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ソードアート・オンライン5 ファントム・バレット:川原 礫【感想】

 第1巻から第4巻まで続いた「剣の世界」。

 第4巻で、アインクラッドから続く一連の事件に終止符が打たれました。アインクラッドからフェアリィ・ダンスへと話が進むにつれ、緊迫度が下がった印象があります。

 以前も書きましたが、「ログアウトできない」「ゲーム内での死が現実の死」の前提条件が、フェアリィ・ダンスでなくなってしまったので、物足りなさはありました。

 

 ファントム・バレットで、アインクラッドほどの緊迫感を再び描き出すことが出来るのかどうか。気になります。 

 

  

「ソードアート・オンライン5」の内容 

“SAO”事件から一年が経った。ある日。キリトは、総務省“仮想課”の菊岡誠二郎から奇妙な依頼を受ける。銃と鋼鉄のVRMMO“ガンゲイル・オンライン”で突如発生した“死銃”事件。漆黒の銃を持つ謎のアバターに撃たれたプレイヤーは、実際に現実でも“死”に至る…。その不気味な事件の捜査を断り切れなかったキリトは、“仮想世界”が“現実世界”へ物理的に影響を及ぼすことに疑いを抱きつつも、“GGO”へとログインする。“死銃”の手懸かりを掴むべく、不慣れなゲーム内を彷徨うキリト。そんな彼に救いの手をさしのべたのは、長大なライフル“ヘカート2”を愛用するスナイパーの少女・シノンだった。【「BOOK」データベースより】

 

「ソードアート・オンライン5」の感想

登場人物

キリト(桐ヶ谷 和人) 

死銃事件の捜査のため、GGOにコンバートした元「黒の剣士」

 

シノン(朝田 詩乃) 

ファントム・バレットのもう一人の主人公。過去のトラウマを抱え、それを乗り越えるためGGOに。

 

デス・ガン(死銃) 

GGOに出現した謎のプレイヤー。デス・ガンが銃撃したプレイヤーは、現実の世界でも死を迎えている。

  

シュピーゲル (新川 恭二) 

シノンのリアルでの友人。イジメにより不登校となっている。

 

菊岡誠二郎 

元「SAO事件対策チーム」の総務省職員。現在は、総合通信基盤局高度通信網振興課第二分室に所属。

 

銃の世界

 「ガンゲイル・オンライン(GGO)」

 名前の通り、銃が主役のVRMMOゲーム。

 今までの「ソードアート・オンライン」の流れを一気に変える銃での戦い。それも、人対人の対人戦。

 殺伐とした世界が舞台になってます。

 

 今までのファンタジー然とした世界から、生々しい殺し合いの世界へ。登場する人物たちの個性も、今までとは全く違うように感じます。

 ゲームをクリアすることが目的でなく、人を殺し、最強になることが目的。人を殺すことに特化するには、銃という武器を使うことが必然なのかもしれません。

 

 兎に角も、銃で強さを競い合う世界に、キリトは降り立つことになる訳です。しかし、そこでも、キリトは銃でなく、剣を使う。

 著者は、キリトのキャラを活かすためには、剣を使うことが一番だと考えたのかもしれません。

 ちょっと無理がある気もしますが。

 

過去に囚われた

 ファントムバレットは、過去に囚われた人間が3人登場します。その3人が物語の中心になっていきます。

 キリト

 シノン

 デス・ガン 

 物語の当初は、シノンの心の闇を中心に描かれていきます。

 キリトは、GGO内で起きた出来事の調査のためにALOからコンバートします。キリトの囚われた過去は、デス・ガンと出会うことで想起させられます。

 封じられたアインクラッドでの記憶。その記憶を呼び覚まされることにより、キリトも過去に囚われていきます。

 そして、その過去を呼び覚ましたデス・ガンは、そもそもアインクラッドを引き摺って生きているようなものです。

 

 キリトがデス・ガンと出会ったあたりから、物語は様相を変えてきます。

 キリトとシノン

 それぞれが、いかに過去と向き合うか。どうやって、過去を乗り越え、前に進んでいくのか。

 

 単なるゲーム世界の話でなく、人間の心の問題も描いています。前作より引き込まれていくものを感じます。

 

現実の死の緊張感

 仮想世界での出来事に緊迫感を持たせる。そのひとつの答えが、アインクラッドでのログアウト不可ゲーム内の死=現実の死でした。

 ファントム・バレットでも、ゲーム内での死を、現実の死と繋ぎ合わせることで、緊張感を持たせています。

 第5巻では、直接的に、ゲーム内の死が現実の死と繋がることを描いている訳ではありません。そのことを調査するために、キリトはGGOに行く訳ですが。

 

 ただ、仮想世界の死と現実世界の死に関連があることは、すぐに分かります。問題は、どのように繋がっているかということです。読んでいても、想定出来ません。どうやって、関連付けていくのか、気になるところではあります。

 

最後に

 物語の前半部分なので、核心には至りません。ただ、話が進むにつれ、深刻さが増していきます。

 キリトとシノンが抱える問題は、それぞれの個別の問題です。しかし、その根底には、同じものが流れています。すなわち、過去にどのように向き合うか。

 キリトとシノンの距離が近づいていくのは、そのためでしょう。

 

 ただ、細かい点で気になるところも多いのですが。

 相変わらずのキリトのチート級の強さ。ALOをクリアした時点で、キャラを初期化しているので、アインクラッドの時ほどの強さはないはずですが。キリトの仮想世界への適応能力と覚悟が、彼の強さだということか。

 また、キリトのアバター設定が、いかにもラノベ的過ぎる。

 光剣で弾丸を防ぐのは、ジェダイか?

 

 そういう部分があったとしても、ALOに比べれば、読み応えはあります。  

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