晴耕雨読で生きる

本を読み、感想や書評を綴るブログです。主に小説。

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ミステリー・サスペンス

『フーガはユーガ』:伊坂幸太郎【感想】|だけど僕たちは、手強い

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「フーガはユーガ」の感想です。 伊坂幸太郎の1年ぶりの新作長編。私はまだ、彼の小説を全て読んでいません。未読の作品があるにもかかわらず、新作が出ると嬉しい。出版順に読んでいるのですが、新作ということで我慢で…

『夜の国のクーパー』:伊坂幸太郎【感想】|これは猫と戦争、そしてなにより、世界の秘密のおはなし

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「夜の国のクーパー」の感想です。 猫が言葉を話す。物語の始まりから非現実的です。空想の国を舞台にしたファンタジー的な物語と思いながら読み始めました。舞台も現実には存在しない「この国」と「鉄国」です。しかし、…

『PK』:伊坂幸太郎【感想】|時を超えて、勇気は伝染する。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「PK」の感想です。 「PK」「超人」「密使」の3つの中編で構成されています。読み進めるほど時間軸や各話の関係性に混乱し、二度読みしました。二度読みしても全ての繋がりを理解し納得できたかと言うと、疑問点も多…

『消滅』:恩田 陸【感想】|閉じ込められた空港。果たしてテロリストは?

単行本500ページ超に及ぶ長編です。入国を拒否された11人が、閉じ込められた日本の国際空港の別室で繰り広げるテロリスト探し。クローズド・サークルを舞台にしたミステリーです。11人の中に高度なヒューマノイドロボットのキャスリンが登場し、SF的要素も加…

『容疑者Xの献身』:東野圭吾【感想】|論理と感情。どちらに従うことが正しいのか。

第134回直木賞受賞作。ガリレオシリーズの第三作目で初の長編です。「探偵ガリレオ」「予知夢」は短編集なので、トリックに様々な仕掛けが施されていますが流れは一直線です。登場人物たちも立ち位置が明確で、あまり予想外の動きをしません。トリックは予想…

『マリアビートル』:伊坂幸太郎【感想】|物騒な奴らが再びやって来た!

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「マリアビートル」の感想です。 位置付けとしては「グラスホッパー」の続編です。続編と言っても、直接的なストーリーの繋がりはあまりありません。グラスホッパーで登場した人物が数人登場していますが、前作を読んでい…

『Twelve Y.O.』:福井晴敏【感想】|日本は国家として大人になれないのか

福井晴敏のデビュー作。本作より先に「川の深さは」を執筆しています。ただ発刊されたのは本作が先なので、世間的なデビュー作ということになります。次作「亡国のイージス」も含めたところだと、発刊順は「Twelve Y.O.」「亡国のイージス」「川の深さは」。…

『愚者のエンドロール』:米澤穂信【感想】|「古典部」がビデオ映画の謎に迫る

「古典部」シリーズの第二弾。前作「氷菓」は高校1年の入学から夏休みくらい(最終章は夏休み後、文化祭直前になってますが)までです。本作は、夏休みの終盤を舞台に描かれています。「古典部」シリーズは、高校生の学内ミステリー小説です。「愚者のエンド…

『氷菓』:米澤穂信【感想】|古典部シリーズの原点。登場人物の個性が溢れ出す

「古典部」シリーズの第一作。高校一年の折木奉太郎を主人公にした学園推理小説です。当初、角川スニーカー文庫から刊行されていますので、ライトノベル系のミステリー小説という位置付けなのでしょう。推理小説と言っても、高校が舞台なので人が死ぬことは…

『崩れる脳を抱きしめて』:知念実希人【感想】|彼女と一緒に過ごした時間は幻だったのか

2018年本屋大賞第8位の作品です。医療現場を舞台にしたミステリー作品。現役医師の著者だからこそ描けると言っても過言ではありません。また、医療現場だけで物語が完結する訳ではありません。ミステリーの主軸は病院内から、病院外へと移っていきます。 恋…

『ジェノサイド』:高野和明【感想】|未知の存在が表れた時、人類は果たして。

読み始めたら止まらないくらい、面白く読み応えがある作品です。出来の良いハリウッド映画を観ているようです。もっと言えば、それ以上の奥行きがあります。小説なので視覚的な迫力はありません。その代わり、文章を読んで想像する世界は限りなく広がります…

『仮面病棟』:知念実希人|ピエロの真の目的は何なのか

知念実希人の作品を読むのは初めてです。「崩れる脳を抱きしめて」が、2018年本屋大賞8位になるなど注目の作家です。仮面病棟は、一気読み必死の本格ミステリー×医療サスペンスという触れ込みです。閉ざされた病院内は、読み手に手に汗を握る緊張感を与えて…

『オー!ファーザー』:伊坂幸太郎【感想】|家には父親が四人いる!?

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「オー!ファーザー」の感想です。 ゴールデンスランバー以降、作風が変化している伊坂幸太郎。しかし「オー!ファーザー」は、以前の伊坂幸太郎らしさが前面に出た作品です。 読者をニヤリとさせる会話の応酬。 伏線を張…

『7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー』

本格ミステリ。この言葉の定義は、一言で言い表すには難しい。物語中に提示された謎を解くことに重きが置かれた小説のことだろうか。その謎の難解さと、それが明かされた時の納得感が見事な作品が本格ミステリーなのかな。 この本に掲載されている7人の作家…

『夢見る黄金地球儀』:海堂 尊|黄金地球儀を巡るドタバタ劇

海堂尊と言えば「医療ミステリー」を思い浮かべます。現役医師である海堂尊だからこそ描ける作品です。「夢見る黄金地球儀」は、医療から離れ、黄金地球儀を盗むドタバタコメディ劇と言ったところでしょうか。ドタバタ感とコメディ感が、やたらと目立ちます…

『SOSの猿』:伊坂幸太郎【感想】|サルが跳び、アクマが笑う。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「SOSの猿」の感想です。 「私の話」と「猿の話」のふたつの物語で構成されています。共通点もなく、交わらないふたつの物語が最終的にどのように関係していくのか。きっと意表を突きながらも、納得できる結末を用意して…

『螺鈿迷宮』:海堂 尊|桜宮一族が抱く闇とは何なのか

「螺鈿迷宮」では、終末期医療と死亡時医学検索がテーマです。死亡時医学検索は、著者にとって重要なテーマです。現在の日本は死因不明社会だと断言しているからです。死因究明を果たさせない医療システムに未来はない。著者が抱いている危惧でしょう。ミス…

『冷たい校舎の時は止まる』:辻村深月|誰かの意識(頭)の中に閉じ込められる

今、最も注目されている作家の一人である辻村深月のデビュー作。文庫で上下巻、1,000ページ以上の長編です。デビュー作とは思えないくらいの完成度の高いミステリー小説だと思います。 雪が降りしきる学校の中に閉じ込められた8人の生徒。閉じられた世界の…

『あるキング』:伊坂幸太郎【感想】|Fair is foul , and foul is fair

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「あるキング」の感想です。 著者は、作品が文庫化する時に加筆・修正することがあります。前回読んだ「モダンタイムス」もそうでした。「あるキング」も、雑誌連載時・単行本・文庫とそれぞれに加筆修正されてます。 単…

『謎解きはディナーのあとで』:東川篤哉|執事が解き明かす事件の謎

2011年の本屋大賞受賞作。1話完結の短篇集で、第6話まであります。殺人事件を捜査するミステリー物ですが、本格的なミステリーを期待して読むと肩透かしを食らいます。 主要登場人物は「宝生麗子」と上司の「風祭警部」、麗子の執事兼運転手「影山」です。…

『モダンタイムス』:伊坂幸太郎【感想】|検索から、監視が始まる。

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「モダンタイムス」の感想です。 「魔王」から50年後が舞台です。魔王の続編とも言えますが、物語が続いている訳ではありません。時間軸として魔王の延長線上にありますし、共通する登場人物として安藤詩織や潤也なども登…

『ダブル・ジョーカー』:柳 広司|結城中佐の隠された過去が明かされる

「ジョーカー・ゲーム」の第2作目。6話から成る短編集です。第二次世界大戦前から開戦に至る混沌とした時代を背景に「D機関」のスパイが暗躍する。物語自体はフィクションでありながら現実の時代背景を舞台に描かれているので、とてもリアリティ溢れる緊…

『ゴールデンスランバー』:伊坂幸太郎【感想】|おまえ、オズワルドにされるぞ

自分の眼で世界を見て判断し、自分の意志で生きていくこと。惰性で流され、何も考えないで生きていることが、どれほど恐ろしいことなのか。伊坂幸太郎が描きます。

『クリムゾンの迷宮』:貴志祐介|命を懸けたゼロサムゲームが始まる

物語の前半と後半で、これほど様相が変わると思わなかった。前半はミステリーの要素が多く、後半は完全なホラー小説に変貌しています。「バトルロワイヤル」を未読なので比べようもないですが、「バトルロワイヤル」も「クリムゾンの迷宮」も初版発行が1999…

『フィッシュストーリー』:伊坂幸太郎【感想】|届けよ、誰かに。頼むから

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「フィッシュストーリー」の感想です。 独立した4つの中編で構成されています。収録作品は、「動物園のエンジン」「サクリファイス」「フィッシュストーリー」「ポテチ」の4作品です。文庫では中編と紹介されていますが…

『陽気なギャングの日常と襲撃』:伊坂幸太郎【感想】|4つの奇妙な事件と銀行襲撃の裏に・・・

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「陽気なギャングの日常と襲撃」の感想です。 何も考えずに読めて、単純に笑えて楽しめる極上のエンターテイメント作品です。特に、深いメッセージ性は感じません。だからこそ、気楽に読めます。「魔王」のメッセージ性の…

『ミュータンス・ミュータント』:島谷浩幸|歯のない死体の謎を解く

本格歯科ミステリー!初めて聞くジャンルです。ジャンルはともかく、帯を見る限りとても斬新な設定のミステリー作品だと思わせます。連続変死体。しかも、死体には歯が全く残っていない。一体、どういうことなのか?何が起こっているのか?期待が膨らみます…

『魔王』:伊坂幸太郎【感想】|ねぇ、どう思う?

こんにちは。本日は、伊坂幸太郎氏の「魔王」の感想です。 表題作「魔王」と、その5年後を描いた「呼吸」の中編2編から成る小説です。これまでの著者の小説とは、かなり違います。伊坂幸太郎と言えば、伏線を張り、最後に回収する。その手腕が並外れている…

『そして誰もいなくなった』:アガサ・クリスティー|見えない犯人に追い詰められていく

初読です。映像化されたものも観ていませんので、全く犯人を知らない状態で読み始めました。ミステリーは犯人が分かった状態で読むのとそうでないのとでは、面白さが10倍違う気がします。私は幸いなことに、これだけの有名な作品で映像化も数多くされている…

『オリエント急行殺人事件』:アガサ・クリスティー【感想】|灰色の脳細胞が事件の謎に挑む

本年公開の映画「オリエント急行殺人事件」を観てから、小説を読みました。すなわち、犯人が分かった状態で読み始めました。何故読み始めたかと言うと、映画が映像・俳優・演技、あらゆる面において素晴らしかったので、是非原作も読もうと思った次第です。…