晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

ーおすすめ記事ー
タイトルのテキスト
タイトルのテキスト
タイトルのテキスト
タイトルのテキスト

ファンタジー・SF

『太陽の塔』:森見 登美彦【感想】|すべての失恋男たちに捧ぐ

ご覧いただきありがとうございます。今回は、森見 登美彦さんの「太陽の塔」の読書感想です。 森見登美彦さんのデビュー作で、日本ファンタジーノベル大賞受賞作です。デビュー作でありながら、すでに森見ワールドが確立されています。まさしく森見作品その…

『華氏451度』:レイ・ブラッドベリ【感想】|本が燃える時、人も燃える

ご覧いただきありがとうございます。今回は、レイ・ブラッドベリ氏の「華氏451度」の読書感想です。 レイ・ブラッドベリ氏の代表作です。1966年に「華氏451」のタイトルで映画化もされています。映画化と言えば、マイケル・ムーア監督がブッシュ政権批判のた…

『三体Ⅲ 死神永生』:劉 慈欣【感想】|その結末を目撃せよ。

ご覧いただきありがとうございます。今回は、劉 慈欣氏の「三体Ⅲ 死神永世」の読書感想です。 本作で三体シリーズが完結します。上下巻に及ぶほどのボリュームなので、読み終えるまでに結構な時間を要しました。しかし、読み進めるほどに引き込まれ、先が気…

『鹿の王』:上橋 菜穂子【感想】|命をつなげ

こんにちは。本日は、上橋 菜穂子氏の「鹿の王」の感想です。 2015年本屋大賞を受賞したファンタジー小説です。かなりの長編作品ですが、一気に読みきってしまうほど引き込まれます。架空の世界を舞台にしたファンタジーですが、国家と個人・支配と従属とい…

『コンタクト』:カール・セーガン【感想】|どこかの惑星に必ず知的な生物がいる

こんにちは。本日は、カール・セーガン氏の「コンタクト」の感想です。 1986年に日本語訳の文庫が発刊されました。地球外知的生命体とのファーストコンタクトを描いており、天文学者でもあるカール・セーガンの中でも知られた作品です。 地球外知的生命体探…

『三体Ⅱ 黒暗森林』:劉慈欣【感想】|人類の命運は四人の面壁者の手に委ねられた

こんにちは。本日は、劉 慈欣氏の「三体Ⅱ 黒暗森林」の感想です。 劉慈欣氏の「三体」三部作の第2作目です。前作は、地球外知的生命体とのファーストコンタクトが描かれました。彼らとのコンタクトは地球を存亡の危機に陥れます。三体星人が地球に訪れるの…

『三体』:劉 慈欣【感想】|VRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?

こんにちは。本日は、劉慈欣氏の「三体」の感想です。 中国人作家による中国で出版されたSF小説を読むのは初めてです。かなりのボリュームの小説ですが、一気に読みきるほど面白い。三体三部作は中国で2100万部を売り上げています。中国の人口を考慮しても発…

『宇宙の孤児』:ロバート・A・ハインライン【感想】|宇宙船の外側には・・・

こんにちは。本日は、ロバート・A・ハインライン氏の「宇宙の孤児」の感想です。 1963年に刊行された作品です。原題は「Orphans of the Sky」。「宇宙の孤児」という和訳は、本作の本質を言い表しています。また、どんな内容だろうと期待させる。第一部の「…

『know』:野崎まど【感想】|彼女は全てを知っていた

こんにちは。本日は、野崎まど氏の「know」の感想です。 脳の補助として電子脳が義務付けられた情報化社会を描いた近未来SFです。ライトノベル的な雰囲気もあり、読みやすい。 脳が直接ネットと繋がる設定は、近未来情報化社会を描く時によく登場します。情…

『Self-Reference ENGINE』:円城 塔【感想】|反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める

こんにちは。本日は、円城 塔氏の「Self-Reference ENGINE」の感想です。 円城 塔氏の作品は三作目です。既読は、芥川賞受賞作の「道化師の蝶」と伊藤計劃氏との共著「屍者の帝国」です。「屍者の帝国」は共著というより、ほぼ円城 塔氏の作品だと認識してい…

『アーサー王と円卓の騎士』:ローズマリ・サトクリフ【感想】

こんにちは。本日は、ローズマリ・サトクリフの「アーサー王と円卓の騎士」の感想です。 アーサー王物語として知られるものは民間伝承や創作によるものがほとんどです。一般的にアーサー王物語として知られているのは、中世後期に完成したトマス・マロリーが…

『ユービック』:フィリップ・K・ディック【感想】|あらゆるものが一九四〇年代へと逆もどりする

こんにちは。本日は、フィリップ・K・ディック氏の「ユービック」の感想です。 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」以来のディック作品です。秀逸な海外SF作品と言えば、「ユービック」は必ずと言っていいほど名前が上がります。 ディックの作品は映…

『ペンギン・ハイウェイ』:森見 登美彦【感想】|ぼくは知りたい。

こんにちは。本日は、森見 登美彦氏の「ペンギン・ハイウェイ」の感想です。 森見登美彦氏の小説は、現実世界とファンタジーが混ざり合い独特の世界観を生み出します。「ペンギン・ハイウェイ」はアニメ映画化されていますが、未視聴なので比較はできません…

『ICO -霧の城-』:宮部みゆき【感想】|ぼくが君を守る。だから手を離さないで

こんにちは。本日は、宮部みゆきさんの「ICO -霧の城-」の感想です。 文庫の巻末にある米光一成氏の解説で、本作がゲームのノベライズであることを知りました。あまりゲームをしないので、初めて聞くゲームの名前です。ノベライズされるほどのストーリー性を…

『夏への扉』:ロバート・A・ハインライン【感想】|かくいうぼくも、夏への扉を探していた

こんにちは。本日は、ロバート・A・ハインライン氏の「夏への扉」の感想です。 SFの名作と言われています。1956年発表なので古典作品になるでしょうか。ロバート・A・ハインライン、アーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフはビッグ・スリーと称され…

『火星の人』:アンディ・ウィアー【感想】|70億人が、彼の還りを待っている

2015年にマット・デイモン主演で映画化されています。3Dで鑑賞しましたが、壮大な映像とスケールに引き込まれた記憶があります。SFにサバイバル要素を組み合わせています。火星が舞台ですが現実感があります。近い将来の有人火星探査の可能性を感じます…

『有頂天家族』:森見登美彦【感想】|面白きことは良きことなり!

京都を舞台にした現実と非現実が混ざり合ったファンタジー。森見ワールドに引き込まれます。舞台は現実の京都でありながら、登場人物は虚構です。両者が混沌とする世界には不思議と違和感がありません。京都という土地の深淵さでしょうか。 天狗と狸と人間が…

『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』:伊藤計劃【感想】|スネーク、最後の物語。

こんにちは。本日は、伊藤計劃氏の「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」の感想です。 メタルギアシリーズの第6作目「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」のノベライズです。プレステ3のゲームということですが、私…

『終戦のローレライ』:福井晴敏【感想】|あるべき終戦の形とは・・・

私の好きな作家 福井晴敏の代表作です。文庫で4冊の大長編ですが、中弛みは一切ありません。映画も制作されていますが、どこまで映画を意識していたのか疑問に思います。少なくとも、映画を意識し過ぎていれば、ここまでの長編にはならなかったでしょう。 …

『熱帯』:森見登美彦【感想】|かくして彼女は語り始め、ここに「熱帯」の門は開く

こんにちは。本日は、森見登美彦氏の「熱帯」の感想です。 2019年本屋大賞の第4位にランキングされた作品です。著者が描く独特の世界観は何かと話題になります。今回が3冊目なので森見ワールドに関しては初心者ですが、一度読むと忘れられない雰囲気を感じ…

『ゲームウォーズ』:アーネスト・クライン【感想】|70年代・80年代に思いを馳せる

2018年4月に映画化された「レディ・プレイヤー1」の原作小説です。映像で表現される映画と文章で表現される小説では、かなり趣が違う印象です。映画を先に観ているので、読み進めれば映画のシーンが頭に思い浮かびます。映画の感想は、以下のリンクからどう…

『図書館の魔女 烏の伝言』:高田大介【感想】|裏切り者の街を駆け巡る

「図書館の魔女」の続編。前作は、ニザマ・アルデシュ・一の谷の三国和睦により戦役が回避され、ニザマの宦官宰相ミツクビを失脚させたところで終わりました。三国和睦の実現で、物語を一区切りさせた印象です。宦官中常侍の失脚で、ニザマに政情不安による…

『図書館の魔女』:高田大介【感想】|図書館は人の知り得るが世界の縮図

第45回メフィスト賞受賞作。著者のデビュー作になります。単行本上下巻で1500頁近い超大作です。ファンタジー作品ですが、リアリティのある世界観に基づいた物語は読み進めるほどに引き込まれていきます。物語が劇的に進展する箇所もあれば、その前段階とし…

『夜は短し歩けよ乙女』:森見登美彦【感想】|現実と非現実的の境目が曖昧になる

京都を舞台にした恋愛小説かと思えば、ファンタジー要素を随所に散りばめた不思議な小説です。現実的な出来事と非現実的な出来事が混然と混じり合い、何とも言えない読み心地を感じさせます。クラブの後輩に恋をしている大学生の物語ですが、彼の恋心を弄ぶ…

『君にさよならを言わない2』:七月隆文【感想】|幽霊たちとの出会いが切なさと温かさを溢れさせる

「君にさよならを言わない」の続編。続編なので登場人物や設定は引き継いでいますが、短編集なので前作を読んでいないと理解できないということはありません。ただ、前作を読んでいるのといないのとでは、受け止め方が変わってくるはずです。前作を未読の方…

『君にさよならを言わない』:七月隆文【感想】|願いを叶えた時、切なさとともに暖かい感情が心を満たす

「ぼくには、幽霊が視える。」 心残りのある幽霊の願いを叶え、成仏させる。物語の設定としては有りがちです。ありふれた設定で、オリジナリティ溢れたストーリーを作り出すのは難しい。本作もストーリーの組み立て自体に、それほど目新しいものはありません…

『かがみの孤城』:辻村深月【感想】|居場所はひとつではない。どこにでも・・・

2018年本屋大賞受賞作です。 「かがみの孤城」は本屋大賞を受賞し、様々なメディアで高い評価を受けています。もともと彼女の作品は注目されますし、その分、世間の評価のハードルは高くなります。そのハードルの高さを一気に飛び越えるほどの素晴らしい作品…

『夜行』:森見登美彦【感想】|彼女はまだ、あの夜の中にいる

こんにちは。本日は、2017年本屋大賞8位、森見登美彦氏の「夜行」の感想です。 ファンタジーの要素を軸にしていますが、ホラーに近い部分もあります。単行本の表紙からは想像出来ない怖さを含んだ小説です。徐々に空気が重くなり、圧迫されていくような息苦…

『ハーモニー』:伊藤計劃【感想】|理想郷に倦んだ少女たちは、世界の終わりを夢見た

こんにちは。本日は、伊藤計劃氏の「ハーモニー」の感想です。 数少ない伊藤計劃の長編のひとつです。「屍者の帝国」を彼の長編にカウントしなければ、「ハーモニー」が最後の長編作品ということになります。彼独自の世界観により設定された近未来を舞台に、…

『忘れられた巨人』:カズオ・イシグロ|記憶を取り戻した二人を待ち受けるものは・・・

カズオ・イシグロ氏の小説を読むのは、「日の名残り」に続き2作目となります。舞台は「日の名残り」と同じくイギリスですが、時代も背景も全く違います。この作品はファンタジーの要素が強い。 時は6世紀頃。伝説のアーサー王の死後のイギリス。まだ、彼の…