読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

『子どもたちは夜と遊ぶ』:辻村深月【感想】|浅葱に救いはあったのだろうか

文庫で1,000頁を超える長編です。結末で明かされた謎の答えがあまりに予想外でした。読んできたことの整合性を確認したくなったので2度読みです。ミステリー小説で謎が明かされると、これまでの出来事に意味が与えられ、納得感と充実感があるものです。結末…

定期「2019年4月(卯月)」の読書本

新年度が始まった4月です。慌ただしい中にも、新鮮な気持ちになる時期だと思います。4月の読書本は6作品でした。文庫で上下巻に分かれているものもありましたので、冊数で言えば9冊になります。 4月のおすすめ度合いです。ちなみに「おすすめ度★★★★★」…

『革命のファンファーレ』:西野亮廣【感想】|納得できるが、どことなく違和感が・・・

西野亮廣の本を読むのは初めてです。それほど興味のある人ではなかったので、芸人としても作家やクリエイターとしてもよく知りません。ただ「革命のファンファーレ」は話題になった本なので手に取りました。 彼が出版した絵本「えんとつ町のプペル」の制作、…

『ガソリン生活』:伊坂幸太郎【感想】|緑デミが謎を追う?

車を擬人化し物語を紡いでいきますが、仙台を舞台にした現実的(?)な物語です。登場するエピソードは、結構物騒なものが多い。普通に生活していれば到底巻き込まれないようなことばかりです。しかし、伊坂幸太郎が書けば軽快なストーリーになります。本作…

映画『キングダム』を観た

原作漫画「キングダム」は4000万部以上の発行部数を誇る人気漫画ですが、私は読んでいません。なので、純粋に映画単体の感想になります。原作との比較が出来ないので、ある意味新鮮に映画を観ることが出来たと思います。ストーリーは原作漫画に沿っているの…

『熱帯』:森見登美彦【感想】|かくして彼女は語り始め、ここに「熱帯」の門は開く

2019年本屋大賞の第4位にランキングされた作品です。著者が描く独特の世界観は何かと話題になります。今回が3冊目なので森見ワールドに関しては初心者ですが、一度読むと忘れられない雰囲気を感じ取れます。言葉では言い表しにくいですが。 誰も読み終えた…

『屋上のテロリスト』:知念実希人【感想】|テロリストの裏に隠された彼女の真実

著者の名前を聞いて思い浮かぶのは医療ミステリーです。彼の作品をそれほど多く読んでいませんが、一度感じたイメージはなかなか離れない。本作では医療は登場しません。 物語に潜む謎を解くという意味ではミステリー作品です。ただ、事件が起こり、謎が発生…

『インフェルノ』:ダン・ブラウン【感想】|ダンテの神曲が抱く謎

ロバート・ラングドン教授を主人公にしたサスペンス小説の第4作目。「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチ・コード」は映画化されており、当時はかなり話題になりました。この2作は小説も読みましたし、映画も観ました。かなり前なので再読した上で、いずれ感想を…

映画『ハンターキラー 潜航せよ』を観た

潜水艦を扱った映画を久しぶりに観た気がします。思い出すのは、「U・ボート」から始まり「レッド・オクトーバーを追え!」「クリムゾン・タイド」「K-19」「U-571」と数え上げればキリがありません。潜水艦独特の緊張感は手に汗を握ります。 2000年代に…

2019年本屋大賞の受賞作

2018年12月〜2019年4月にかけて実施された第16回本屋大賞の受賞作一覧です。 大賞 『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ 【得点:435.0点】 2位 『ひと』小野寺史宜 【得点:297.5点】 3位 『ベルリンは晴れているか』深緑野分 【得点:282.5点】 4位 …

『ゲームウォーズ』:アーネスト・クライン【感想】|70年代・80年代に思いを馳せる

2018年4月に映画化された「レディ・プレイヤー1」の原作小説です。映像で表現される映画と文章で表現される小説では、かなり趣が違う印象です。映画を先に観ているので、読み進めれば映画のシーンが頭に思い浮かびます。映画の感想は、以下のリンクからどう…

『共喰い』:田中慎弥【感想】|淀んだ川縁で描かれる鬱屈した心象風景

第146回芥川賞受賞作。円城塔氏の「道化師の蝶」との同時受賞です。全体を通して、暗く鬱屈したねっとりと纏わりつくような不快感というか気持ち悪さを感じざるを得ない作品でした。読みたくなくなるというものではなく、人間の負の部分だけを抽出し表現して…

『ソードアート・オンライン10 アリシゼーション・ランニング』:川原 礫【感想】|アリシゼーションの意味が明かされる

「アリシゼーション・ランニング」は、行方不明になったキリトの行方を探す現実世界のアスナから始まります。その段階でアンダーワールドの正体が明かされていきます。前半は菊岡による解説が中心なので読んでいてだれる部分もありますが、必要な情報開示な…

定期「2019年3月(弥生)」の読書本

日々、春の訪れを感じる3月。梅が咲き、桜も咲き始める季節です。3月の読書本は7冊でした。3月のおすすめ度合いです。ちなみに「おすすめ度★★★★★」は該当なしです。 おすすめ度★★★★ 屍人荘の殺人 今村昌弘 ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・…

『百貨の魔法』:村山早紀【感想】|心が柔らかくなっていく

第15回本屋大賞で9位になった作品。「桜風堂ものがたり」に登場した星野百貨店と、そこで働く従業員が織りなす美しい物語です。幕間を含めれば6章から構成されていて、それぞれの章で視点が変わる群像劇です。 百貨店に現れるという魔法を使う子猫をストー…

『屍人荘の殺人』:今村昌弘【感想】|狭まっていくクローズド・サークル

第27回鮎川哲也賞受賞作。「このミステリーがすごい!2018」「2018本格ミステリ・ベスト10」「2018週刊文春ミステリーベスト10」でも第1位を受賞。第15回本屋大賞や第18回本格ミステリ大賞に登場するなど高い評価を受けています。 様々な賞を受賞したり、多…

『リップヴァンウィンクルの花嫁』:岩井俊二【感想】|ネットと現実の狭間で・・・

映像化を念頭に置きながら執筆した作品なのでしょう。読み進めていくほどに、自然と映像が頭に浮かんできます。それだけ風景描写が上手い。難しい言葉や表現を用いずに、それでいながら明確に状況がイメージ出来ます。映画監督だからこそ出来る文章表現力で…

『ソードアート・オンライン9 アリシゼーション・ビギニング』:川原 礫【感想】|壮大な物語が始まる

新章突入です。サブタイトルにアリシゼーションの名を冠するのは、第9巻「アリシゼーション・ビギニング」から第18巻「アリシゼーション・ラスティング」までの10冊です。「アインクラッド」「フェアリーダンス」「ファントムバレット」は各2冊。「マザーズ…

『スマホを落としただけなのに』:志賀 晃【感想】|「落としただけ」では済まない

第15回「このミステリーがすごい」の隠し玉として加筆・修正の後、発刊された作品。北川景子主演で映画化もされています。ミステリーというよりは、サスペンスホラーと言ったところでしょうか。謎解きの要素もありますが、追い詰められていく恐怖感が前面に…

定期「2019年2月(如月)」の読書本

2月の読書本は6冊でした。このペースだと、年間100冊に満たないでしょう。100冊を目指している訳ではないですが、読みたい本がどんどん溜まっていってしまいます。それでは2月のおすすめ度合いです。 おすすめ度★★★★★ 盤上の向日葵 柚月裕子 おすすめ度★★…

『ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト』:川原 礫【感想】|在りし日のキリトの苦悩が描かれる

第2巻以来の短編集です。解放前のアインクラッドを舞台にした短編が2話。ファントム・バレット後のALOを舞台にした短編が1話。久しぶりにアインクラッド解放前の緊張感を味わうことが出来ます。SAO、ALO、GGOと舞台を変えてきましたが、やはりアインクラ…

「辻村深月 長編小説」読む順番は出版順がいい?【随時更新】

人気作家の一人である「辻村深月」さん。彼女が新刊を出版すると、それだけで話題に上がります。これまで出版されてきた素晴らしい作品が、現在の地位と人気を築いているのでしょう。 長編だけでもかなりの作品数です。私も全てを読んでいる訳ではありません…

『星をつなぐ手 ー桜風堂ものがたりー』:村山早紀【感想】|町の書店が消えた時、失ったものの大きさに気付くのだろうか

第14回本屋大賞5位の「桜風堂ものがたり」の続編。桜風堂で働くことになった月原一整のその後だけでなく、銀河堂書店の書店員たちのその後も描かれています。書店員である彼らを描くことで、町の書店が置かれている厳しい現状をテーマにしているのは前作と…

映画「アリータ:バトル・エンジェル」を観た

木城ゆきと氏の「銃夢」は読んでいません。原作との比較は出来ませんので、純粋に映画だけの感想になります。原作を知っている方はいろいろ思うところがあると思いますが、原作を知らない者の感想ということでご容赦ください。 映画『アリータ:バトル・エン…

『盤上の向日葵』:柚月裕子【感想】|彼が思った「潮時」とは一体・・・

第15回本屋大賞第2位のミステリー小説です。ミステリー小説でありながら、ヒューマンドラマとしての側面を強く感じます。死体遺棄事件の謎を解明するミステリーですが、序章の段階で事件に関わる人物が特定されています。異例の経歴を持ってプロ棋士になっ…

『ひとつむぎの手』:知念実希人【感想】|真の医師の姿とは・・・

2019年本屋大賞ノミネート作品。大学病院の心臓外科を舞台に描かれる生々しい医師の姿は、医師である著者だからこそ描けるのでしょう。ミステリーの要素を含みながらも、医者の矜持を描いたヒューマンドラマの側面が強い。ミステリーが霞んでしまったように…

『水底フェスタ』:辻村深月【感想】|偽りの平穏に押し潰される

読後の喪失感が胸を強く圧迫しました。村社会の実態が明らかになるにつれ、息が詰まるような閉塞感が襲います。ムツシロ・ロック・フェスティバル(ムツシロック)という開放的で躍動感溢れるロックフェスを始まりにすることで、その後の睦ッ代村の閉鎖性が…

2018年本屋大賞の受賞作

2017年11月〜2018年4月にかけて実施された第15回本屋大賞の受賞作一覧です。 大賞 『かがみの孤城』辻村深月 【得点:651.0点】 2位 『盤上の向日葵』柚月裕子 【得点:283.5点】 3位 『屍人荘の殺人』今村昌弘 【得点:255.0点】 4位 『たゆたえども沈ま…

『誰か』:宮部みゆき【感想】|家族だからこそ逃れられない

杉村三郎シリーズの第一弾。読者は杉村三郎の視点を通じて、事件の真相に迫っていきます。杉村三郎は普通のサラリーマンです。特別な能力を有していないので、彼の視点で描かれる世界は馴染みやすい。彼が考えていることも共感しやすい。謎が輻輳していても…

定期「2019年1月(睦月)」の読書本

2019年最初の月の読書本です。1月の読書本は6冊でした。最近は月10冊に届かないペースです。読みたい本はたくさんあるのですが、読書ペースが追い付いていかない。1月は「図書館の魔女」を読むのに時間を費やしました。それではおすすめ度を紹介します。「お…