読書LIFE ~毎日が読書日和~

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

映画『キングダム』を観た

f:id:dokusho-suki:20190505173111j:plain

 原作漫画「キングダム」は4000万部以上の発行部数を誇る人気漫画ですが、私は読んでいません。なので、純粋に映画単体の感想になります。原作との比較が出来ないので、ある意味新鮮に映画を観ることが出来たと思います。ストーリーは原作漫画に沿っているので、映像と俳優陣の感想をメインにします。ストーリーの感想は漫画の感想にも通じるものがあるので、未読の私には難しいと思っています。

 最近の邦画は原作ものが多くてオリジナル作品は少ない。原作ものの映像化は、原作のファンを納得させる必要があるのでなかなか難しい。興行成績が振るわなかった作品は多少なりともあります。本作の興行成績はどうなのか。出足は悪くなさそうです。 

「KINGDOM」のあらすじ

紀元前245年、春秋戦国時代。 「戦国七雄」と呼ばれる七大国【秦・燕・趙・斉・楚・韓・魏】が覇を競い、激しい戦いを繰り広げていた。 中華・西方の国・「秦」。 戦災孤児の信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛錬を積んでいた。 ある日、漂は王都の大臣である昌文君(高嶋政宏)によって召し上げられ王宮へ。 信と漂派別々の道を歩むことになる――。 王宮では王の弟・成蟜(本郷奏多)によるクーデターが勃発。 戦いの最中、漂は致命傷を負うが、何とか信のいる納屋へたどり着く。 「お前に頼みたいことがある」 血まみれの手に握られていたのは、ある丘に建つ小屋を示す地図だった。 「今すぐそこに行け!お前が羽ばたけば、俺もそこにいる・・・。信!俺を天下に連れてってくれ・・・」 力尽きる漂。泣き叫ぶ信。 漂が手にしていた剣とその地図を握りしめ、信は走り出した。 走る先に何があるのかもわからず一心不乱に走る信。 たどり着いた先で、信の目に飛び込んできたのは、なんと冷静にたたずむ漂の姿だった!? 死んだはずの漂がなぜ? 「お前が信か」 そこにいたのは、王座を奪われ、王都を追われた秦の若き王・嬴政(吉沢亮)だった。 その嬴政に瓜二つの漂は、彼の身代わりとして命を落としたのだった。 激高する信だったが、国を背負う嬴政の強さと漂の遺志を受け止め、嬴政と共に行動することを決意。 2人は王宮を奪還するために立ち上がる。 しかし、それは嬴政にとって、路の第一歩に過ぎなかった。 中華統一。 戦乱の世に終わりをもたらす、未だかつて誰もが成し遂げていない、とてつもなく大きな夢を嬴政は心に宿していた。 信は天下の大将軍を、嬴政は中華統一を。 その夢は途方もない修羅の道。 若き二人の戦いの火蓋が切られた――。【引用:公式HP】  

「KINGDOM」の感想

像の迫力とスケール感

 中国での撮影と日本全国に及ぶロケ。加えて、壮大で華麗なセットを使用した美しい映像が目を引きます。総製作費は10億円超です。スクリーンに広がる映像は、美しさと迫力を備えた見応えのあるものでした。お金をかければいいものが出来るという訳ではありませんが、お金がないと安っぽく見えてしまいます。セットにしても、衣装にしても、使うべきところにお金を使わないと全てが台無しになってしまいます。特に、時代物は衣装ひとつでリアリティが全く違ってきます。

 10億円が高いのか安いのかは分かりませんが、映像のクオリティは相当に高いと思います。ハリウッド映画の超大作と呼ばれるものと比べなければの話ですが。特殊メイクは微妙な感もありましたが、そういうシーンは薄暗いシーンで誤魔化していたように思います。予算的に、何もかも全てがハイクオリティと言う訳にはいかないのでしょう。制作費の配分を上手く行ったというところでしょうか。中国でのロケ地は「象山影視城」です。詳しくはないですが、やはり中国を舞台にした物語には中国の城がピタリときます。後の始皇帝の居城として申し分のない映像です。

 出演者たちの剣での戦いもスピード感に溢れ、手に汗を握ります。主人公の「信」は相当の剣の腕前を誇りますが、天下無双と言うほどでもありません。手練れの敵が登場すれば危機に陥ります。そのことが剣を打ち合わせ続ける緊張感になって伝わってきます。「嬴政」たちは少人数で王宮に乗り込んでいるので、大軍対大軍の戦はありません。なので個々の戦闘シーンが主となります。彼ら個々の戦闘能力と早い動きに目が奪われます。個別の戦いの中での迫力は十分に伝わります。

 一方、スケール感があるかどうか。その点については、物足りなさがあります。広大な中国を舞台にしていながら、局地戦ばかりが描かれているので世界の広さを感じません。王宮内での権力争いが主軸なので、仕方がないのかもしれませんが。スケールを感じたのは、冒頭の大沢たかお演じる「王騎」が軍勢を率いるシーンと「成蟜」が8万の軍勢を前にしたシーンぐらいです。その8万の軍勢も戦闘に登場しません。8万の軍勢を動かせない状況に持ち込むのが「嬴政」たちの作戦なので仕方ありませんが、やはり物足りなさを感じます。中国ロケと多数のエキストラを動員したのでしょうが、生かしきれていなかったように感じます。ただ、それを差し引いても十分に迫力ある映像でした。 

優陣

 漫画やアニメの原作ものになると、山﨑賢人の出演率が高いと感じるのは私だけでしょうか。映像化が難しいと思われる作品には、特に彼が起用されている気がします。ただ、あまりいい印象はありません。「ジョジョの奇妙な冒険」も「斉木楠雄のΨ難」も大コケしたと思っています。「ジョジョ~」に至っては、続編が制作される雰囲気もありません。

 それは別にして、彼が起用される理由は何だろうか。顔にも演技にも癖がないから選ばれるのかもしれません。世界観に自然と馴染むことが出来るのでしょう。癖がないことは存在感をあまり感じない危険性を伴うことになりますが。

 本作における山﨑賢人の演技は、終始テンションが高かった。原作を知らないので、彼の演技が原作を忠実に再現しているのかどうか分かりません。ただ、物静かな登場人物の中で、唯一異常にテンションが高い。彼は短絡的でありながら、理想論を振りかざし続けます。彼が話す夢や理想論は、後半になってくると段々と白けてきます。戦いの最中でも、夢とか理想とかを叫び出すと引いてしまいます。彼の台詞に入り込めれば感動するのかもしれませんが。

 気になった点は他にもあります。橋本環奈演じる「河了貂」です。役柄に違和感があるのではなく、あまりに綺麗な顔と肌に違和感があります。汚れひとつない綺麗な顔立ちは、山民族の末裔とは思えません。服を着替えれば、貴族に見えてもおかしくないくらいの綺麗さです。長澤まさみ演じる「楊端和」も同様です。「楊端和」に至っては、口紅を引き化粧ばっちりの顔です。露わにした肌も真白で、汚れひとつ傷ひとつない。彼女の演技力で山の民の王の威厳は感じますが、現実感が伴いません。

 「嬴政」も含め美男・美女ぞろいなのは映画なのでいいですが、それなりの外見というものが必要なのではないでしょうか。髙嶋政宏演じる「昌文君」の無骨さに違和感をがあるほどです。「昌文君」の方が現実的だと思いますが。

 出演者は「嬴政」演じる吉沢亮を始め、宇梶剛士、要潤、満島真之介、加藤雅也、石橋蓮司とそうそうたる顔ぶれです。それだけの出演者が揃っていながら圧倒的なインパクトを与えたのは、大沢たかお演じる「王騎」です。ハッキリ言って、彼の存在感の前では他の出演者は霞んでしまいます。登場シーンは少ない。少ないというよりは、ほとんどないと言えます。それでいながらその存在感は、映画を観た後に真っ先に思う浮かぶほどです。外見的な要素も大きい。大沢たかおの体格に比べれば、他の出演者は細過ぎます。剣を持って戦う体格ではない。「王騎」がその武力を見せつけたのは、終盤に矛を二度振っただけです。しかし、そのインパクトは大きい。大沢たかおの「王騎」の前で、全ての出演者が霞んでしまった。 

終わりに

 上映時間134分なので少し長めです。その割にあっという間に時間が過ぎた印象です。気になるところはあるのですが、エンターテイメント作品として十分に楽しめる映画です。山﨑賢人や吉沢亮と言った若手俳優の脇を、重厚なベテラン俳優が固めます。ストーリーも分かりやすい。大沢たかおの「王騎」だけでも一見の価値があると思います。観るのなら、映画館に足を運ぶことをお勧めする映画です。