ミステリー・サスペンス

『鑑定人 氏家京太郎』感想|科学捜査がこんなにも面白い。論理が権威を超える中山七里のミステリー:MANPA Blog

研ぎ澄まされた論理が紡ぐ、逆転のサスペンス ごきげんいかがですか。まんぱです。中山七里さんの『鑑定人 氏家京太郎』は、科学捜査という専門的なテーマを扱いながら、驚くほどスラスラと読めるサスペンス小説です。題材は「女子大生連続殺人」という非常…

『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』書評|ミステリー構造への挑戦は成功か失敗か:MANPA Blog

全員が犯人、でも全員が探偵 ごきげんいかがですか。まんぱです。ミステリーの魅力って、予想外の展開とそこにある論理の両立だと思います。驚きだけでは足りません。驚いたあとにしっかり納得できてこそ、読後の満足につながります。下村敦史『全員犯人、だ…

貴志祐介『さかさ星』感想|ホラーの熱量に圧倒される長編。ミステリーとしては賛否?:MANPA Blog

推理は追いつかない。体験するしかない。 ごきげんいかがですか。まんぱです。貴志祐介は、私にとっては「新刊が出たら必ず読む」作家のひとりです。貴志祐介の小説で最初に読んだのは『青の炎』です。あの独特の緊張感と残酷なまでの青春の描き方に衝撃を受…

井上真偽『アリアドネの声』感想|脱出劇と謎解きとヒューマンドラマが融合した魅力:MANPA Blog

脱出劇の緊張感と謎解きの面白さ ごきげんいかがですか。まんぱです。「ぎんなみ商店街の事件簿」が面白かったので、本作も期待して手に取りました。タイトルの「アリアドネ」は、ギリシャ神話で迷宮を脱出するために糸を渡した女性です。「アリアドネの糸」…

読み終えても迷う『鳩の撃退法』|事実とフィクションの境界が崩れる二つの事件:MANPA Blog

ごきげんいかがですか。まんぱです。小説より先に映画を観ました。全く予備知識なしで観たのですが、思いのほか面白かったです。キャストも豪華ですが、特に主人公を演じた藤原竜也が目立ちます。あの独特の危うさが、津田伸一のイメージにぴったりです。小…

『探偵小石は恋しない』感想|恋を否定する探偵が揺らぐ瞬間とは?日常系ミステリの意外性:MANPA Blog

読者の先入観を試す構造 ごきげんいかがですか。まんぱです。『探偵小石は恋しない』は、読み始めるとすぐに気楽に読めそうって思える小説です。文章のテンポもいいし、キャラクター同士の距離感も心地いい。読んでいてリラックスできます。ただ、読んでいく…

『ハーメルンの誘拐魔』:中山 七里【感想】|身代金は70億

ご覧いただきありがとうございます。今回は、中山 七里さんの「ハーメルンの誘拐魔」の読書感想です。 警視庁捜査一課の刑事「犬養隼人」シリーズの第三作目です。タイトルどおり、彼が追うのは誘拐犯ですが、そこには深いテーマが描かれています。 犬養隼人…

『七色の毒』:中山 七里【感想】|善人は、たちまち悪人になりえる

ご覧いただきありがとうございます。今回は、中山 七里さんの「七色の毒」の読書感想です。 犬養隼人シリーズの第二作目。七つの短編で構成された短編集です。犬養の活躍もあるのですが、それ以上に人間に潜む闇の部分を浮かび上がらせる構成です。その闇を…

『切り裂きジャックの告白』:中山 七里【感想】|命を奪う者と命を守る者

ご覧いただきありがとうございます。今回は、中山 七里さんの「切り裂きジャックの告白」の読書感想です。 犬養隼人シリーズの記念すべき第一作。警視庁捜査一課の警部補「犬養隼人」を主人公にしたミステリー作品です。 捜査一課の中でも検挙率が高く優秀な…

『リボルバー』:原田 マハ【感想】|誰が引き金を引いたのか?

ご覧いただきありがとうございます。今回は、原田 マハさんの「リボルバー」の読書感想です。 ゴッホの死の真相を描くミステリー小説で、史実をベースにしたフィクションです。 小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している高遠…

『テスカトリポカ』:佐藤 究【感想】|われらは彼の奴隷

ご覧いただきありがとうございます。今回は、佐藤 究さんの「テスカトリポカ」の読書感想です。 第165回直木賞受賞作。麻薬や臓器売買など生々しい犯罪を描いたクライムノベルです。しかし、クライムノベルと一言で言い表せるほど単純ではありません。その理…

『戦場のコックたち』:深緑 野分【感想】|生き残ったら、明日は何が食べたい?

ご覧いただきありがとうございます。今回は、深緑 野分さんの「戦場のコックたち」の読書感想です。 2016年本屋大賞7位で、第154回直木賞候補にもなっています。物語の舞台は、第二次世界大戦のヨーロッパです。ノルマンディー上陸作戦からドイツ降伏に至る…

『黒牢城』:米澤 穂信【感想】|戦国×ミステリ

ご覧いただきありがとうございます。今回は、米澤 穂信さんの「黒牢城」の読書感想です。 第166回直木賞受賞作で、2022年本屋大賞第9位です。 舞台が有岡城で、主人公は荒木村重です。謀反を起こした荒木村重を、小寺孝高(黒田官兵衛の方が分かりがいいと…

『ラスプーチンの庭』:中山 七里【感想】|先進医療は、最愛の人を奪っていった

ご覧いただきありがとうございます。今回は、中山七里さんの「ラスプーチンの庭」の読書感想です。 犬養隼人シリーズの六作目です。命をテーマにしたミステリーは謎解きだけでなく、生きることについて考えさせられます。生と死は人間にとって答えの出ない永…

『元彼の遺言状』:新川 帆立【感想】|僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る

ご覧いただきありがとうございます。今回は、新川 帆立さんの「元彼の遺言状」の読書感想です。 第19回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作です。新川帆立さんのデビュー作でもあります。新川さんは弁護士で、元プロ雀士です。興味を抱く経歴です…

『同志少女よ、敵を撃て』:逢坂 冬馬【感想】|独ソ戦、女性だけの狙撃小隊がたどる生と死。

ご覧いただきありがとうございます。今回は、逢坂 冬馬さんの「同志少女よ、敵を撃て」の読書感想です。 第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞作です。全選考委員が最高点を付け、満場一致で受賞しました。直木賞候補にも選ばれ、2022年本屋大賞も大賞を受…

『神の悪手』:芦沢 央【感想】|この手を選びたい。たとえ破滅するとしても

ご覧いただきありがとうございます。今回は、芦沢 央さんの「神の悪手」の読書感想です。 将棋を軸にした五つの短編で構成されています。将棋の勝負を描くというよりも、将棋に関わる人たちの人生を描いています。全ての短編ではないですが、全体的に重く暗…

『闇祓』:辻村 深月【感想】|あいつらが来ると、人が死ぬ。

ご覧いただきありがとうございます。今回は、辻村深月さんの「闇祓」の読書感想です。 辻村深月さんの初の本格ホラーミステリー長編作品です。インタビュー記事によると、短編ホラーは「ふちなしのかがみ」と「きのうの影踏み」の2作品がありますが、長編ホ…

『ブラック・チェンバー・ミュージック』:阿部 和重【感想】|分断された世界に抗う男女の怒濤のラブストーリー

ご覧いただきありがとうございます。今回は、阿部 和重さんの「ブラック・チェンバー・ミュージック」の読書感想です。 かなりの長編作品ですが、一気読みしてしまうほど引き込まれてしまいます。重厚でありながら軽快で軽妙。登場人物たちの個性も際立ち、…

『硝子の塔の殺人』:知念 実希人【感想】|謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。

ご覧いただきありがとうございます。今回は、知念 実希人さんの「硝子の塔の殺人」の読書感想です。 本格ミステリーを意識した作品です。クローズドサークルで起こる連続殺人や様々な職業の招待客。巻頭に掲載されている建物の構造や平面図、登場人物一覧な…

『invert 城塚翡翠倒叙集』:相沢 沙呼【感想】|すべてが、反転。

ご覧いただきありがとうございます。今回は、相沢 沙呼さんの「invert 城塚翡翠倒叙集」の読書感想です。 2020年本屋大賞第6位に選ばれた「medium 霊媒探偵城塚翡翠」の続編です。中編の倒叙ミステリー集で、3編の物語で構成されています。倒叙ミステリー…

『ドクター・デスの遺産』:中山 七里【感想】|生きる権利と死ぬ権利が平等にある

ご覧いただきありがとうございます。今回は、中山 七里さんの「ドクター・デスの遺産」の読書感想です。 犬養隼人シリーズの第4作目です。刑事もののミステリーですが、本作では安楽死をテーマに生きる権利と死ぬ権利について深く踏み込んでいます。 姿の見…

『パズル・パレス』:ダン・ブラウン【感想】|史上最大の諜報機関にして、暗号学の最高峰

ご覧いただきありがとうございます。今回は、ダン・ブラウン氏の「パズル・パレス」の読書感想です。 ダン・ブラウンのデビュー作品です。その後の「天使と悪魔」、「ダ・ヴィンチ・コード」で一気に世界中で人気の小説家になります。 本作はフィクションの…

『この本を盗む者は』:深緑 野分【感想】|ああ、読まなければよかった!

こんにちは。本日は、深緑 野分さんの「この本を盗む者は」の感想です。 以前読んだ「ベルリンは晴れているか」とは全く作風が違います。ミステリーの要素を含むのは同じですが、「ベルリンは晴れているか」は史実を舞台にした現実的な物語です。一方、本作…

『オリンピックの身代金』:奥田 英朗【感想】|日本を強請れ!

こんにちは。本日は、奥田英朗氏の「オリンピックの身代金」の感想です 時は、昭和39年。10月10日から開催されるオリンピックに沸いている東京が舞台です。東京オリンピックが人質となった身代金要求事件。爆弾を使い、東京オリンピックの開催を妨害する犯人…

『R帝国』:中村 文則【感想】|朝、目が覚めると戦争が始まっていた。

こんにちは。本日は、中村 文則氏の「R帝国」の感想です。 表紙は「教団X」を彷彿とさせる白黒の印象的な絵柄です。内容は直接的に関係していません。あくまでも別の物語です。 架空の国「R帝国」が舞台です。他国も世界情勢もあくまで架空です。しかし、…

『罪の声』:塩田武士【感想】|逃げ続けることが、人生だった。

こんにちは。本日は、塩田武士氏の「罪の声」の感想です。 1985年から86年にかけて発生した「グリコ・森永事件」をベースに執筆された小説です。当時、私はまだ子供でしたが、今でもきつね目の男の顔を思い浮かべることができます。 未解決事件なので犯人は…

『私が彼を殺した』:東野 圭吾【感想】|容疑者は三人。真相はどこにあるのか。

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「私が彼を殺した」の感想です。 加賀恭一郎シリーズの第5作目です。殺人事件に関わる神林貴弘、駿河直之、雪笹香織の三人の視点で描かれます。 三人に共通するのは、被害者の穂高誠に対する不満です。殺意に変化してもお…

『騙し絵の牙』:塩田武士【感想】|騙されるな。真実を、疑え。

こんにちは。本日は、 塩田武士氏の「騙し絵の牙」の感想です。 大泉洋の写真が表紙を飾ります。作中にも彼の写真が挿入されている。塩田武士氏が大泉洋をイメージしてあてがきをしているのだから、読み進めれば大泉洋が頭に常に浮かびます。だからと言って…

『アクロイド殺し』:アガサ・クリスティ【感想】|誰がアクロイド氏を殺したか

こんにちは。本日は、アガサ・クリスティの「アクロイド殺し」の感想です。 1925年に連載小説として発表されたポワロシリーズの三作目。アガサ・クリスティの作品全体でも人気のある作品です。100年近く前の作品ながら、今でも十分読み応えがあります。 本作…