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オレたち花のバブル組:池井戸 潤【感想】|敵が強大だからこそ、倍返しが冴える

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「オレたち花のバブル組」の内容

「バブル入社組」世代の苦悩と闘いを鮮やかに描く。巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹。銀行内部の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、出向先での執拗ないじめ。四面楚歌の状況で、絶対に負けられない男達の一発逆転はあるのか。 【引用:「BOOK」データベース】  

「オレたち花のバブル組」の感想

と悪の明確化

 「オレたちバブル入行組」の続編です。「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」をセットでドラマ「半沢直樹」が製作されたので、ドラマでは後半部分に当たります。前作と同じような感想になってしまいますが、すみません。

 前作と同じ勧善懲悪の爽快感のある物語です。徐々に厳しい状況に追い込まれながらも、決して諦めず全力で立ち向かっていく。それが上司でも公権力(この場合は金融庁)でも遠慮なく戦いを挑みます。売られた喧嘩は真っ向から受け止める。その遠慮のなさが、半沢らしく気持ち良い。前作と同じく正義と悪が完全に分かれており、曖昧な立ち位置の登場人物がいないので読んでいて分かりやすく、半沢側に肩入れしやすい。 

錯する思惑

 この作品は、二つの大きなストーリーがあります。その点では、前作の「オレたちバブル入行組」よりストーリー展開が複雑化し、先の読めない面白さもあります。ふたつのストーリーとは、「半沢」と「近藤(半沢の同期)」の二つの物語です。銀行での半沢の戦い。出向先での近藤の戦い。不正の闇を暴こうとする半沢と近藤を、それぞれの敵が徹底的に追い詰めていきます。敵はどんな手を使ってでも、二人を潰そうとします。半沢たちは、あらゆる手を使い反撃していく。その様を小気味よく描いています。追い詰められれば追い詰められるほど、逆転劇が冴えてくるという訳です。

 この二つの物語は、絡まりあいながら展開していきます。前作よりもストーリーが巧妙化しているので、登場する人物も多くなり敵も多くなります。しかし、行内で半沢に理解を示す人もいて、孤独な闘いという雰囲気はありません。その点では、前作と差別化されています。 

された陰謀

 前回は、半沢をターゲットに仕組まれた陰謀でした。今回は降りかかった火の粉を払おうとしたら、とんでもない火種があったという印象です。半沢がその火種の原因でもないのに、彼に責任を取らせる銀行という組織があまりに理不尽です。半沢に敵が多いことも理由のひとつですし、これ幸いと半沢潰しに利用した側面もあるでしょう。銀行取引の不正の話ですが、専門的な難しい話はほとんどなく、金融知識がなくても全く問題ありません。

終わりに 

 私は、ドラマを見てから、「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」を読みました。細部に違いはあるものの、結果が分かっているのに面白いというのは、本当に面白い作品なのでしょう。ただ、この作品については、是非ドラマも見ていただきたい。作中に登場する金融庁の黒崎検査官のキャラは、文字で読むより映像で見る方が、インパクトがあります。黒崎役の片岡愛之助の演技力が素晴らしいというのが一番の要因です。

 小説も面白いですが、この小説を基にあれだけ面白いドラマに仕上げたドラマの制作者にも脱帽です。