読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』: 佐藤航陽【感想】|「新しい経済」を私たちはどう生きるか!

最初に気になるのが、タイトルの「2.0」です。副題から経済の話だと分かりますが、新しい経済とは?ルールとは?生き方とは? 著者の佐藤航陽は株式会社メタップスの代表取締役ですが、恥ずかしながら著者も会社も知りませんでした。フォーブスやAERAで注目…

『ラプラスの魔女』:東野圭吾【感想】|彼女は計算して奇跡を起こす

殺人の雰囲気が漂う硫化水素死亡事故から始まり、遠く離れた場所で同じような硫化水素の死亡事故が起こることで事態が動き始めます。事故だとしても再現性はなく、事件だとしても実行不可能です。事故とも事件とも言えない状態で、それぞれの見ている角度か…

『人生の勝算』:前田裕二【感想】|路上ライブで身につけた、人生とビジネスの本質!

ビジネス書というよりは、自己啓発と前田裕二の人生のノンフィクションが混ざったような印象です。彼の幼少期から現在までの足取りと、そこで得られた人生の指針について書かれています。彼は苦労したからこそ、物事から何かを得ようとし、活用しようとしま…

『アイネクライネナハトムジーク』:伊坂幸太郎【感想】|ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。

6つの物語で構成される短編集です。それぞれの物語の登場人物が時空を超えて繋がります。各短編が深く関わり合っています。「出会い」をテーマにしていながら、伊坂幸太郎が書くと恋愛小説も少し独特です。彼の個性が光ります。 著者のあとがきで触れていま…

『FACTFULNESS』:ハンス・ロスリング【感想】|10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

私たちは、世界に対して間違った思い込みを持っています。世界は必ずしも悪くなっていません。データを冷静に分析すれば簡単に分かることのようです。本書では、簡単な三択クイズに答えることで世界に対する間違った思い込みを発見していきます。 何故、間違…

『ソードアート・オンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング』:川原 礫【感想】|アンダーワールドにアスナ降臨

最終負荷実験がついに始まります。人界軍 VS ダークテリトリー軍の戦いは、守備と侵略の戦いです。アンダーワールド全体を舞台にした全面戦争は、ダークテリトリー軍による一方的な虐殺になるのでしょうか。アドミニストレータがソードゴーレムを作ったのは…

『ソードアート・オンライン15 アリシゼーション・インベーディング』:川原 礫【感想】|最終負荷実験が始まる

アドミニストレータとの決戦が終わり、アリシゼーション編が新たなステージへ進みます。暗黒界(ダークテリトリー)を含むアンダーワールド全てが舞台になります。アドミニストレータを倒しましたが、先行きは決して明るくない。 精神喪失状態のキリト。 ユ…

『宝島』:真藤順丈【感想】|沖縄のルーツがここに

第160回直木賞受賞作。サンフランシスコ講和条約から沖縄返還協定までのアメリカ施政権下の沖縄が舞台です。基地の島と言われている現在の沖縄のルーツが描かれています。沖縄戦の悲劇と20年に及ぶアメリカの施政権下に置かれた沖縄は過酷な運命を辿っていま…

『父が娘に語る経済の話。』:ヤニス・バルファキス【感想】

微妙な違いですが、経済学でなく経済の話です。著者の経験と考え方が前面に出ていて、学問的な考察は薄く感じます。「娘に語る」とタイトルにある通り、語り掛けるような文体で執筆されています。数日間で書き上げた内容なので、全てが系統立てて説明されて…

定期「2019年9月(長月)」の読書本

9月の読書本は7作品でした。冊数は8冊です。生方 丁が2作品入っています。それでは、9月の読書本のおすすめを。 おすすめ度★★★★★ まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん おすすめ度★★★★ 天地明察 生方 丁 名もなき毒 宮部みゆき おすすめ度★★★ ソードアート・オン…

『名もなき毒』:宮部みゆき【感想】|毒は人の心に潜み、飽和する

杉村三郎シリーズの第2作目。会社員でありながら探偵のような行動、今多コンツェルン会長の娘婿という立場が及ぼす職場での微妙な立ち位置は変わっていません。それが面白みを増します。彼が所属するグループ広報室の面々も個性的で引き込まれていきます。 …

『天地明察』:生方 丁【感想】|暦は天と地を繋ぐ

第7回本屋大賞受賞作。史実を基にした時代・歴史小説です。主人公の渋川春海は囲碁棋士であり、天文暦学者でもあります。算術にも没頭します。自身の興味のある分野に関しては、とても探求心のある人物です。 渋川春海(安井算哲)の名前を教科書で見た記憶…

『スプートニクの恋人』:村上春樹|あちら側にあるものは・・・

「スプートニクの恋人」を読むのは2度目です。1度目は相当に前なので、かなりの部分が記憶から抜け落ちていました。 長編作品ですが、それほどボリュームはありません。一方、起こった事象に対して、原因となるものはあまり詳細に描かれません。読者の解釈…

『ソードアート・オンライン14 アリシゼーション・ユナイティング』:川原 礫【感想】|アリシゼーション・人界編が完結

アドミニストレータに記憶を奪われ、整合騎士ユージオ・シンセシス・サーティツーとなったユージオ。キリトとの再会と決闘の火蓋が切られたところからです。最上階を目前にして、親友と死闘が始まります。元老長チュデルキンの行方も気になるところですが、…

『まほろ駅前多田便利軒』:三浦しをん【感想】|戻らない過去を抱き、未来へ向けて

三浦しをんの作品は「舟を編む」以来2作目です。瑛太と松田龍平で映像化されていますが、読後の印象としてはキャスティングに違和感はありません。 便利屋という職業は、それほど特殊ではありません。便利屋で検索すれば、星の数ほどの検索結果が出ます。掃…

『首折り男のための協奏曲』:伊坂幸太郎【感想】|首折り男と黒澤が繋ぐ

7つの短編から構成されており、それぞれ独立した物語でありながら緩やかな関連性があります。首折り男で繋がっていて、黒澤で繋がっていて、若林夫妻で繋がっている。全てが一点に集束し、爽快感を得る結末ではありません。それぞれの短編で、それぞれの終…

定期「2019年8月(葉月)」の読書本

お盆が過ぎても、まだまだ暑い日が続く8月。朝晩の涼しさは増してきたような気はしますが。 8月に読んだ本は6冊でした。8月の読書本のおすすめ評価を。 おすすめ度★★★★★ 沈黙のパレード 東野圭吾 メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット 伊藤…

『十二人の死にたい子どもたち』:生方 丁【感想】|13人目の謎は一体・・・

第156回直木賞候補で映画化もされた生方 丁の長編ミステリー作品です。注目された作品なので、かなりの期待度でした。タイトルも刺激的で興味を引きます。映画化もされていますが、ストーリーはほとんど知らない状態で読み始めました。 「死にたい子どもたち…

『項羽と劉邦』:司馬遼太郎【感想】|武と徳のいずれが勝つのか

舞台となる楚漢戦争は、紀元前206年から紀元前202年です。日本は弥生時代です。始皇帝の死により、再び戦乱の世になった中国の激動振りが伝わります。激動だからこそ魅力的な人物が現れるのでしょう。本作に登場する人物は、誰もが印象に残ります。 前半は始…

『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』:伊藤計劃【感想】|ノベライズに留まらない魅力

メタルギアシリーズの第6作目「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」のノベライズです。プレステ3のゲームということですが、私はプレイしたことがありません。そもそもメタルギアシリーズそのものをプレイしたことがないのですが。 著…

『さよならドビュッシー』:中山七里【感想】|彼女の存在はピアノの中に

第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作です。本作で登場するピアニスト「岬洋介」のシリーズ第1作目になります。2013年に映画化、2016年にドラマ化されています。映画のキャスティングは橋本愛と清塚信也。ドラマは黒島結菜と東出昌大です。現役ピア…

『だれでも書ける最高の読書感想文』:斎藤 孝【感想】

魅力的なタイトルです。読書感想文が苦手で避けて通りたいと考えている人も多いでしょう。読書感想文について考える時、「読書が好きかどうか」と「文章を書けるかどうか」の二つの段階を考える必要があります。 感想文は宿題や課題として書く機会が多い。書…

定期「2019年7月(文月)」の読書本

最近は月に10冊読めないペースになっています。仕事が忙しい訳ではないのですが、夜になると猛烈に眠気が襲ってきます。夏場になり疲れているのかも。夏に体が慣れれば、ペースは戻るかもしれませんが。 7月の読書本は6作品、9冊でした。終戦のローレライ…

『沈黙のパレード』:東野圭吾【感想】|沈黙の向こうに隠された真実

ガリレオシリーズ3年ぶりの長編作品です。「猛射つ」の改稿による「禁断の魔術」以来です。オリジナル長編作品としては「真夏の方程式」からの8年ぶりになります。ガリレオシリーズは私のお気に入りのシリーズです。物理的トリックを使いながらも読みやす…

『シーソーモンスター』:伊坂幸太郎【感想】|「海族」と「山族」の対立構造を描く

表題作「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の中篇2作品が収録されています。文芸誌「小説BOC」の競作企画「螺旋」プロジェクトの作品です。8組9名の作家が3つのルールに従って、古代から未来までの日本を舞台に2つの種族が対立する歴史を描い…

『続 横道世之介』:吉田修一【感想】|世之介は変わらない

タイトル通り、「横道世之介」の続編です。前作は本屋大賞3位を受賞しており、私のお気に入りのひとつです。大学一年生の1年間を切り取って描かれた彼の日常に引き込まれました。 「続 横道世之介」は、留年したことでバブル景気の売り手市場に乗り遅れ、…

『ソードアート・オンライン13 アリシゼーション・ディバイディング』:川原 礫【感想】|キリトとユージオの再会は・・・

セントラル・カセドラルの階を上がるごとに緊張感が増していきます。ディバイディングではキリトとユージオが別行動です。作中でキリトも言っていますが、二人が離れたのは初めてです。だからこそユージオの存在感が増していきます。そして二人は意外な形で…

『終戦のローレライ』:福井晴敏【感想】|あるべき終戦の形とは・・・

私の好きな作家 福井晴敏の代表作です。文庫で4冊の大長編ですが、中弛みは一切ありません。映画も制作されていますが、どこまで映画を意識していたのか疑問に思います。少なくとも、映画を意識し過ぎていれば、ここまでの長編にはならなかったでしょう。 …

『学びを結果に変えるアウトプット大全』:樺沢紫苑【感想】

発行部数40万部を超えるベストセラーです。以前から気になっていました。ビジネス書なのか、実用書なのか、自己啓発本なのか。私が読んだ印象では自己啓発本です。精神科医が執筆しているから、自己啓発要素が強くなるのかもしれません。 インプットを材料に…

『迷路館の殺人』:綾辻行人【感想】|迷路と見立てに潜む謎

「館シリーズ」三作目です。中村青司・島田 潔も馴染みが出てきました。本作は、作中作と見立て殺人を軸としたミステリー作品です。作中作自体に仕掛けがあることは予想できます。ただ、「迷路館の殺人」が始まると作中作であることを忘れてしまいます。 迷…