きさせない最高のエンターテインメント作品です。

特にガンアクションの描写は、銃声の一発一発に腹に響くような重みがあり、ハリウッド映画にありがちな無限に撃てる銃のようなウソっぽさが一切ありません。

残弾数を計算しながら戦うウルフの動きや、敵と味方の位置関係が視覚的にわかりやすく整理されているため、激しい撃ち合いの中でも状況を把握しながら楽しむことができます。

格闘シーンに関しても、過度な映像表現に頼らず、実戦的な動きが徹底されています。一撃の重みや痛みが画面越しに伝わってきて、息をのむような緊張感が最後まで途切れません。

ウルフの無駄のない動きは、彼が持つ論理的な思考回路そのものを体現していて、アクションシーン自体が彼のキャラクター描写として機能しています。

さらに、今回は弟ブラクストンとの共闘アクションが加わったことで、戦闘のバリエーションが飛躍的に広がりました。

冷静沈着に敵を仕留める兄と、荒々しいスタイルで前線を突破する弟。二人の対照的なアクションスタイルが融合したタッグバトルは圧巻の一言です。

前作のような知的なサスペンスから派手なアクションバディものへとシフトしたことに対して、戸惑う気持ちもあります。

ですが、その変化によって作品の間口が広がり、前作を観ていない人でも楽しめるアクション映画へ進化を遂げたことも事実です。エンタメ度や爽快感は、確実に上がっています。

最初から最後までダレることなく突き進むテンポの良さ、圧倒的なクオリティで魅せるアクション、不器用な兄弟が紡ぐ人間ドラマ。面白かったと素直に思えるだけの力が間違いなく宿っています。

 

おわりに:次回作へ繋がる無限の可能性

『ザ・コンサルタント2』は、前作の魅力を引き継ぎつつも、新たなアプローチでシリーズの可能性を切り拓いた続編でした。

アクション映画として見れば満点に近い出来栄えであり、ベン・アフレック演じるクリスチャン・ウルフの圧倒的なカッコよさと、兄弟の絆を描いたドラマには胸を打たれるものがあります。

だからこそ、次回作が制作されるのであれば、数字から真実を導き出す知性と静かなオフィスに漂う緊張感を、再び物語の中心に据えてほしいのです。

本作は続編として文句なしに楽しめる作品であると同時に、このシリーズがまだまだ進化できるという無限の可能性を示してくれました。

最強の殺し屋であり、最高の会計士であるクリスチャン・ウルフの次なる活躍を、今から楽しみに待ちたいと思います。

 

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