晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

ーおすすめ記事ー
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ミステリー・サスペンス

『死神の精度』:伊坂幸太郎【感想】|俺が仕事をするといつも降るんだ

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「死神の精度」の感想です。 普通の人が考える死神は、死を運ぶ不吉な存在です。しかし、伊坂幸太郎が考える死神は、まるで会社員です。取り扱う商品が「死」であり人間と異質な存在として描かれていますが、死神としての…

『十角館の殺人』:綾辻行人|新本格ブームを巻き起こした「館シリーズ」の第一作

本格的ミステリーの秀作です。孤島に閉じ込められた7人の人物が、順番に殺されていく。「犯人は誰なのか?」「次は誰が殺されるのか?」緊迫感のあるストーリーに一気読みしてしまいました。ただ、30年前に発表された作品です。それを理解した上で読む必…

『グラスホッパー』:伊坂幸太郎【感想】|死んでるみたいに生きたくない

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「グラスホッパー」の感想です。 復讐と非合法組織と殺し屋の思惑が交錯するストーリーです。前回読んだ「チルドレン」の心温まる物語から一転、憎悪と悪意が渦巻く重苦しい話です。 小説に描かれている組織、職業(殺し…

『私の消滅』:中村文則|人間の本質とは記憶の積み重ねなのか

文学的ミステリーと表現すればいいのでしょうか。一度読んだだけでは、よく理解できません。著者の表現したいことが何なのかということだけでなく、ミステリーとしてのストーリーについても同様です。 混乱する要因は、誰の視点で物語が語られているのか分か…

『アヒルと鴨のコインロッカー』:伊坂幸太郎【感想】|一緒に本屋を襲わないか

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「アヒルと鴨のコインロッカー」の感想です。 複数の違うストーリーを絡ませながら伏線を張り、それらを結末で一箇所に収束させます。全く関係のないように思える出来事が実は繋がっており、全てが偶然でなく必然で引き起…

『重力ピエロ』伊坂幸太郎【感想】|本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだ

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「重力ピエロ」の感想です。 読み終えた時に涙が出そうになりました。伊坂幸太郎の作品は面白いという印象がありましたが、この作品を読んで面白いだけでなくこんなにも感動的な作品もあるんだと思い知らされました。 と…

『ジョーカー・ゲーム』:柳 広司|スパイの本質は「死ぬな、殺すな」

スパイといってまず思い浮かぶのが、007の「ジェームズ・ボンド」とミッション・インポッシブルの「イーサン・ハント」です。どちらもフィクションの話ですが、世界で最も有名なスパイの内の二人でしょう。アクション映画なのでエンターテイメント性が高…

『陽気なギャングが地球を回す』:伊坂幸太郎【感想】|史上最強の強盗4人組大奮戦

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「陽気なギャングが地球を回す」の感想です。 伊坂幸太郎氏の長編小説3作目。軽快なテンポと軽妙な台詞、複雑に張り巡らされた伏線と回収、結末を予想させないストーリー展開と鮮やかな終結に引き込まれます。 銀行強盗…

『夢幻花』:東野圭吾|幻のアサガオが驚愕の事実を告げる

東野圭吾の頭には、どれほどのアイデアが詰まっているのでしょうか。あれだけの量の小説を書き続けながらも、まだこれだけのアイデアを駆使した小説を書くのだから本当に驚きです。著者は「夢幻花」について、「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない 」…

『ソロモンの偽証』:宮部みゆき|タイトルの意味。それを知った時に全てが分かる。

文庫版を1年くらい前に購入していたのですが6冊というボリュームから、なかなか手が出ず積読状態になっていた小説です。ようやく読み始めましたが、もっと早くに読めば良かったと後悔しました。それくらい夢中になって読める作品です。超長編なのですが、…

『道化師の蝶』:円城 塔|あまりの難解さに著者の意図が分からない

第146回芥川賞の受賞作。田中慎弥さんの「共喰い」と同時受賞です。円城塔氏の作品は、伊藤計劃氏との共作「屍者の帝国」を以前に読んだことがあるだけでした。その感想はいずれ書こうと思っていますが、文章表現がかなり難解でした。 「道化師の蝶」を読む…

『ジェネラル・ルージュの凱旋』:海堂 尊|速水晃一の生き様が心に響く

実に爽快で分かりやすく引き込まれる作品です。主役の速水晃一がかっこよすぎるくらいかっこいい。ジェネラルの称号にも納得の存在感と威厳です。もともと「ジェネラル・ルージュの凱旋」と前作の「ナイチンゲールの沈黙」は一つの物語として執筆されていた…

『ナイチンゲールの沈黙』:海堂 尊|小夜の歌声が物語を導いていく

前作「チーム・バチスタの栄光」の続編となっていますが、前作から9か月後の話であり事件自体が継続しているわけではありません。東城医大を舞台にした新しい話です。 前作が評価が高かったので期待して読みましたが、何となく消化不良というかイマイチでし…

『怒り』:吉田修一|最後まで人を信じることの難しさ

あらすじを見る限り、殺人事件の犯人の行方と「怒」という文字の意味を解き明かしていくミステリー小説と思って読み始めました。しかし、小説の導入部分で殺人事件が起こり犯人が「山神一也」と判明した後は、全くの予想外の展開が始まりました。 「怒り」の…

『テロリストのパラソル』:藤原伊織|ハードボイルドな生き様がここにある

史上初の江戸川乱歩賞と直木賞のW受賞作品です。藤原伊織さんはすでに死去されています。ミステリーなので、ネタバレなしを心掛けます。 「テロリストのパラソル」の内容 「テロリストのパラソル」の感想 ハードボイルド小説 世界が狭い アウトローたち 終わ…

『チーム・バチスタの栄光』:海堂 尊|意外な犯人を個性的な二人が追い詰める

「チーム・バチスタの栄光」の内容 「チーム・バチスタの栄光」の感想 登場人物が濃い 医療ミステリー 終わりに 「チーム・バチスタの栄光」の内容 東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招…

『ラッシュライフ』:伊坂幸太郎【感想】|収斂するは、一枚の壮大な騙し絵

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「ラッシュライフ」の感想です。 伊坂幸太郎氏の第2作目です。前作「オーデュボンの祈り」でも感じましたが、彼の作品はまるでジグソーパズルが作られていくような感覚です。いろんなピースが嵌まっていき、最後に一つの…

『ヒートアイランド』:垣根涼介|生き残りに挑むアウトローの若者たち

「ヒートアイランド」の内容 「ヒートアイランド」の感想 伝わる緊張感 ストリートギャング 前半のテンポ 終わりに 「ヒートアイランド」の内容 渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち…

『オーデュボンの祈り』:伊坂幸太郎【感想】|なぜ自分の死を予知できなかったのか?

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「オーデュボンの祈り」の感想です。 人気作家である伊坂幸太郎さんのデビュー作です。この作品で第5回新潮ミステリー倶楽部賞(平成12年)を受賞しています。 私が初めて読んだ伊坂幸太郎さんの本が「オーデュボンの祈り…

『流星の絆』:東野圭吾【感想】|最大の誤算は、妹の恋心だった。

こんにちは。本日は、東野圭吾氏の「流星の絆」の感想です。 「流星の絆」の内容 「流星の絆」の感想 狂わされた人生 復讐計画 終わりに 「流星の絆」の内容 何者かに両親を惨殺された三兄妹は、流れ星に仇討ちを誓う。14年後、互いのことだけを信じ、世間を…

『13階段』:高野和明【感想】|無実の死刑囚を救い出せ

こんにちは。本日は、高野和明氏のデビュー作「13階段」の紹介です。 江戸川乱歩賞受賞のミステリーの秀作です。主人公である「三上」と「南郷」が、死刑囚の冤罪を証明するために謎を解明していきます。物語のタイトル「13階段」の意味する死刑制度(作中で…

『64(ロクヨン)』:横山秀夫|犯人は、まだ昭和にいる

「64」の内容 元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。記…

『ゆりかごで眠れ』:垣根涼介|愛は十倍に、憎悪は百倍にして返せ

「ゆりかごで眠れ」の内容 凄絶な少年時代を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。この日常に馴染めずも生きる、元刑事・若槻妙子。リキなしには生きていけない元浮浪児・カーサ。組織の中で歪み…

『模倣犯』:宮部みゆき|犯罪に巻き込まれた人々の苦悩が・・・

「模倣犯」の内容 公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。炎上しながら谷底へ落ちていく一台の車。事故死した男の自宅には、数々の「殺人の記録」が。事件を操る真犯人の正体は…!?【引用…

『亡国のイージス』:福井晴敏【感想】|陰謀に立ち向かい、信念を貫く

「亡国のイージス」は、福井晴敏の名前を一気に広めた作品です。手に汗を握り、目まぐるしく変化する展開に読み始めたら止まりません。一級のエンターテイメント作品です。しかし、単なるエンターテイメント作品で終わらないのが、著者の力量です。国家の在…

「ガリレオ」シリーズ:東野圭吾|物理学が謎を解く

ガリレオシリーズの中でも、「探偵ガリレオ」「予知夢」「ガリレオの苦悩」の短編3冊の感想です。長編とこれ以降の短編は、またいずれ。 探偵ガリレオと言えば福山雅治、というくらいイメージが定着しています。私は、ドラマより先に小説を読みました。小説…

『青の炎』:貴志祐介|孤独な戦いの行きつく先は・・・

「青の炎」の内容 櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に…