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『ソードアート・オンライン14 アリシゼーション・ユナイティング』:川原 礫【感想】|アリシゼーション・人界編が完結

 アドミニストレータに記憶を奪われ、整合騎士ユージオ・シンセシス・サーティツーとなったユージオ。キリトとの再会と決闘の火蓋が切られたところからです。最上階を目前にして、親友と死闘が始まります。元老長チュデルキンの行方も気になるところですが、二人の対決は目を離せません。アリスが参戦しないならば、二人は命を懸けた戦いを初めて行うことになります。

 この戦いの結末も気になりますが、アドミニストレータへと続く道のりはどうなるのか。最上階で待っているのは何なのだろうか。セントラル・カセドラルは終結するのか。その形はどうなるのか。気になることが目白押しです。セントラル・カセドラルは、まさしく終盤を迎えています。 

「ソードアート・オンライン14」の内容

“公理教会”の象徴である白亜の塔“セントラル・カセドラル”。隔離された大図書室の賢者“カーディナル”の助けを借り、ユージオは整合騎士となってしまったアリスを“本当の姿”に戻すため、キリトはこのアンダーワールドの消滅を回避するため、最高司祭“アドミニストレータ”の待つカセドラル最上階、一〇〇階を目指す。そして到達した九十九階。キリトとアリスの前に現れたのは、整合騎士の鎧に身を包み、瞳に冷たい光を浮かべたユージオだった。躊躇いなく剣を抜くユージオを、やむなく迎え撃つキリト。旅立ちの日、遠い雷鳴に感じた戦いと別離の予兆は真実となってしまうのか。キリトの必死の呼びかけは、記憶を封じられたユージオに届くのか。【引用:「BOOK」データベース】 

「ソードアート・オンライン14」の感想

 ージオ VS キリト

 どちらかが死ぬことで決着がつくとは思えません。どちらも簡単に死んでいいキャラではありません。アドミニストレータのシンセサイズがどれほど強力でも、この決闘には何らかの落としどころがあるのでしょう。アリスも記憶は戻っていませんが、アドミニストレータの呪縛からは逃れています。ユージオも逃れることが出来るはずです。ユージオの方が先に右目の封印から解き放たれているのですから。

 一種の師弟対決だから技術的にはキリトが有利です。ただ、キリトの目的は戦いの勝利ではなく、ユージオの記憶を取り戻すことです。勝敗に関してはキリトの方が分が悪い。「ユージオの記憶を取り戻すこと=剣を交わすこと」という設定は、分かりやすいが安易な設定とも言えます。簡単に記憶が取り戻せたのも拍子抜けですが。  

魚キャラ「チュデルキン」

 チュデルキンは中ボス的な立ち位置だったのでしょう。整合騎士は剣を通じて会話が出来ます。記憶を奪われていますが人間である証拠です。アドミニストレータを悪と定義するなら、彼女に心酔しているチュデルキンは悪になります。整合騎士は記憶を奪われることで忠誠を誓っていますが、チュデルキンは自ら忠誠を誓っています。整合騎士と立場は全く違います。

 ベルクーリの後に登場しているのだから、相当の使い手であることが期待されます。キリト達3人と対等以上の戦いを繰り広げてくれるものだと思っていると、案外期待外れに終わってしまいます。キリトとアリスの攻撃から逃げ帰り、あっという間に倒されます。異様な存在感はあったが、敵キャラとしての存在感は薄い。戦闘力も知力も全てが劣っています。

 チュデルキンも人工フラクトライトでしょう。しかし人間とは違います。彼は一体どういう存在だったのだろうか。特殊な存在なのは間違いないが、大した敵ではなかった。

ドミニストレータの策略

 ユージオが記憶を取り戻したこととチュデルキンが敗北したことは、アドミニストレータにとってどれほどの出来事だったのでしょうか。少なくとも予想外のはずだが、彼女の策略の中においては修正可能な出来事です。アドミニストレータの目的はカーディナルの抹殺であり、この場におびき出すことです。キリト達を危機に陥れれば必ずカーディナルはやってきます。チュデルキンが追い詰めようが、自身が追い詰めようが同じことです。追い詰める方策は二重三重に張り巡らされています。

 ソードゴーレムはキリトたちの抹殺のためではなく、カーディナルをおびき寄せるための存在です。ソードゴーレムの原理はいかにもアドミニストレータらしい。整合騎士30人の記憶と彼らの大切なものを剣に仕立て上げ動かす。

 アドミニストレータは来るべき負荷実験に対抗するためと言っていたが、そうなるといつ頃からソードゴーレムを考えていたのでしょうか。ベルクーリが整合騎士となった数百年前から負荷実験を予想しソードゴーレムを考えていたのでしょうか。だったら数百年もかける必要はありません。ソードゴーレムを作る方法を編み出し、整合騎士を利用したということでしょうか。だったら整合性は取れます。ソードゴーレムを倒すためにユージオを剣化するのは単純過ぎる展開にも思えます。

 ソードゴーレムが無力化された後、何故アドミニストレータはキリトと剣での対決を行ったのでしょうか。空間リソースが不足していることが理由でしょうが、アドミニストレータなら空間リソースも何とかしそうです。キリトと戦うには剣でないと盛り上がらないのも分かりますが。 

外な決着

 キリトとアドミニストレータの決着はどうなるのか。少なくともキリトは負けませんが、ただ勝つだけでは物足りません。そういう意味では意外性のある結末です。勝利に近い結末でありながら完全な勝利ではありません。そのことが現実世界と繋がる端末を見つけ出します。 

アドミニストレータを完全に倒していれば端末は出てこなかった。 

 これ以外の結末では、物語は進まなかった。チュデルキンによってアドミニストレータを消滅させたのは、セントラル・カセドラルに区切りをつけるためです。端末の破壊を免れるという理由も付加されています。

 ユージオの死は完全な死かどうかも気になるところです。ユージオと奪われたアリスの記憶が完全に消去される描写があります。まさかの復活はないと思いますが、アリシゼーションを支えてきたユージオの死は新しい物語の始まりも予感させます。ユージオの死は意外だが、ひとつの区切りとするためには必要なことです。

 終わりに

 アリシゼーション編も大きく事態が動きます。今までは、キリトもユージオも目的がはっきりとしていました。ユナイティングで物語は真っ白な状態へ戻ったようにも思えます。新しい出発とも言えます。今後の展開はどうなるのでしょうか。現実世界の激変も気になるところです。

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