晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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『レゾンデートル』:知念実希人【感想】|殺人者の存在理由とは・・・

こんにちは。本日は、知念実希人氏の「レゾンデートル」の感想です。 知念実希人氏のデビュー作で、福山ミステリー文学新人賞受賞作です。「誰がための刃 レゾンデートル」から改題・改稿されています。幻のデビュー作と言われるほど出回っていなかったよう…

『慈雨』:柚月 裕子【感想】|渦巻く悔恨と葛藤

こんにちは。本日は、柚月 裕子さんの「慈雨」の感想です。 タイトルから内容が想像できませんが、表紙を見ると重厚な小説をイメージします。 冒頭、主人公「神場智則」の夢のシーンから始まります。悲壮感漂う悪夢は、神場が背負ったものの大きさを感じさせ…

『何もかも憂鬱な夜に』:中村文則【感想】

こんにちは。本日は、中村文則氏の「何もかも憂鬱な夜に」の感想です。 タイトルから想像するのは暗く重い小説です。実際、全編を通じて重く苦しい。死をテーマにした小説に明るさを求めるのは難しいのかもしれない。しかし、死だけに焦点を当てている訳では…

『know』:野崎まど【感想】|彼女は全てを知っていた

こんにちは。本日は、野崎まど氏の「know」の感想です。 脳の補助として電子脳が義務付けられた情報化社会を描いた近未来SFです。ライトノベル的な雰囲気もあり、読みやすい。 脳が直接ネットと繋がる設定は、近未来情報化社会を描く時によく登場します。情…

『月と蟹』:道尾秀介【感想】|世界は大きくて理不尽だから、僕たちは神様を創ることにした

こんにちは。本日は、道尾秀介氏の「月と蟹」の感想です。 第144回直木賞受賞作です。直木賞は大衆小説のイメージがあるので気軽な気持ちで読み始めたが結構重い内容でした。登場人物の心象に焦点を当てているからだろう。 道尾秀介氏の作品を読むのは初めて…

『犯人に告ぐ』:雫井 脩介【感想】|犯人よ、今夜は震えて眠れ

こんにちは。本日は、雫井 脩介氏の「犯人に告ぐ」の感想です。 雫井氏の小説は「つばさものがたり」「クローズド・ノート」を読んでいます。本作を読んでみると、著者の作品の幅の広さに感心します。 「相模原男児誘拐殺害事件」と「川崎市連続児童殺害事件…

『罪の轍』:奥田英朗【感想】|刑事たちの執念 × 容疑者の孤独

こんにちは。本日は、奥田英朗氏の「罪の轍」の感想です。 600ページ近い長編の警察小説ですが、一気に読み切ってしまうほど引き込まれます。事件を解決するだけのミステリーではありません。登場人物たちの心象や人生の背景が見事に作り上げられています。…

『仕事は楽しいかね? 2』:デイル・ドーテン【感想】

こんにちは。本日は、デイル・ドーテン氏の「仕事は楽しいかね? 2」の感想です。 「仕事は楽しいかね」の続編です。仕事は楽しいこともあれば、辛いこともあります。楽しいかどうかは「やりがいがあるかどうか」と「達成感があるかどうか」だろう。もちろ…

『ペスト』:アルベール・カミュ【感想】|人はどう振る舞うのか?

こんにちは。本日は、アルベール・カミュの「ペスト」の感想です。 新型コロナウィルスの世界的流行により、カミュのペストが俄かに注目を浴びています。発行部数は100万部を超えました。新型コロナとペストを繋ぎ合わせてしまうほど、コロナに対する不安は…

『熱源』:川越宗一【感想】|降りかかる理不尽は「文明」を名乗っていた

こんにちは。本日は、 川越宗一氏の「熱源」の感想です。 第162回直木賞受賞作。2020年本屋大賞第5位。 民族・文明・国家など多くの要素を含んだ重厚な作品です。樺太アイヌという国を持たない民族が、国家や文明に翻弄されていきます。人として、また民族…

『日本国紀』:百田尚樹【感想】|私たちは何者なのか

こんにちは。本日は、百田尚樹氏の「日本国紀」の感想です。 百田氏は言動が目立つので、批判を集めることも多い。放送作家で「探偵ナイトスクープ」のチーフライターを25年務めていたので、人の関心を集める手法に長けているのだろう。好き嫌いがはっきり分…

『どちらかが彼女を殺した』:東野圭吾【感想】|犯人は男か女か?

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「どちらかが彼女を殺した」の感想です。 加賀恭一郎シリーズの三作目。本作の視点は加賀恭一郎ではありません。被害者の兄「和泉康正」です。彼は愛知県警豊橋警察署の交通課に勤務しています。殺された和泉園子はたった一…