小説の海

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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ヒューマンドラマ

『悪と仮面のルール』:中村 文則【感想】|悪とは何か

こんにちは。本日は、中村 文則氏の「悪と仮面のルール」の感想です。 玉木宏主演で映画化されていますが、あくまで小説についての感想です。 タイトルを見ると、人間の負の側面を描き出している作品だと想像します。悪と言っても種類は様々です。法律上の悪…

『アルルカンと道化師』:池井戸 潤【感想】|探偵半沢、絵画の謎に挑む。

こんにちは。本日は、池井戸 潤氏の「アルルカンと道化師」の感想です。 2020年9月17日に発刊された半沢直樹シリーズの五作目です。半沢が東京中央銀行大阪西支店に転勤した直後が舞台なので、第一作「オレたちバブル入行組」の前日譚になります。 2020年7月…

『お探し物は図書室まで』:青山 美智子【感想】|本ですか?仕事ですか?人生ですか?

こんにちは。本日は、青山 美智子さんの「お探し物は図書室まで」の感想です。 2021年本屋大賞第2位。5つの短編で構成されていて、それぞれが独立した物語です。 物語の鍵となるのは区のコミュニティセンター内にある図書室と、そこで働いている司書の「小…

『わたし、定時で帰ります。』:朱野 帰子【感想】|いつまで残業するつもり?

こんにちは。本日は、朱野 帰子さんの「わたし、定時で帰ります。」の感想です。 働き方改革は、どのくらい進んだのだろうか。ワークライフバランスという言葉もよく聞きます。これらの言葉が無くならないのは、まだまだ達成されていないからです。当たり前…

『麦本三歩の好きなもの』:住野 よる【感想】|好きなものがたくさんあるから、毎日はきっと楽しい。

こんにちは。本日は、住野 よる氏の「麦本三歩の好きなもの」の感想です。 社会人になったばかりの麦本三歩の生活を描いた日常小説です。図書館勤務をする彼女の日常は普通の日々で、取り立ててドラマチックな出来事や大きなアクシデントが起きる訳ではあり…

『となり町戦争』:三崎 亜記【感想】|見えない戦争

こんにちは。本日は、三崎 亜記さんの「となり町戦争」の感想です。 第17回小説すばる新人賞受賞作。著者のデビュー作でありながら、直木賞候補にもなっています。 タイトルどおり、となり町との戦争を描いています。現在の日本を舞台に自治体同士が戦争をす…

『ハケンアニメ!』:辻村 深月【感想】|”いい仕事”がしたい!

こんにちは。本日は、辻村 深月さんの「ハケンアニメ!」の感想です。 2015年本屋大賞第3位。アニメ制作を舞台にした職業小説です。読んだ印象は、有川浩さんの小説の雰囲気を感じます。どこがと言われると答えに困りますが。 制作されるアニメが減った訳で…

『星の子』:今村 夏子【感想】|一緒に信じることが、できるだろうか。

こんにちは。本日は、今村 夏子さんの「星の子」の感想です。 第157回芥川賞候補であり、2018年本屋大賞第7位の小説です。主人公「ちひろ」の視点を通じて、家族の在り方・新興宗教・友人関係の中で、彼女自身の変化が描かれています。 小学生から中学三年…

『さざなみのよる』:木皿 泉【感想】|宿り、去って、やがてまたやって来る

こんにちは。本日は、木皿 泉氏の「さざなみのよる」の感想です。 木皿泉氏の小説を読むのは初めてです。夫婦脚本家のペンネームだと知り、二人で小説を執筆していくのはどんな作業なのか興味の抱くところです。 本作は死を扱っています。生きている限り、死…

『推し、燃ゆ』:宇佐見 りん【感想】|推しが炎上した。

こんにちは。本日は、宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」の感想です。 第164回芥川賞受賞作。2021年本屋大賞にもノミネートされています。最終的にプロの作家に選ばれる純文学の芥川賞作品が、一般人の書店員の支持を受けたのは意外に感じます。純文学は読みづ…

『まほろ駅前狂騒曲』:三浦しをん【感想】|まほろシリーズ大団円

こんにちは。本日は、三浦しをんさんの「まほろ駅前狂騒曲」の感想です。 行天が多田便利件に転がり込んでから2年が経過しています。相変わらず順風満帆な関係とは言えません。 二人には重い過去があります。消えない心の傷です。「まほろ駅前多田便利軒」…

『少年と犬』:馳 星周【感想】|神が遣わした贈り物

こんにちは。本日は、第163回直木賞受賞作、馳 星周氏の「少年と犬」の感想です。 犬(多聞)を中心にした連作短編集です。関わる人たちの人生を描いています。犬との関係ははるか昔から続いていて、人間にはかけがえのない存在です。犬が何をもたらすかは、…

『逆ソクラテス』:伊坂幸太郎【感想】|敵は、先入観。世界をひっくり返せ!

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「逆ソクラテス」の感想です。 伊坂幸太郎の作家デビュー20周年に発刊された5編の短編集です。各短編に直接的な関係性は薄い。共通する登場人物もいますが、連作短編集とは言えないだろう。それぞれの短編はそれぞれで完…

『不祥事』:池井戸 潤【感想】|銀行にあるもの「カネと謎」。ないもの「情と常識」。

こんにちは。本日は、池井戸 潤氏の「不祥事」の感想です。 爽快感の中に人生の悲哀も描かれます。舞台は東京第一銀行です。言うまでもなく、半沢直樹の舞台になった東京中央銀行の合併前の銀行のひとつです。ちなみに、もうひとつは産業中央銀行です。 八編…

『ライオンのおやつ』:小川 糸【感想】|人生の最後に食べたい”おやつ”は、なんですか

こんにちは。本日は、小川 糸さんの「ライオンのおやつ」の感想です。 2020年本屋大賞第2位。余命僅かながん患者「海野雫」の人生の終末を描いた物語です。タイトルからは全く想像できなかった内容でした。 舞台はホスピスです。積極的な治療では治らない患…

『何もかも憂鬱な夜に』:中村文則【感想】

こんにちは。本日は、中村文則氏の「何もかも憂鬱な夜に」の感想です。 タイトルから想像するのは暗く重い小説です。実際、全編を通じて重く苦しい。死をテーマにした小説に明るさを求めるのは難しいのかもしれない。しかし、死だけに焦点を当てている訳では…

『月と蟹』:道尾秀介【感想】|世界は大きくて理不尽だから、僕たちは神様を創ることにした

こんにちは。本日は、道尾秀介氏の「月と蟹」の感想です。 第144回直木賞受賞作です。直木賞は大衆小説のイメージがあるので気軽な気持ちで読み始めたが結構重い内容でした。登場人物の心象に焦点を当てているからだろう。 道尾秀介氏の作品を読むのは初めて…

『ペスト』:アルベール・カミュ【感想】|人はどう振る舞うのか?

こんにちは。本日は、アルベール・カミュの「ペスト」の感想です。 新型コロナウィルスの世界的流行により、カミュのペストが俄かに注目を浴びています。発行部数は100万部を超えました。新型コロナとペストを繋ぎ合わせてしまうほど、コロナに対する不安は…

『熱源』:川越宗一【感想】|降りかかる理不尽は「文明」を名乗っていた

こんにちは。本日は、 川越宗一氏の「熱源」の感想です。 第162回直木賞受賞作。2020年本屋大賞第5位。 民族・文明・国家など多くの要素を含んだ重厚な作品です。樺太アイヌという国を持たない民族が、国家や文明に翻弄されていきます。人として、また民族…

『帰ってきたヒトラー』:ティムール・ヴェルメシュ【感想】|おたくはアドルフ・ヒトラーに見えるよ

こんにちは。本日は、ティムール・ヴェルメシュ氏の「帰ってきたヒトラー」の感想です。 ドイツで250万部を売り上げ、映画では240万人を動員しています。好意的な評価ばかりではないにしても、それだけ人々の関心を引いた。 ドイツ人にとってヒトラーとはど…

『サブマリン』:伊坂幸太郎【感想】|偶然なのか、運命か?暗い深海からの声を見つけたい。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「サブマリン」の感想です。 「チルドレン」から12年振りに「陣内」が戻ってきました。伊坂作品の中でも、陣内は魅力的なキャラクターです。破天荒で無茶な人物ですが、言葉や行動には人生の真理を感じることがあります。…

『まほろ駅前番外地』:三浦しをん【感想】|愉快な奴らが帰ってきた

こんにちは。本日は、三浦しをん氏の「まほろ駅前番外地」の感想です。 「まほろ駅前多田便利軒」の続編ですが、続編というよりは番外編の印象です。スピンアウトストーリーを含む七つの短編で構成されています。主要登場人物の日常や人生が描き出されます。…

『流浪の月』:凪良 ゆう【感想】|せっかくの善意を、わたしは捨てていく。

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞"大賞"受賞作、凪良 ゆう氏の「流浪の月」の感想です。 読み始めると一気に最後まで読み切ってしまうほど引き込まれます。一体、何に引き込まれるのだろうか。主人公たちの生き方に共感したのではなく、人間同士の関わり…

『夏物語』:川上未映子【感想】|生まれてくることの意味は・・・

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第7位、川上未映子さんの「夏物語」の感想です。 一部と二部から構成されています。一部は、2008年芥川賞受賞作の「乳と卵」を再構築しています。「乳と卵」は未読なので本作との関係性については言及できませんが、描き…

『店長がバカすぎて』:早見 和真【感想】|マジ、辞めてやる!

こんにちは。本日は、2020年本屋大賞第9位、早見 和真氏「店長がバカすぎて」の感想です。 書店を舞台にした書店員の物語で、契約社員「谷原京子」の一人称で描かれます。第一話から最終話(第六話)までの短編六話で構成され、全てを通じてひとつの物語に…

『クローズド・ノート』:雫井脩介【感想】|そのノートが開かれたとき・・・

こんにちは。本日は、雫井脩介氏の「クローズド・ノート」の感想です。 携帯電話サイトで配信されていた作品のようです。私にとってはあまり馴染みのない媒体です。映画化もされています。 タイトルを聞いて思い浮かべるのは映画の初日舞台挨拶です。沢尻エ…

『わたしを離さないで』:カズオ・イシグロ【感想】|彼女たちの人生の意味は・・・

カズオ・イシグロの作品を読むのは3作目になります。綾瀬はるか主演でドラマ化されており、映画化もされています。内容は何となく知っていましたが、読んでみると登場人物の心の内が想像以上に奥深い。原文でなく日本語訳なので、カズオ・イシグロの文体・…

『ひと』:小野寺 史宜【感想】|たった一人になった。でも、ひとりきりじゃなかった。

こんにちは。本日は、小野寺 史宜氏の「ひと」の感想です。 2019年本屋大賞第2位。人との繋がりを描いた作品です。生きていく上で大事なものはいろいろありますが、人との繋がりもそのうちの一つです。誰にも関わらず、たった一人で生きていくことは難しい…

『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ【感想】|家族よりも大切な家族

こんにちは。本日は、瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」の感想です。 2019年本屋大賞受賞作です。帯は「家族よりも大切な家族」。家族という同じ言葉で比較される家族とは、一体何でしょうか。家族はいくつもあるのでしょうか。 主人公の森宮優…

『アイネクライネナハトムジーク』:伊坂幸太郎【感想】|ここにヒーローはいない。さあ、君の出番だ。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「アイネクライネナハトムジーク」の感想です。 6つの物語で構成される短編集です。それぞれの物語の登場人物が時空を超えて繋がります。各短編が深く関わり合っています。「出会い」をテーマにしていながら、伊坂幸太郎…