読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

定期「2018年12月(師走)」の読書本

年末のバタバタとした時間をやり過ごしながら、時間を作って本を読んでいました。2018年に読んだ本は100冊程度でしょうか。12月の読書本は7作品です。12月のおすすめ度合いです。 おすすめ度★★★★★ 村上海賊の娘 和田 竜 おすすめ度★★★★ フーガはユーガ 伊坂…

『残り全部バケーション』:伊坂幸太郎【感想】|結末は読者に委ねられた?

五章から成る連作短編集。各短編ごとで完結してますが、それぞれが関係し合っています。第五章を読むと、今までの物語が最終章のための伏線であったようにも感じます。全てが最終章のためだけに存在していた訳ではないですが。 裏稼業に生きる「溝口」と「岡…

『図書館の魔女』:高田大介【感想】|図書館は人の知り得るが世界の縮図

第45回メフィスト賞受賞作。著者のデビュー作になります。単行本上下巻で1500頁近い超大作です。ファンタジー作品ですが、リアリティのある世界観に基づいた物語は読み進めるほどに引き込まれていきます。物語が劇的に進展する箇所もあれば、その前段階とし…

『名前探しの放課後』:辻村深月【感想】|人は変わることができる

二度読みしました。本作を読む前に、先に読んでおくべき作品がいくつかあります。少なくとも、「ぼくのメジャースプーン」を読んでから読むことをお勧めします。出来れば、「凍りのくじら」も読んでおいた方が面白いかも。あまり書くとネタバレしそうなので…

『ハサミ男』:殊能将之【感想】|仕組まれた叙述トリックに驚愕する

著者のデビュー作であり、1999年に第13回メフィスト賞を受賞した作品です。ミステリー小説の醍醐味は、結末が自分の予想を裏切り、しかも納得されられる結末であることです。そういう意味では、見事に予想を裏切られました。物語の終盤に一気に謎が明かされ…

『夜は短し歩けよ乙女』:森見登美彦【感想】|現実と非現実的の境目が曖昧になる

京都を舞台にした恋愛小説かと思えば、ファンタジー要素を随所に散りばめた不思議な小説です。現実的な出来事と非現実的な出来事が混然と混じり合い、何とも言えない読み心地を感じさせます。クラブの後輩に恋をしている大学生の物語ですが、彼の恋心を弄ぶ…

『ぼくのメジャースプーン』:辻村深月【感想】|復讐は誰のため?

「あることをしなければ、あることが起きる」 物語の鍵となるのが「条件ゲーム提示能力」。この能力が、どれほど恐ろしい能力なのか。一見するとよく分かりません。冷静に考えると、人の心に直接影響を及ぼすのはとても危険です。読み進めていくと、徐々に気…

『きみにしか聞こえない』:乙一【感想】|彼女たちの苦しみは救われたのだろうか

乙一作品を読むのは、本作が初めてです。表題作を含む3篇の短編です。短編の中でも、かなり短い部類に入ると思います。登場人物は少なく、それほど複雑なストーリーでもありません。それぞれの短編に関係性がある訳でもないので、読み応えはそれほどないと…

定期「2018年11月(霜月)」の読書本

そろそろコートが必要になってきた11月。日が一層短くなり、寒さが日に日に身に沁みます。11月の読書本は7冊でした。あまり読めなかった印象です。11月のおすすめ度合いです。 おすすめ度★★★★★ 蜜蜂と遠雷 恩田 陸 おすすめ度★★★★ 夜の国のクーパー 伊坂幸…

『村上海賊の娘』:和田 竜【感想】|武士とは違う海賊の生き様

第11回本屋大賞受賞作。和田 竜の小説は「忍びの国」「小太郎の左腕」を読みました。それらに比べ、村上海賊の娘は超長編です。単行本で上下巻、文庫だと4巻に及びます。超長編ながら、気が付けば一気読みでした。 戦国時代の歴史小説だと、主人公は有名な…

『凍りのくじら』:辻村深月【感想】|「少し・不思議」が彼女を変えていく

藤子・F・不二雄作品に対する敬愛が伝わります。本作では、「ドラえもん」に対する著者の思い入れが、随所に散らばっています。主人公の芦沢理帆子が抱く藤子・F・不二雄への思いは、著者の思いを代弁しているのかもしれません。 ドラえもんの物語には、人生…

『フーガはユーガ』:伊坂幸太郎【感想】|だけど僕たちは、手強い

伊坂幸太郎の1年ぶりの新作長編。私はまだ、彼の小説を全て読んでいません。未読の作品があるにもかかわらず、新作が出ると嬉しい。出版順に読んでいるのですが、新作ということで我慢できずに読んでしまいました。第一期の作品ほど軽妙な会話や伏線が際立…

『のぼうの城』:和田 竜【感想】|日本三大水攻めに耐えた城

小説より前に映画を観ています。鑑賞したのは数年前ですが、小説を読み進めると映画の記憶も蘇ってきました。映画の記憶と小説が微妙に違うのは原作からアレンジされたのか、私の記憶違いなのか。ただ、小説にかなり忠実に製作されていたのだと感じます。も…

『夜の国のクーパー』:伊坂幸太郎【感想】|思い込みが目の前を見えなくさせる

猫が言葉を話す。物語の始まりから非現実的です。空想の国を舞台にしたファンタジー的な物語と思いながら読み始めました。舞台となる場所も、現実には存在しない「この国」と「鉄国」です。しかし、場面が変わると様相が一気に変化します。空想の世界かと思…

『PK』:伊坂幸太郎【感想】|臆病は伝染する。そして勇気も伝染する。

「PK」「超人」「密使」の3つの中篇から成る連作集。一度目は読み進めるほど時間軸や各話の関係性に混乱し、二度読みしました。二度読みしても、全ての繋がりを理解し納得できたかと言うと、疑問点も多々残ります。私の理解力の問題なのかもしれませんが。…

『本日は、お日柄もよく』:原田マハ【感想】|職業小説でなく、お仕事「サクセス」小説

以前から気になっていた1冊です。タイトルと装丁が印象深く、書店で見かけてから頭の片隅に引っかかっていました。スピーチライターという職業を焦点を当て、そこに関わる様々な人生を描いた作品です。 職業としてスピーチライターがあることは知っています…

定期「2018年10月(神無月)」の読書本

10月に入り、朝晩が肌寒くなってきました。秋の夜長、読書の季節ですがあまり読めていません。10月に読んだ本は8冊でした。それでは10月の読書本のおすすめ評価を。 おすすめ度★★★★★ マリアビートル 伊坂幸太郎 おすすめ度★★★★ 一瞬の風になれ 佐藤多佳子 …

『蜜蜂と遠雷』:恩田陸【感想】|文字から音楽が溢れ出る

史上初の直木賞・本屋大賞のW受賞作。ピアノコンクールの物語なので、引き込まれるかどうか疑問を感じながら読み始めました。何故なら、私はクラシックが詳しくありません。正直、ほぼ知らないと言っていい。曲のタイトルを聞いてもイメージできない。単行…

『みかづき』:森 絵都【感想】|学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になる

第14回本屋大賞第2位受賞作。単行本で460頁超の長編作品です。著者の作品は、「カラフル」と「風に舞いあがるビニールシート」の2作品しか読んだことがありません。「カラフル」は中高生向けですし、「風に舞いあがるビニールシート」は短編集なので、読み…

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』:リリー・フランキー【感想】|大切な人を失うことは誰もが経験する

第3回本屋大賞。リリー・フランキーが、母親との半生を描いた自伝的小説です。ドラマ・映画・舞台と映像化されています。私は映像化された作品を見ていませんし、小説も初読です。小説の帯には、福山雅治・みうらじゅんなどの著名人が感想を寄せています。…

『オリンピックの身代金』:奥田英朗【感想】|逃れられない貧富の差

時は、昭和39年。10月10日から開催されるオリンピックに沸いている東京が舞台です。その東京オリンピック自体が人質となった身代金要求事件。爆弾を使い、東京オリンピックの開催を妨害する犯人。国の威信を懸けたオリンピックの開催を成し遂げるために、全…

映画「虐殺器官」を観た

伊藤計劃の同名小説の映像化。デビュー作であるとともに、彼の名を一気にメジャーにした作品です。伊藤計劃のオリジナル長編は3編しかありません。「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」です。「屍者の帝国」は執筆中にガンで早逝したため、ほとんどの…

『よるのばけもの』:住野よる【感想】|昼の俺と夜の僕。本当のばけものはどっちなのだろうか。

主人公の安達は、夜になると8つの眼・足が6本・4つの尾がある真っ黒なばけものになる。物語としては完全なフィクションであり、非現実的な設定が前提になっています。夜の学校に忍び込む同級生の矢野さつきについても、どうやって忍び込んでいるのか明確…

『消滅』:恩田 陸【感想】|閉じ込められた空港。果たしてテロリストは?

単行本500ページ超に及ぶ長編です。入国を拒否された11人が、閉じ込められた日本の国際空港の別室で繰り広げるテロリスト探し。クローズド・サークルを舞台にしたミステリーです。11人の中に高度なヒューマノイドロボットのキャスリンが登場し、SF的要素も加…

『一瞬の風になれ』:佐藤多佳子【感想】|仲間を信じて、バトンをつなぐ

第4回本屋大賞受賞作。中学校までサッカーをしていた「神谷新二」が主人公。彼の一人称で描かれる春野台高校陸上部が舞台の青春物語です。 序章は、新二と彼の友人「一ノ瀬連」の生い立ちと、彼らの関係性の紹介のための章です。物語は、高校一年生から三年…

『ソードアート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ』:川原 礫【感想】|ユウキとの邂逅がアスナの現実を変える

前作「ファントム・バレット」の数週間後。アスナを主人公にしたスピンオフ作品です。前作はキリトとシノンの物語であったことから、アスナを始め旧アインクラッドの面々の影は薄かった。全く出番がなかった訳ではないですが。そもそも物語の視点がキリト以…

定期「2018年9月(長月)」の読書本

9月に入り、日が短くなってきた実感があります。台風が猛威を振るい多くの被害が出ました。 9月に読んだ本は7冊でした。それでは9月の読書本のおすすめ評価を。 おすすめ度★★★★★ かがみの孤城 辻村深月 横道世之介 吉田修一 おすすめ度★★★★ 氷菓 米澤穂…

『容疑者Xの献身』:東野圭吾【感想】|論理と感情。どちらに従うことが正しいのか。

第134回直木賞受賞作。ガリレオシリーズの第三作目で初の長編です。「探偵ガリレオ」「予知夢」は短編集なので、トリックに様々な仕掛けが施されていますが流れは一直線です。登場人物たちも立ち位置が明確で、あまり予想外の動きをしません。トリックは予想…

『マリアビートル』:伊坂幸太郎【感想】|東北新幹線に集結した殺し屋たちの運命は・・・

位置付けとしては「グラスホッパー」の続編です。続編と言っても、直接的なストーリーの繋がりはあまりありません。グラスホッパーで登場した人物が数人登場していますが、前作を読んでいなくてもストーリーを理解する上で支障はないでしょう。「マリアビー…

『Twelve Y.O.』:福井晴敏【感想】|日本は国家として大人になれないのか

福井晴敏のデビュー作。本作より先に「川の深さは」を執筆しています。ただ発刊されたのは本作が先なので、世間的なデビュー作ということになります。次作「亡国のイージス」も含めたところだと、発刊順は「Twelve Y.O.」「亡国のイージス」「川の深さは」。…