晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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『シーソーモンスター』:伊坂幸太郎【感想】|怪物が、笑っている

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「シーソーモンスター」の感想です。 表題作「シーソーモンスター」と「スピンモンスター」の中篇2作品が収録されています。文芸誌「小説BOC」の競作企画「螺旋」プロジェクトの作品です。8組9名の作家が3つのルール…

『続 横道世之介』:吉田修一【感想】|世之介は変わらない

タイトル通り、「横道世之介」の続編です。前作は本屋大賞3位を受賞しており、私のお気に入りのひとつです。大学一年生の1年間を切り取って描かれた彼の日常に引き込まれました。 「続 横道世之介」は、留年したことでバブル景気の売り手市場に乗り遅れ、…

『ソードアート・オンライン13 アリシゼーション・ディバイディング』:川原 礫【感想】|キリトとユージオの再会は・・・

セントラル・カセドラルの階を上がるごとに緊張感が増していきます。ディバイディングではキリトとユージオが別行動です。作中でキリトも言っていますが、二人が離れたのは初めてです。だからこそユージオの存在感が増していきます。そして二人は意外な形で…

『終戦のローレライ』:福井晴敏【感想】|あるべき終戦の形とは・・・

私の好きな作家 福井晴敏の代表作です。文庫で4冊の大長編ですが、中弛みは一切ありません。映画も制作されていますが、どこまで映画を意識していたのか疑問に思います。少なくとも、映画を意識し過ぎていれば、ここまでの長編にはならなかったでしょう。 …

『学びを結果に変えるアウトプット大全』:樺沢紫苑【感想】

発行部数40万部を超えるベストセラーです。以前から気になっていました。ビジネス書なのか、実用書なのか、自己啓発本なのか。私が読んだ印象では自己啓発本です。精神科医が執筆しているから、自己啓発要素が強くなるのかもしれません。 インプットを材料に…

『迷路館の殺人』:綾辻行人【感想】|迷路と見立てに潜む謎

「館シリーズ」三作目です。中村青司・島田 潔も馴染みが出てきました。本作は、作中作と見立て殺人を軸としたミステリー作品です。作中作自体に仕掛けがあることは予想できます。ただ、「迷路館の殺人」が始まると作中作であることを忘れてしまいます。 迷…

定期「2019年6月(水無月)」の読書本

梅雨の季節のはずが、例年に比べ梅雨入りは遅れました。6月に蒸し暑さを感じることは少なかった気がします。そんな中で読んだ本は8作品、10冊でした。6月の読書本のおすすめ度を紹介します。 おすすめ度★★★★★ 魔眼の匣の殺人 今村昌弘 ワイルド・ソウル 垣…

『彼女は存在しない』:浦賀和宏【感想】|多重人格に潜む謎

Twitterを見ていると読了ツイートが登場していました。18年前の作品です。私は知らなかったのですが、中居文庫で取り上げられていたようです。読了ツイートは概ね高評価のものが多い。18年前なので設定や状況が古く感じる部分はあります。携帯電話やストラッ…

『下町ロケット ガウディ計画』:池井戸 潤【感想】|小さな宇宙「人体」への挑戦

前作は、続編を意識させる終わり方でした。というより続編ありきの終わり方です。「ガウディ計画」も著者の定番「勧善懲悪」を感じさせる作品です。前作から引き続き登場している人物は、本作においても生き方に全くブレがありません。ドラマの影響で阿部寛…

『青くて痛くて脆い』:住野よる【感想】|変わっていくことは成長なのだろうか?

大学生が主人公の小説を読むと、自分が大学生だった頃を思い出します。大学生活が楽しかったのは自由だったからでしょう。お金はないが、時間を持て余していました。その時間を有効活用せずに変化のない日常を過ごしていました。ただ、日常に変化はなくても…

『ワイルド・ソウル』:垣根涼介【感想】|棄民政策の果てに・・・

第6回大藪春彦賞、第25回吉川英治文学新人賞、第57回日本推理作家協会賞の三賞を受賞した垣根涼介の代表作です。戦後の南米移民政策をベースに、ハードボイルド・ミステリー・ヒューマンドラマと言ったあらゆる要素を含んだ作品です。スピード感溢れる展開に…

『海辺のカフカ』:村上春樹【感想】|「僕」が立ち向かう先にあるものは・・・

少年カフカとナカタさんの2つのパートが交互に語られていきます。奇数章は一人称で少年カフカが描かれ、偶数章が三人称でナカタさんが描かれています。ふたつの世界が交互に描かれているのは「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を想起させます…