晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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『羊をめぐる冒険』:村上春樹【感想】|鼠三部作が、ここに終結する

ご覧いただきありがとうございます。今回は、村上春樹氏の「羊をめぐる冒険」の読書感想です。 鼠三部作の3作目です。この後に「ダンス・ダンス・ダンス」という続編が刊行されます。それが、どのような位置づけになるのか別にして、鼠三部作としては完結と…

『チルドレン』:伊坂幸太郎【感想】|俺たちは奇跡を起こすんだ

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「チルドレン」の感想です。 各話は独立した物語として完結しています。しかし、どの話にも登場する人物が一人います。彼は、各話において主人公ではないのですが最も重要な人物です。 それが「陣内」です。 彼が、大学生…

『稼ぐが勝ち』:堀江貴文

堀江貴文氏がライブドア代表取締役で、大阪近鉄バッファローズを買収しようとしていた頃に出版された本です。当時、彼は時代の寵児であるとともに『ホリエモン=金』というイメージが拭えない時期でもあったように思います。成功者でありながらも、生意気で…

『私の消滅』:中村文則|人間の本質とは記憶の積み重ねなのか

文学的ミステリーと表現すればいいのでしょうか。一度読んだだけでは、よく理解できません。著者の表現したいことが何なのかということだけでなく、ミステリーとしてのストーリーについても同様です。 混乱する要因は、誰の視点で物語が語られているのか分か…

『マルドゥック・スクランブル 排気〔完全版〕』:冲方 丁|結末を迎えた時、バロットとウフコックに何が残るのか

「燃焼」は、カジノでの負けられない闘いの途中で終わっています。「排気」は、その闘いの続きから始まります。「排気」は前半部分が「カジノ」での闘い。後半部分で最終局面を迎えます。「圧縮」「燃焼」「排気」と続いた物語が、どのような結末を迎えるの…

『マルドゥック・スクランブル 燃焼〔完全版〕』:冲方 丁|楽園で、バロットは何を得たのか

「圧縮」では、視覚的に派手な戦闘や銃撃が物語の主軸を占めていました。もちろん、その対照として登場人物の内面の動きを際立たせることも主軸です。その両軸をもって、物語を組み立てていました。「燃焼」においては、大きくふたつの構成で物語が描かれて…

『マルドゥック・スクランブル 圧縮〔完全版〕』:冲方 丁|何故、彼女は死ななければならなかったのか

冲方 丁氏の作品で最初に思い浮かぶのが、この「マルドゥック・スクランブル」です。サイバーパンク系のSF小説として支持を集め、映像化・漫画化など小説以外のメディアでも発表されています。サイバーパンク系と言わせていただいたのは、私がサイバーパン…

『アヒルと鴨のコインロッカー』:伊坂幸太郎【感想】|一緒に本屋を襲わないか

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「アヒルと鴨のコインロッカー」の感想です。 複数の違うストーリーを絡ませながら伏線を張り、それらを結末で一箇所に収束させます。全く関係のないように思える出来事が実は繋がっており、全てが偶然でなく必然で引き起…

『また、同じ夢を見ていた』:住野よる【感想】|心が満たされて温かい気持ちが溢れだす

読後に感じるのは、「心が何かに満たされて温かい気持ちになる」ということです。主人公の小学生・小柳奈ノ花が、授業の宿題である「幸せと何か」を考える物語です。 「また、同じ夢を見ていた」の内容 「また、同じ夢を見ていた」の感想 奈ノ花 奈ノ花の口…

映画「ブレードランナー2049」を観た

1982年に公開された前作「ブレードランナー」から35年の時を経て、公開された「ブレードランナー2049」です。前作は、SF映画の未来に多大な影響を与えた名作として語り継がれるほどです。その続編が制作されるとなれば、当然期待は高まります。しかもリッ…

『銀翼のイカロス』:池井戸 潤|シリーズ史上、最大最強の敵に挑む

「半沢直樹」シリーズの第4作目です。今までのシリーズの中では一番スケールが大きく、手に汗握る展開に引き込まれました。前作の「ロスジェネの逆襲」では、バブル世代の半沢とロスジェネ世代の森山の両方の活躍を描いていました。そのため半沢の存在が薄…

『ロスジェネの逆襲』:池井戸 潤|失われた世代とバブル世代が世代間の確執を乗り越える

「半沢直樹」シリーズの第3弾です。前作「俺たち花のバブル組」の最後で出向させられた半沢の活躍を描いた作品です。3作目になると、どうしてもマンネリ化を隠し切れない感じがします。この小説の基本的なスタンスは「勧善懲悪」です。敵や戦いの舞台が変…