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『アクセル・ワールド 5~9(災禍の鎧編)』:川原 礫【感想】

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ご覧いただきありがとうございます。今回は、川原 礫さんの「アクセルワールド5~9」の読書感想です。

スカイ・レイカーこと倉崎楓子がネガ・ネビュラスの復帰しました。謎に包まれた加速研究会が表舞台に登場し、心意の存在を加速世界全体に明かします。ハルユキの背中から聞こえていた声の主「クロム・ディザスター」も復活し、これまで描かれてきた謎めいたことが一気に噴き出してくる印象です。

物語は、新ステージ「ヘルメス・コード」を舞台にしたイベント「ヘルメス・コード縦走レース」から始まります。災禍の鎧「クロム・ディザスター」を巡る物語が始まります。

「アクセル・ワールド」のあらすじ

中学内格差の頂点・能美征二による謀略は去った。“スカイ・レイカー”も加速世界に復帰し、これにより黒雪姫率いる“ネガ・ネビュラス”は、他の軍団に見劣りしない勢力となっていった。とある日、ハルユキは軌道エレベータ“ヘルメス・コード”に日本の“ソーシャルカメラ・ネットワーク”が導入されるというニュースから、新たなるゲーム・ステージの気配を察知する。“宇宙”ステージ。そこに辿り着いたハルユキは、“謎の運営者”から提供された、“ブレイン・バースト”史上でも最大のミッションイベントを体感するー!「…鴉さん。これは、どういう、ことですか?」それはさておき、同時進行で発生していたのは、黒雪姫とハルユキのお泊まりイベントで、さらにそこに“スカイ・レイカー”ことフーコさんも乱入してきてー。【引用:「BOOK」データベース(アクセル・ワールド5ー星影の浮き橋ー)】

 

「アクセル・ワールド」の感想

速研究会と心意

ダスク・テイカーとの死闘の際に登場したのが、「加速研究会」とブラック・バイスです。そして心意システムも描かれました。心意は一部の高レベルのバースト・リンカ―たちによって秘匿されてきました。加速世界のバランスを大きく揺らがせ、多くのバースト・リンカ―が闇に飲み込まれてしまう可能性があるからです。

「加速研究会」については存在だけが明らかにされている状態で、目的や規模などは謎の組織です。しかし、ハルユキたちとは決して相容れないだろうことは分かります。

「ヘルメス・コード縦走レース」で、加速研究会のラスト・ジグソーが登場します。レースに勝つことも目的なのかもしれませんが、それ以上の目的が「心意」を加速世界に知らしめることです。ブラック・バイスも登場していることから組織としての行動です。

彼らの思惑はどこにあるのか。「加速研究会」がこの先大きな存在感を示してくることが想像できます。

 

ロム・ディザスター

クロム・ディザスター討伐からハルユキに留まり続けてきた悪意の声の正体が明らかになります。クロム・ディザスターそのものです。ハルユキを取り込み、その姿を見せることも予想の範囲内です。何をきっかけに復活するかだけの問題です。

クロム・ディザスターがハルユキの背中に残り続けた理由は説明されますが、後付けに感じてしまうところもあります。しかし、重要なのはクロム・ディザスターが消滅していないことであり、システム上の説明はどうとでも理由付けできます。そのあたりの都合良さは感じてしまいますが。

クロム・ディザスターに取り込まれた者は加速世界から退場しています。ハルユキに今後訪れる状況は過酷なものになるはずです。

 

王会議

純色の七王が一堂に会する七王会議が開催されます。前回は加速世界を停滞させる原因となった相互不可侵条約が結ばれた時です。同時に、ブラック・ロータスが赤の王「レッド・ライダー」の首を切り落とした時です。ロータスが加速世界最大のお尋ね者になった瞬間です。そんな状況の中、再度、七王会議が開かれたのはクロム・ディザスターが理由です。それほどクロム・ディザスターは脅威なのでしょう。

ハルユキに寄生したクロム・ディザスターはすでに覚醒しています。ハルユキの精神を侵食し、いつ制御不能の陥ってもおかしくない。実際、暴走することもあります。

ハルユキには、クロム・ディザスターの浄化とその期限が宣告されます。ハルユキに選択肢はありません。浄化しなければ加速世界最大の賞金首となり、バーストリンカ―として生きていくことはできません。タイムリミットが迫る緊張感の中、物語は進んでいきます。前に進むしかない状況で、ハルユキたちは全力を尽くします。

 

化の巫女と帝城

ハルユキが生き残る唯一の方法が、クロム・ディザスターの浄化です。そして浄化能力を持つバーストリンカ―が、第一期ネガ・ネビュラスのメンバー「アーダー・メイデン」です。四元素(エレメンツ)と呼ばれた主要メンバーです。

アーダー・メイデンは、現在、無限EK状態に陥っています。その状況から救い出さなければ、浄化以前の問題です。アーダー・メイデン救出作戦の過程で、第一期ネガ・ネビュラスが壊滅した理由も明かされます。過去が明かされるほど、加速世界の歴史の闇が見えてきます。

アーダー・メイデン救出作戦は、「災禍の鎧編」の中でも大きな見せ場です。イレギュラーながら帝城の内部に侵入も果たします。帝城内部は、クロム・ディザスターが生まれ出た重要な要素にもなります。帝城侵入は必要不可欠な事態なのです。

ただ、帝城内部の出来事はさらなる謎を生み出すことになります。「災禍の鎧編」ではその謎は解明されないので、今後の展開が気になるところです。

 

終わりに

5巻から9巻までの5冊を使って描かれた「災禍の鎧編」。副題が「災禍の鎧」なのは第7巻ですが、5冊を通じて災禍の鎧が物語の鍵になっています。災禍の鎧のルーツまで遡り、全てを明らかにして浄化を果たします。

新しい登場人物や悪意のある心意システムの拡大、加速研究会の暗躍など、まだまだ展開が読めないところもあります。今後は、加速研究会が物語の軸になってくるのでしょう。先行きはなかなか読めませんが、災禍の鎧がもはや復活しないことだけは確実なのでしょう。

最後までご覧いただきありがとうございました。