小説の海

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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ミステリー・サスペンス

『十字架のカルテ』:知念実希人【感想】|罪を犯した本当の理由とは

こんにちは。本日は、知念実希人氏の「十字架のカルテ」の感想です。 精神疾患と刑法を扱った小説は多々あります。重大犯罪が起きると、刑法39条に焦点が当たります。 心神喪失者の行為は、罰しない。 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。 この条文に当…

『悪意』:東野圭吾【感想】|犯人が決して語らぬ動機

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「悪意」の感想です。 加賀恭一郎シリーズ第4作。ひとつの事件が、加賀と野々口のふたつの視点で描かれます。同じ事件であっても、それぞれの立場では全く違う見え方がします。事件の当事者なら誘導することも可能だろう。…

『さまよう刃』:東野圭吾【感想】|正義とは何か。

こんにちは。本日が、東野圭吾氏の「さまよう刃」の感想です。 娘を陵辱され尊厳を奪われ無惨に殺された父親の復讐劇です。犯人を未成年にすることで少年法についての問題提起も含んでいるのだろう。未成年であることが、復讐を決意する大きな要素にもなって…

『緋色の研究』:アーサー・コナン・ドイル【感想】

こんにちは。本日は、コナン・ドイルの「緋色の研究」の感想です。 シャーロック・ホームズが初めて登場した小説で、ワトソンとの出会いも描かれています。1886年に執筆され、1887年に発表されています。 シャーロック・ホームズは数々の映画になり、ドラマ…

『ホワイトラビット』:伊坂幸太郎【感想】|全てを、疑え!

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「ホワイトラビット」の感想です。 久しぶりに黒澤が登場します。伊坂作品の中でも特に魅力的な人物です。彼がいるだけで先の展開が読めなくなります。また、物語に期待してしまいます。 誘拐ビジネスから始まります。ミ…

『レゾンデートル』:知念実希人【感想】|殺人者の存在理由とは・・・

こんにちは。本日は、知念実希人氏の「レゾンデートル」の感想です。 知念実希人氏のデビュー作で、福山ミステリー文学新人賞受賞作です。「誰がための刃 レゾンデートル」から改題・改稿されています。幻のデビュー作と言われるほど出回っていなかったよう…

『慈雨』:柚月 裕子【感想】|渦巻く悔恨と葛藤

こんにちは。本日は、柚月 裕子さんの「慈雨」の感想です。 タイトルから内容が想像できませんが、表紙を見ると重厚な小説をイメージします。 冒頭、主人公「神場智則」の夢のシーンから始まります。悲壮感漂う悪夢は、神場が背負ったものの大きさを感じさせ…

『犯人に告ぐ』:雫井 脩介【感想】|犯人よ、今夜は震えて眠れ

こんにちは。本日は、雫井 脩介氏の「犯人に告ぐ」の感想です。 雫井氏の小説は「つばさものがたり」「クローズド・ノート」を読んでいます。本作を読んでみると、著者の作品の幅の広さに感心します。 「相模原男児誘拐殺害事件」と「川崎市連続児童殺害事件…

『罪の轍』:奥田英朗【感想】|刑事たちの執念 × 容疑者の孤独

こんにちは。本日は、奥田英朗氏の「罪の轍」の感想です。 600ページ近い長編の警察小説ですが、一気に読み切ってしまうほど引き込まれます。事件を解決するだけのミステリーではありません。登場人物たちの心象や人生の背景が見事に作り上げられています。…

『どちらかが彼女を殺した』:東野圭吾【感想】|犯人は男か女か?

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「どちらかが彼女を殺した」の感想です。 加賀恭一郎シリーズの三作目。本作の視点は加賀恭一郎ではありません。被害者の兄「和泉康正」です。彼は愛知県警豊橋警察署の交通課に勤務しています。殺された和泉園子はたった一…

『AX』:伊坂幸太郎【感想】|最強の殺し屋は ー 恐妻家。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「AX」の感想です。 「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く、殺し屋シリーズの第三弾。シリーズといっても物語が直接的に繋がっている訳ではありません。前二作の登場人物も物語の中で登場する、緩めのクロスオー…

『むかしむかしあるところに、死体がありました。』:青柳碧人【感想】|昔ばなし×ミステリー

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第10位、青柳碧人氏の「むかしむかしあるところに、死体がありました」の感想です。 誰でも知っている昔話をベースにしたミステリー作品です。完全な創作にはなりませんし、誰でも知っているから大幅に改変できません。昔…

『ノースライト』:横山秀夫【感想】|一家はどこへ消えたのか?

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第4位、横山秀夫氏の「ノースライト」の感想です。 著者は警察小説の第一人者です。警察以外の小説も書いていますが、やはり警察ものの印象が強い。警察小説の圧倒的な完成度の高さがそのように印象付けるのだろう。 特…

『予告殺人』:アガサ・クリスティ【感想】|いたずらか?悪ふざけか?正真正銘の殺人予告か?

こんにちは。本日は、アガサ・クリスティの「予告殺人」の感想です。 マープルシリーズは、12の長編と20の短編が執筆されています。「予告殺人」は長編第4作目です。ジェーン・マープルは、ポアロに並ぶクリスティ作品の人気キャラクターです。クリスティ自…

『クジラアタマの王様』:伊坂幸太郎【感想】|未来を切り拓くのは、誰だ

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「クジラアタマの王様」の感想です。 小説の間にコミックパートを挟んだ作品です。作品の一部として絵が存在します。 文章でアクションや立ち回りを表現することも小説の醍醐味ですが、一方で、絵で表現した方が直接的に…

『火のないところに煙は』:芦沢 央【感想】|絶対に疑ってはいけないの

こんにちは。本日は、2019年本屋大賞第9位、芦沢 央さんの「火のないところに煙は」の感想です。 ミステリー作家が書いたホラー小説です。正直なところ、ホラーや怪談は苦手な分野です。小説で読むことはあまりありませんし、映画も極力観ないことにしてい…

『ABC殺人事件』:アガサ・クリスティ【感想】|ポアロのもとに届けられた挑戦状

こんにちは。本日は、アガサ・クリスティの「ABC殺人事件」の感想です。 アガサ・クリスティの代表作のひとつで、エルキュール・ポアロシリーズの長編第11作目です。長編だけでも33作品ありますが、その中でも人気の作品です。アガサ・クリスティ自身は、ポ…

『ムゲンのⅰ』:知念 実希人【感想】|すべては繋がり、世界は一変する。

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第8位、知念実希人氏の「ムゲンのⅰ」の感想です。 2018年と2019年に続き、3年連続で本屋大賞にノミネートされています。医師である著者が描く作品は、医療が舞台になることが多い。本作は「イレス」という原因不明の病…

『眠りの森』:東野圭吾【感想】|沈黙を続ける限り、苦しみは消えない

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「眠りの森」の感想です。 加賀恭一郎シリーズの第二作目。前作「卒業」で大学生だった加賀は、本作では刑事になっています。刑事の加賀恭一郎が、どのようにして事件を解決していくのか楽しみです。 本作での加賀恭一郎は3…

『陽気なギャングは三つ数えろ』:伊坂幸太郎【感想】|絶体絶命のカウントダウン!

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「陽気なギャングは三つ数えろ」の感想です。 「陽気なギャング」シリーズの三作目。前作「陽気なギャングの日常と襲撃」から約9年が経ち、再び四人が帰ってきました。十年一昔と言いますが、情報化社会では一昔どころで…

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』:相沢沙呼【感想】|すべてが、伏線。

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第6位、相沢沙呼氏の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」の感想です。 4話で構成されていて、各話で事件が起こり、犯人を突き止めていきます。霊媒探偵 城塚翡翠と推理作家 香月史郎の二人で謎を解きます。各話の間にインター…

『パラレルワールド・ラブストーリー』:東野圭吾【感想】|真実の世界はどっちだ?

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「パラレルワールド・ラブストーリー」の感想です。 2019年に公開された同名映画の原作小説です。小説の発刊は1995年なので、映画は最近ですが小説はかなり昔です。恋愛小説とミステリー小説を組み合わせた内容です。映画は…

『時限病棟』:知念 実希人【感想】|タイムリミットは6時間。脱出できるのか

本日は、知念 実希人氏の「時限病棟」の感想です。ネタバレもありますので、未読の方はご注意ください。 仮面病棟の続編のように見えますが、ストーリーは繋がっていません。両者に共通するのは、舞台が田所病院であることとピエロが鍵のふたつです。この二…

『ジャイロスコープ』:伊坂幸太郎【感想】|文庫オリジナル短編集

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「ジャイロスコープ」の感想です。 デビュー15周年という節目を記念して発刊された文庫オリジナルの短編集。ジャイロスコープのために書き下ろされたのは、最終話「後ろの声がうるさい」のみです。他の短編はアンソロジー…

『遠まわりする雛』:米澤穂信【感想 後半】|奉太郎たちの一年間の軌跡

【感想 前半】に続く、後半の四短編の感想です。 「遠まわりする雛」の内容 「遠まわりする雛」の感想 心あたりのある者は あきましておめでとう 手作りチョコレート事件 遠まわりする雛 終わりに 「遠まわりする雛」の内容 省エネをモットーとする折木奉太…

『遠まわりする雛』:米澤穂信【感想 前半】|奉太郎たちの一年間の軌跡

古典部シリーズの四作目。シリーズ初の短編集です。神山高校入学後、奉太郎たちの一年間を短編で綴ります。「氷菓」「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」は文化祭(通称カンヤ祭)に繋がる一連の物語です。本作は、三つの物語の狭間とその後の物語…

『クドリャフカの順番』:米澤穂信【感想】|十文字事件と文集「氷菓」は結末は・・・

古典部シリーズの第三作目。「氷菓」「愚者のエンドロール」で鍵となった神山高校文化祭(通称カンヤ祭)が舞台です。「クドリャフカの順番」を含めて、ひとつの流れになっています。 『氷菓』:米澤穂信【感想】|古典部シリーズの原点。登場人物の個性が溢…

『火星に住むつもりかい?』:伊坂幸太郎【感想】|世の中にはいろんな「正義」ばかり。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「火星に住むつもりかい?」の感想です。 タイトルからは予想できない内容です。仙台を舞台に監視社会や国家権力の恐ろしさが描かれます。物語の冒頭は、中世の魔女狩りを連想させながら恐ろしい状況が続きます。現代の魔…

『卒業』:東野圭吾【感想】|刑事前夜、最初の事件

加賀恭一郎シリーズの第一作目。東野圭吾らしい読みやすい文章ですが、ミステリーのトリックは複雑です。それを読み応えと捉えるかどうかです。 刑事でも職業探偵でもなく、大学生の加賀が事件の謎を解明していきます。加賀を含む仲間7名(牧村祥子は最初の…

『ベルリンは晴れているか』:深緑 野分【感想】|瓦礫の街で彼女の目に映る空は何色か

2019年本屋大賞第3位 第160回直木賞候補 「このミステリーがすごい!2019年版」第2位 書き出せばキリがないくらい高い評価を得ています。第二次世界大戦後のドイツを舞台にしたミステリーです。幕間に戦中のドイツを挟むことで、第二次世界大戦のリアリテ…