晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『キリスト教入門』:山我哲雄|キリスト教の歴史がここにある

イスラム過激派によるテロの脅威が全世界で広がっています。一般のイスラム教徒にとってみればイスラムという名を利用した単なるテロリストであり、イスラム教徒に対する偏見に繋がることを懸念しているようです。テロのニュースやイスラムの世界については…

『ジョーカー・ゲーム』:柳 広司|スパイの本質は「死ぬな、殺すな」

スパイといってまず思い浮かぶのが、007の「ジェームズ・ボンド」とミッション・インポッシブルの「イーサン・ハント」です。どちらもフィクションの話ですが、世界で最も有名なスパイの内の二人でしょう。アクション映画なのでエンターテイメント性が高…

『星を継ぐもの』:ジェイムス・P・ホーガン|月面から現れた謎が人類の起源に迫る壮大なミステリー

30年以上前に発表された作品ですが、現在に至っても全く色褪せることのないハードSFの傑作です。謎の解明が物語の主眼なので、ミステリー・ハードSFと言った方が適切かもしれません。その謎が、とてつもなく壮大です。 ほとんど現代人と同じ生物であるに…

『しんせかい』:山下澄人|淡々と描かれる日記のような小説。芥川賞の理由はどこに?

第156回芥川賞受賞作。著者である山下澄人氏は、倉本 聰氏主宰の富良野塾の第2期生です。「しんせかい」は、山下澄人氏が富良野塾第2期生として過ごした1年間を記した自伝的小説と位置付けられるでしょう。 「しんせかい」の内容 「しんせかい」の感想 小…

『空飛ぶ広報室』:有川 浩|挫折を乗り越え、前を見続ける。自衛官の前に人として。

タイトルと表紙に描かれている戦闘機とパイロットの姿。どんな話かもよく知らずに、何となく表紙が気になり買ってしまいました。著者が有川浩氏というのも、購入する気になった理由の一つですが。表紙と帯を見た限りでは、P免(パイロットを罷免された人の…

『ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌』:神山典士|一方的な視点に違和感を感じざるを得ない

今となっては話題にも上らない「佐村河内事件」です。先日、図書館に出かけた際、書棚を見ていたらたまたま目に入って借りてしまいました。もう3年程前の事件です。当時はあまり興味がありませんでした。全聾の天才作曲家にゴーストライターがいた、今まで…

『墜落の夏』:吉岡 忍|日航機墜落事故の真実がここに・・・

正式なタイトルは、「墜落の夏ー日航123便事故全記録」です。タイトルの通り、1985年8月12日に起こった日本航空123便墜落事故のノンフィクションです。当時、私は小学生だったので事故の記憶はあります。しかし、詳細は知りませんでした。毎年、この日にな…

『陽気なギャングが地球を回す』:伊坂幸太郎【感想】|史上最強の強盗4人組大奮戦

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「陽気なギャングが地球を回す」の感想です。 伊坂幸太郎氏の長編小説3作目。軽快なテンポと軽妙な台詞、複雑に張り巡らされた伏線と回収、結末を予想させないストーリー展開と鮮やかな終結に引き込まれます。 銀行強盗…

『流』:東山彰良|青年の成長と家族のルーツが交錯する

第153回直木賞受賞作です。芥川賞を受賞したピース又吉さんに注目が集まってしまい、羽田圭介さんとともにちょっと印象が薄くなってしまった感じがします。しかし、「流」は重厚で読み応えがあり心に響きます。読後に、表紙カバーの山東省の荒涼とした風景を…

『夢幻花』:東野圭吾|幻のアサガオが驚愕の事実を告げる

東野圭吾の頭には、どれほどのアイデアが詰まっているのでしょうか。あれだけの量の小説を書き続けながらも、まだこれだけのアイデアを駆使した小説を書くのだから本当に驚きです。著者は「夢幻花」について、「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない 」…

『精霊の守り人』:上橋菜穂子|壮大な和製ファンタジーが今ここに始まる

児童文学として執筆されたファンタジー小説。「精霊の守り人」は、綾瀬はるか主演でNHKドラマで放映されていました。小説を読んでいなくてもドラマで知っているという方もいるでしょう。この小説は児童文学というジャンルで収まるものではありません。も…

『ソロモンの偽証』:宮部みゆき|タイトルの意味。それを知った時に全てが分かる。

文庫版を1年くらい前に購入していたのですが6冊というボリュームから、なかなか手が出ず積読状態になっていた小説です。ようやく読み始めましたが、もっと早くに読めば良かったと後悔しました。それくらい夢中になって読める作品です。超長編なのですが、…