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井上真偽『白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿2』感想|日常の謎が深淵へと変わる静かな傑作ミステリ:MANPA Blog

日常に潜む「違和感」の正体 ごきげんいかがですか。まんぱです。商店街が舞台のミステリと聞くと、ほのぼのした人情ものかなと油断して読み始めてしまいそうです。しかし、『白雪姫と五枚の絵 ぎんなみ商店街の事件簿2』は、その油断を足場にして読者をゆっ…

櫛木理宇『死刑に至る病』感想【ネタバレなし】|読みやすいのに精神が削られる。人間の闇を凝視するミステリー:MANPA Blog

澱のように沈む絶望 ごきげんいかがですか。まんぱです。櫛木理宇の『死刑に至る病』は、読者の心を捕らえて離さない傑作だと思います。過激な描写や派手な演出に頼りません。人の心のゆらぎをじわじわと覗き込むように描き出すことで、逃げ場のない場所へと…

木下昌輝『豊臣家の包丁人』感想|秀吉・秀長兄弟を繋いだ「料理」の絆と歴史の裏側:MANPA Blog

戦国時代という激動の荒波の中で、人々はどう生きたのか ごきげんいかがですか。まんぱです。豊臣の天下を支えたのは、武将たちだけではありません。木下昌輝著の『豊臣家の包丁人』は、城の台所から歴史を見つめた料理人・大角与左衛門にスポットを当てたユ…

夕木春央『十戒』書評|「犯人を探すな」という禁忌が暴く極限の合理性と倫理の崩壊:MANPA Blog

『方舟』を超えた衝撃? ごきげんいかがですか。まんぱです。夕木春央の『十戒』は、孤島という馴染み深い舞台を使いながらも、極めて挑戦的な作品です。「犯人を探してはならない」というミステリーの前提を覆す逆説的なルールの存在。これが課されることで…

今村翔吾『五葉のまつり』感想|石田三成ら五奉行の視点で描く「戦わない戦国小説」の魅力:MANPA Blog

天下静謐を支えた「裏方」たちの矜持 ごきげんいかがですか。まんぱです。戦国小説といえば、派手な合戦や戦国武将たちの活躍が主役です。しかし、『五葉のまつり』は、あえてその華を削ぎ落としています。本作が焦点を当てたのは、戦場を駆け抜ける名将では…

王谷晶『ババヤガの夜』感想|【ダガー賞受賞】衝撃と暴力の果てに描かれる名づけえぬ連帯:MANPA Blog

魂を殴りつける連帯の極北 ごきげんいかがですか。まんぱです。王谷晶の『ババヤガの夜』は、暴力と孤独の上に立つ女性たちを通して、裏社会の理不尽と存在自体の深層を描き出す長編小説です。従来のヤクザ小説やハードボイルド、あるいはフェミニズムの枠に…

『六人の嘘つきな大学生』感想|就活という「嘘を強いられる場所」で人は何を失うのか:MANPA Blog

「嘘」は自分を守るための仮面なのか ごきげんいかがですか。まんぱです。「嘘」はいつから、私たちの人生と不可分のものになったのだろうか。浅倉秋成の『六人の嘘つきな大学生』は、他人に自分を評価される就職活動を舞台にしています。人が嘘をつく理由。…

『レオナルド・ダ・ヴィンチ』書評|ウォルター・アイザックソンが描く「完成しない天才」:MANPA Blog

思考の渦、未完の聖域 ごきげんいかがですか。まんぱです。天才とは、生まれたときから完璧な存在なのか。それとも、誰よりも迷い、誰よりも寄り道をした人のことなのか。ウォルター・アイザックソンの『レオナルド・ダ・ヴィンチ』は、そんな問いを投げかけ…

『最後の一色』感想|和田竜が描く歴史に消えた若き戦国武将の物語:MANPA Blog

歴史に名を残さなかった若き武将 ごきげんいかがですか。まんぱです。和田竜の新作を心待ちにしていた人は多かったと思います。『村上海賊の娘』から十二年ぶりとなる長編小説『最後の一色』は、その期待を軽々と超えてくる小説です。舞台は戦国時代の丹後。…

『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』書評|ドラマVIVANTの「別班」は実在するのか?証言から浮かび上がる秘密部隊の正体:MANPA Blog

存在しないはずの部隊 ごきげんいかがですか。まんぱです。​日本には、表舞台では決して語られない「影の部隊」が存在する。そんな噂を耳にしたことはありませんか。石井暁の『自衛隊の闇組織 秘密情報部隊「別班」の正体』は、その衝撃的な影の姿を追い続け…

『カジノ・ロワイヤル』イアン・フレミングが描いた007の原点|ヴェスパーに託したボンド誕生の残酷な儀式:MANPA Blog

『カジノ・ロワイヤル』が描く英雄の誕生と人間性の喪失 ごきげんいかがですか。まんぱです。イアン・フレミングの『カジノ・ロワイヤル』は、007ジェームズ・ボンドが初めて登場した小説です。いわばジェームズ・ボンドシリーズの原点です。我々がイメージ…

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅 香帆)感想|「時間がない」の裏に潜む現代の働き方を解剖する:MANPA Blog

現代労働社会に対する確かな分析 ごきげんいかがですか。まんぱです。タイトルを見て、自分のことだと胸を突かれた人は多いはず。発売されると同時に大きな話題となったのは、この問いが現代人の痛いところを正確に突いていたからでしょう。単に売れていると…

『鑑定人 氏家京太郎』感想|科学捜査がこんなにも面白い。論理が権威を超える中山七里のミステリー:MANPA Blog

研ぎ澄まされた論理が紡ぐ、逆転のサスペンス ごきげんいかがですか。まんぱです。中山七里さんの『鑑定人 氏家京太郎』は、科学捜査という専門的なテーマを扱いながら、驚くほどスラスラと読めるサスペンス小説です。題材は「女子大生連続殺人」という非常…

『スティーブ・ジョブズ』書評|アイザックソン評伝で読み解く経歴と仕事の思想:MANPA Blog

なぜ彼の仕事はいまも世界に残り続けているのか ごきげんいかがですか。まんぱです。スティーブ・ジョブズ。この人物ほど語り尽くされたようでいて、なお理解しきれない存在も珍しいでしょう。世間では天才、カリスマ、あるいは革命児といった言葉が並びます…

高橋陽介『シン・関ヶ原』書評|一次史料が暴く「天下分け目の戦い」の真実とは?:MANPA Blog

一次史料だけで再構成した「関ヶ原」 ごきげんいかがですか。まんぱです。高橋陽介氏の『シン・関ヶ原』は既成概念を鮮やかに壊してくれる一冊です。読み終えたのち、頭の中にある戦国時代の風景はこれまでと全く別の色に塗り替えられていました。本書が圧倒…

『デューン 砂漠の救世主』感想|救世主の代償とは?ポールが抱えた絶望の真実:MANPA Blog

ポールは救済者か悲劇の囚人か ごきげんいかがですか。まんぱです。フランク・ハーバートの『デューン』シリーズは、宗教や政治、生態学、遺伝子操作、進化論といった複雑な要素を一つの世界に統合してしまう壮大な物語です。『デューン 砂漠の救世主』は、…

『フィリップ・K・ディック短篇傑作選』感想|『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』が突きつける記憶と自由:MANPA Blog

ディックが暴く現実という名の欺瞞 ごきげんいかがですか。まんぱです。フィリップ・K・ディックの『トータル・リコール ディック短篇傑作選』は、単なる未来予測の物語ではありません。私たちが無意識のうちに頼ってきた最も確かな基盤を揺さぶる作品集です…

『人よ、花よ、』感想|人はなぜ花のように散るのか──今村翔吾が描く若者と戦乱のリアリズム:MANPA Blog

南北朝を生きた若者たち ごきげんいかがですか。まんぱです。今村翔吾『人よ、花よ、』は歴史小説という形式を借りながら、人間が生きる意味そのものを静かだが鋭く問いかけてくる作品です。舞台は南北朝という時代だが、描かれるのは英雄の武勲や勝敗の記録…

『蜻蛉の夏』感想|垣根涼介が挑む歴史小説の新境地と三人の道士の物語:MANPA Blog

精神の「熱」と焦点の「拡散」 ごきげんいかがですか。まんぱです。垣根涼介の『蜻蛉の夏』は、かなり挑戦的な一冊です。これまでの重厚な歴史リアリズムから大きく舵を切っています。作家自身が「すべてをエンターテイメントに振り切った」と語っている点か…

『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』書評|ミステリー構造への挑戦は成功か失敗か:MANPA Blog

全員が犯人、でも全員が探偵 ごきげんいかがですか。まんぱです。ミステリーの魅力って、予想外の展開とそこにある論理の両立だと思います。驚きだけでは足りません。驚いたあとにしっかり納得できてこそ、読後の満足につながります。下村敦史『全員犯人、だ…

SF小説の金字塔『デューン 砂の惑星【感想】|小説と映画どちらから?運命・予知・砂漠の世界:MANPA Blog

砂漠の惑星アラキスを舞台に描かれる壮大な叙事詩 ごきげんいかがですか。まんぱです。「デューン 砂の惑星」ー映画と原作小説、どちらから楽しむべきか迷ったことはありませんか。私は映画を先に鑑賞してから、小説を読みました。今回は、主人公ポールの運…

貴志祐介『さかさ星』感想|ホラーの熱量に圧倒される長編。ミステリーとしては賛否?:MANPA Blog

推理は追いつかない。体験するしかない。 ごきげんいかがですか。まんぱです。貴志祐介は、私にとっては「新刊が出たら必ず読む」作家のひとりです。貴志祐介の小説で最初に読んだのは『青の炎』です。あの独特の緊張感と残酷なまでの青春の描き方に衝撃を受…

『人生後半の戦略書』書評|ハーバード教授が教える「後半戦で成功する生き方」とは?:MANPA Blog

人生という名のマラソン~後半生で最高の自分に生まれ変わる方法 ごきげんいかがですか。まんぱです。もし今、あなたが人生の後半戦の入口に立っているとしたらどうでしょうか。「このまま走り続けていいのかな?」と、漠然とした不安を抱えているかもしれま…

井上真偽『アリアドネの声』感想|脱出劇と謎解きとヒューマンドラマが融合した魅力:MANPA Blog

脱出劇の緊張感と謎解きの面白さ ごきげんいかがですか。まんぱです。「ぎんなみ商店街の事件簿」が面白かったので、本作も期待して手に取りました。タイトルの「アリアドネ」は、ギリシャ神話で迷宮を脱出するために糸を渡した女性です。「アリアドネの糸」…

東野圭吾『クスノキの女神』感想|事件より人間ドラマに心が温まる一冊:MANPA Blog

東野圭吾が描く優しく温かいヒューマンドラマ ごきげんいかがですか。まんぱです。東野圭吾ファンなら手に取りたくなる『クスノキの女神』。2020年に出た『クスノキの番人』の続編ですが、完結したと思っていた物語に続編が出るとは少し驚きです。前作のファ…

読み終えても迷う『鳩の撃退法』|事実とフィクションの境界が崩れる二つの事件:MANPA Blog

ごきげんいかがですか。まんぱです。小説より先に映画を観ました。全く予備知識なしで観たのですが、思いのほか面白かったです。キャストも豪華ですが、特に主人公を演じた藤原竜也が目立ちます。あの独特の危うさが、津田伸一のイメージにぴったりです。小…

『三体』ドラマと原作を徹底比較|劉慈欣が描く宇宙規模SFの真髄:MANPA Blog

宇宙の法則も、人類の運命も揺るがすSF叙事詩 ごきげんいかがですか。まんぱです。中国で制作されたSF超大作『三体』のドラマシリーズを観ました。迫力と緻密な描写に心を奪われました。その興奮が冷めないうちに原作小説を手に取り、再読しました。再読する…

『探偵小石は恋しない』感想|恋を否定する探偵が揺らぐ瞬間とは?日常系ミステリの意外性:MANPA Blog

読者の先入観を試す構造 ごきげんいかがですか。まんぱです。『探偵小石は恋しない』は、読み始めるとすぐに気楽に読めそうって思える小説です。文章のテンポもいいし、キャラクター同士の距離感も心地いい。読んでいてリラックスできます。ただ、読んでいく…

短編小説『地雷グリコ』感想|高校生が挑むスリリングな頭脳戦:MANPA Blog

懐かしい遊びが、思わぬ頭脳戦に ごきげんいかがですか。まんぱです。タイトルを見たとき、ついグリコ森永事件を題材にした小説かと思ってしまいました。何十年経っても「グリコ」という言葉には、あの事件の印象が強く残っていますから。でも、読み始めてす…

朝井リョウ『生殖記』感想|語り手の正体は何?読んで感じた率直な違和感:MANPA Blog

『生殖記』の魅力と違和感をレビュー ごきげんいかがですか。まんぱです。朝井リョウの小説はよく話題になります。でも、人によって好き嫌いが分かれる作家のような気もします。私も最初に読んだ『何者』があまり響かず、それ以来しばらく距離を置いていまし…