こんにちは。本日は、デイル・ドーテン氏の「仕事は楽しいかね? 2」の感想です。
「仕事は楽しいかね」の続編です。仕事は楽しいこともあれば、辛いこともあります。楽しいかどうかは「やりがいがあるかどうか」と「達成感があるかどうか」だろう。もちろん、自分自身の心の持ちようも重要ですが。
楽しくなる要因は仕事の内容だけではありません。仕事は一人でするものではく、チームや仲間・同僚・上司・部下とともにします。一人で完結させる仕事もありますが、それでも他者との関係性の中で存在するのが仕事です。
本作は、仕事の中身よりも人間関係に重点を置いています。その中でも上司と部下の関係です。
- 優秀な上司の元で働きたい。
- 優秀な部下が欲しい。
それぞれの立場の人たちが望むことです。望むということは、望まれることでもあります。部下にとって望ましい上司や、上司にとって望ましい部下にならなければなりません。中間管理職は上司にも部下にもなります。どちらの要素も備えなければならない。
仕事を楽しく(やりがいのある)するためには努力が必要です。周りから与えられるものではありません。現状から抜け出すためには、全く新しい考え方を取り入れなければならない。意識を変え、行動することが大事です。
自己啓発本ですが、物語になっているので読みやすい。マックス・エルモアの言葉の中に、仕事への取り組み方の教えがあります。生かすか殺すかは読者次第だろう。
「仕事は楽しいかね? 2」の内容
上司と部下の理想の関係とは?
マックス老人との出会いで、自分が望む以上に出世してしまった主人公に、今度は中間管理職としての悩みが襲っていた。彼は、再びマックス老人にアドバイスを求める。【引用:「BOOK」データベース】
「仕事は楽しいかね? 2」の感想
本物の上司
理想の上司とは何だろうか。「仕事の結果を出す」「チームをまとめる」など、様々な側面で考える必要があります。仕事の内容や職場環境によって、上司に求められるものは違うだろう。しかし、部下に対する対応だけは変わらない。上司に求められるのは、部下の能力を最大限に引き出すことです。
部下を育てるのも上司の役目ですが、本作では優秀な人間を集める方法を説明しています。優秀な人間は、優秀な上司の元で働きたい。また、仕事にやりがいを求めます。金銭的なインセンティブだけでは動きません。
能力の高い者は、能力を使い尽くしたい欲求があります。優秀な人間ならば、結果を出したいということだろう。自身で能力を高めることのできる人間が優秀なのだろう。
上司が管理する必要のない部下や上司を助ける部下を集めます。魅力のある上司や職場、仕事でないと難しい。本物の上司の姿を知らないと、本物の上司にはなれません。また、本物の上司の元で働くためには、本物の部下にならなければならない。
優秀な部下がいれば、仕事は自然と進んでいきます。むしろ、自由に仕事をさせた方が良い。彼らは自分自身の判断で的確に仕事を達成していきます。
職場に繋ぎ留めるためには、常に仕事のやりがいと満足を与えなければなりません。上司は管理する仕事から解放されますが、プレッシャーは常に感じるだろう。緊張感が仕事のやりがいや楽しさを与えてくれるかもしれませんが。
優れた部下
部下の立場だと違う景色が見えてきます。彼らは優秀だから、優秀な上司を求めます。また、引く手あまたな存在でもあります。彼らの原動力はお金ではありません。仕事の中身と環境です。そして、優秀だから仕事を選ぶことができます。優秀な部下は選ぶ立場にいることが多い。上司は多くのライバルと戦い、優秀な部下を獲得しなければなりません。
何を提示することで、彼らはやってくるのだろうか。上司の資質もあるだろう。それ以上に、
- 転職することで自分の何が変わるか
- 能力を発揮できるか
- やりがいや満足を得られるか
そういう観点だろう。見誤ると優秀な人材は確保できません。
だからと言って、優秀な人材は常に有利な立場にいるとは限りません。優秀であり続ける努力が必要不可欠です。自己研鑽し続けることで、優秀になっていきます。才能だけの優秀さで社会を生き抜くことはないだろう。飛び抜けたものがあるなら別かもしれないが。
部下であるという立場も忘れてはなりません。組織の中で仕事をしているので、チームプレイを要求されることもあるだろう。それらをうまくこなすのも能力の一つです。
人材の流動
舞台はアメリカです。アメリカの労働市場や環境をベースに書かれています。日本のような終身雇用を前提としていません。終身雇用も崩壊しつつありますが、それでも根強く残っています。日本の労働力は流動的ではありません。転職も一般的とは言い難い。自身のキャリアアップのために転職を繰り返す人材はそれほど多くないだろう。
本作では、自分自身で優秀な部下を探すための方法を書いています。自身が望む人材は自身で見つけ、スカウトすべきなのだろう。優秀な人材を探すために、他者や他社に依頼しても集まらないし、本気度が伝わらない。
自分自身でスカウトするためには、会社もその方法を認めなければなりません。採用という人事を、個人の裁量に任せることになりませn。日本ではなかなか実現しそうにありません。
人材の流動が望ましいかどうかの問題もあります。日本が戦後発展したのは、終身雇用・年功序列が大きく影響しています。しかし、もはや世界では通用しない。長期間かけて社員を育成する余裕もないだろう。流動的になれば、社内で人材育成しなくなるかもしれません。育成の費用と時間を回収する前に転職されてしまう可能性がある。
労働力の流動は、自身で能力を高めないと生き残れない社会です。厳しいが、世界標準なのだろう。
終わりに
本作は、日本の労働環境に馴染まないことも多い。ただ、上司として、部下としての心構えや考え方は参考になります。一方、優秀な人間のことばかりを書いています。優秀な人材を獲得するために、そうでない人材を放り出す。世界標準の社会は、弱肉強食なのだろう。
日本に合ったやりかたと世界標準は違うかもしれませんが、本作に書いてあることを実践していかなければ日本は生き残っていけないだろう。