読書ライフ

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

『アクセル・ワールド 02 紅の暴風姫』:川原 礫【感想】

 こんにちは。本日は、川原 礫氏の「アクセル・ワールド02 紅の暴風姫」の感想です。

 

 第1巻で、ブラック・ロータスが加速世界に復活(帰還)しました。同時に、彼女のレギオン「ネガ・ネビュラス」も。

 思考を加速するブレイン・バーストは単なる格闘ゲームではありません。裏に潜む闇は大きく、その闇はタクムの心を蝕んでいました。タクムの闇はハルユキとの対戦と和解で解決しています。友情が前面に出過ぎて気恥ずかしく都合の良い展開でもありましたが。

 復活したブラック・ロータスが加速世界で活躍していくのだろうか。現実世界でのハルユキと黒雪姫の関係はラノベ的に進展していくのだろうか。現実世界と加速世界の二つの世界が同時に進行し展開していきます。先輩と後輩。親と子。恋人みたいな関係。二人の関係は様々な側面を見せる。 

「アクセル・ワールド 02 紅の暴風姫」の内容

黒雪姫との出会いにより、一回り成長したハルユキ。そんな彼のもとに、「お兄ちゃん」と呼ぶ見ず知らずの小学生・トモコが現れる。二人のいちゃいちゃする様子を見た黒雪姫の冷徹な視線がハルユキを貫く中、「加速世界」では、謎の事件が勃発していた。乗っ取られると精神を汚染され、敵味方関係なくデュエルアバターを襲い続けるという呪いの強化外装「災禍の鎧」。殺戮を繰り返す狂気のアバターを捕らえることができるのは、唯一の「飛行アビリティ」をもつデュエルアバター、「シルバー・クロウ」のみ。「鎧」討伐ミッションを課されたハルユキの運命とは!?【引用:「BOOK」データベース】 

 

「アクセル・ワールド 02 紅の暴風姫」の感想

人の王

 冒頭のハルユキの特訓は、彼の苦悩を表します。ハルユキの黒雪姫に対する思いは、相変わらずのいじめられっ子体質のために揺れ動きます。何年も積み重ねた負の感情は簡単に変わらないのだろう。

 それはさておき急展開が訪れます。ハルユキの家にいきなり現れた少女です。正体はすぐに判明することになるのですが、もちろんハトコなどとは信じがたい。正体を無理に隠し続けることなく明かしてくれることでテンポの良さを感じます。しかし、2代目の赤の王だったのは予想外です。ブラック・ロータスが特別な存在のように王の存在は特別です。

 赤の王と黄の王が登場することで事態は急展開します。赤の王はハルユキに現実世界で接触し、黄の王は隠していた思惑を明らかにする。緑の王も登場しますが、リプレイの中の一瞬だけだったので直接的な存在感はまだ感じません。

 赤の王との出会いは、ハルユキにとって新たな環境変化です。彼女は小学五年生ですが、加速世界で過ごした時間を考えるとハルユキよりもずっと大人なのだろう。王というだけでなく存在感の違いを感じさせます。そんな王に接触されるハルユキの存在感も大きくなる。赤の王がかわいらしい女の子なのがラノベらしい展開ですが。物語の展開の必然性は別にして、ハルユキの周りには女の子が集まり始めています。黒雪姫もハルユキに対する距離を縮めている。

 赤の王スカーレット・レインは純色ではありません。理由はブラック・ロータスの過去と密接に関わっています。黄の王との戦いで明かされていくように、ブラック・ロータスの過去も徐々に明かされていくのだろう。彼女のトラウマはとても大きく、またレベル10を希求する気持ちが強いことも分かる。赤の王の登場で、ブラック・ロータスの真実が描かれていきます。

 黄の王は、ハルユキ側から見れば悪役です。もちろん戦い方にはいろんな形があるし、策を弄して待ち伏せして大人数で狩ろうとすること自体が悪だとは限りません。その策があまりにも非道いということだろう。黄の王の登場で、赤の王に対する感情移入が大きくなる。

 レベル10を目指すのは黒の王だけではないということか。不可侵条約も表面上だけというのが露呈します。加速世界が混沌としていくことの前触れです。ブラック・ロータスの帰還がもたらしたことなのか、それとも必然の流れなのか。どちらにしても加速世界は動く。黄の王の策略はかなり前から張り巡らされていたことは、災禍の鎧の存在が証明しています。不可侵条約が壊れ、加速世界の激動が訪れるのだろう。  

禍の鎧

 赤の王がハルユキに接触した理由は災禍の鎧です。ブラック・ロータスにとっても因縁のあるデュエル・アバターの強化外装であり、加速世界の黎明期から存在していたというアイテムです。呪われた強化外装にチェリー・ルークが乗っ取られます。呪いの力は強大です。

 赤の王でも立ち向かえない災禍の鎧。先代の災禍の鎧は、純色の七王全員で討伐しています。ハルユキが参加することで倒せるとも思えない。ブラック・ロータスに接触するのもハルユキを確保するためであり、ロータスの力を頼りにしているわけではない。そこまでハルユキの飛行アビリティはすごいものなのだろうか。

 一方、タクムの存在感は薄くなります。もちろん、見せ場は作っているので忘れ去られることはないが少し気の毒です。

 災禍の鎧の恐ろしさは、強さだけでなく精神を蝕む凶暴さだろう。それ以上に恐ろしいのは消え去らないことかもしれません。今回の戦いで消え去ったように見えますが、ハルユキに語りかける「喰イタイ。」は災禍の鎧が消え去らないことを示唆しています。

 現実世界で赤の王との友情が生まれます。友情をもたらすあたりはラノベ感が満載です。出来過ぎな結末も予想通りといえば予想通りです。悪くはないですが。 

 

終わりに

 三人の王が登場し、加速世界を舞台にした物語が一気に進みます。無制限中立フィールドの登場が加速世界に無限の広がりを見せる。もちろん時間的な広がりも。

 黒雪姫の過去も描かれていき、ゲームに過ぎないブレイン・バーストがハルユキたちの存在そのものに影響を及ぼしていくことが予想できます。彼らの目的はレベル10なのか。それ以上の何かがあるのか。